ザ・グレート・展開予測ショー

君がいるだけで(8)


投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/ 9/19)

 やたらと気合いの入りまくった令子が身支度を終え、どれを出すか散々迷ったあげく、
結局何でも出せるようにあるだけの飲み物(中には酒類も)を用意したおキヌが居間に戻
ってくるまで15分はかかった。
 しかし、まだ横島たちは事務所に顔を出していなかった。
「あら、横島クンたちまだ来てないの?」
「はあー、良かった支度が間に合って……。時間が無いからどうしようかと思いました。」
 そんなことをいいながらも短時間で2人とも完璧に近い支度を整えている。

ピンポーン……!

するとタイミング良く、玄関のチャイムが鳴った。
「来たようね。」
 令子は多少緊張した様子で、おキヌはカチコチになり、シロは尻尾を振り振り、そして
タマモは興味を持って部屋のドアを開くのを待っている。
「こんにちは――、令子、みんな元気にしてる? ちょっとICPOの方に用事があった
から寄ってみたの。ほら、ひのめちゃんもあいさつは?」
「おっはー!」
このごろお気に入りのあいさつをするひのめと令子の母親である美智恵を見て皆の緊張が
一気にとける。
おキヌなどは、床にへたり込みそうになって辛うじて踏みとどまる。
シロは横島たちではなかったので、あからさまに落胆の顔を見せる。
 ひとり、タマモだけがひのめに「おっはー!」とあいさつを返す。TVの影響で思わず
言ってしまったが、あいさつを返したのが自分だけだったので、タマモはなんとなく気ま
ずくなって顔をあかくする。
「ママ…ひのめ………。ハア――――、横島クンは………?」
「なに、令子? 横島クンを待っていたの? いとしい彼じゃなくてわるかったわね。」
「な…!? ちがうわよ! なんであんなヤツのことを……。」
「あ…す、すいません。今から、横島さんが横島さんのお母さんを連れてくると言ってい
たものですから。その、てっきり――。」
 いくら勘違いだったとはいえ、こんな出迎えでは、失礼だと思いおキヌが謝る。
「あら、横島クンのお母さんが来てるの? たしかお父さんのお仕事の関係で南米の方に
行っているんじゃなくて?」
「はい、ナルニアという国だと言ってました。」
「じゃあ、いい機会だし私も挨拶しとこうかしら。」
「ええ!? ママもいっしょにいるの!? やめてよ、はずかしい…!」
「令子ちゃん――。なんで? ママが恥ずかしいのかしら?」
 口元は笑みを浮かべているが目が笑っていない。背後からはブリザード級の冷気(霊
気!?)が渦巻いている。しかも母親が自分の娘の名前をちゃんづけで呼ぶときはすごぶ
る危険な状態であることを令子は承知している。
「う……いや――。そんなことないわよ、ママ」
 何もなったかのように令子は笑顔で答えるが、背中は冷や汗でびっしょりである。
「そう? じゃあ、少し待たせてもらおうかしら。でも横島クンのお母さんてどんな方か
しら、楽しみだわ。」

「でもちょっと、来るのが遅いですね。シロちゃんが戻ってきてからもう30分以上かか
ってますよ。」
「それもそうね。いくら何でもちょっと遅いわね」
おキヌと令子が多少不安げに言う。
「じゃあ、拙者がもう一度迎えに行ってくるでござる。」
 話の途中でひのめを受け取ってタマモと一緒にあやしていたシロが「ハイ!」と手をあ
げて言う。
「そうね…………。あ…待ちなさい、シロ。やっぱり私も気になるから一緒に行くわ。」
 部屋から出ていこうとするシロを呼び止めると自分も行くと言い出した。
 するとおキヌまでが
「美神さんも行くんですか? じゃあ私も行きます。」
と言ってシロたちの後についていく。
「一緒に行くのでござるか? タマモはどうするでござる?」
「私はパース! どうせここにいれば来るんでしょ。」
 タマモのその言葉を聞いた美智恵はひのめの頭を撫でながら、
「じゃあ、お留守番お願いね、タマモちゃん。ついでにひのめの世話もお願い。」
と三人の後について事務所を出ていってしまった。
「え!? ちょっと待ってよ……。あう――行っちゃった……。」
まさか美智恵までが一緒に行ってしまうとは思ってもいなかったので、タマモは預けら
れたひのめを抱いたまま呆然と立ちすくむ。
「ターオー!」
ひのめがタマモに呼びかける。どうやらタマモと言っているらしいがまだ舌がうまく回
らずうまく発音できない。
「もう、そうじゃないって言ってるのに…私はタマモよ。タ・マ・モ! まったくシロの
名前はちゃんと言えるのになんで私の名前は言えないの?」
ひのめは発音が簡単だからかシロの名前をちゃんと言えるのだ。しかし自分の名前はい
くら教えてもちゃんと言ってくれないのでいつも悔しく思っていたのだった。
「タァーオ」
「むー……、ちがうって言っているのにー。」
タマモは今日こそはひのめに自分の名前をちゃんと言わせようと、ムキになって教え始
める。
それは、みんなが事務所に帰ってくるまで続けられたのだった。

*** つづく ***


$$ あとがき $$
美智恵さん&ひのめ登場(笑)
だんだん登場人物が増えていく〜。
はたしてこれだけのキャラをうまく捌くことが出来るのか!?

ところで横島と百合子の話はどうしようか。
書きはじめはしたけれど、やっぱルシオラの話は難しいです。
横島の喜怒哀楽のバランスが・・・・・・崩れてく(泣)
手ごわい相手ですので次回は遅れそうです(大汗)

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