鈴の少女(現実の世界)
投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 9/17)
ー鈴の少女ー
現実。
夢想で無い世界。
現実の世界。
自分だけではなく、全てのモノの為に用意された世界。
その世界で一人の神父が、不条理すぎるこの『現実』と真っすぐに向き合っていた。
(はあぁ・・・)
ーやるせない気持ちを抑え込みながらー
この部屋を初めて訪れた者は言うだろう。
<世界でこの部屋だけが、台風にでも遭ったのかいーーー?>
散らかった部屋。散らかり過ぎた応接間。
床に散乱する物、物、物。
テーブルから落ちて見事に割れたカップやら、そのカップからこぼれて床に染み込む液体やら、ひっくり返ったソファーやら。
神父は思う。
ひどい。
ひどすぎる有様。
例えばもしここが・・・
<これから一分後にこの部屋にだけ暴風が吹き荒れます>
<これから二分後にこの部屋でいや別に恨みがあるワケでも無いのですがサイコキネシスの実験しようと思いますてへ>
<これから三分後にこの部屋の床から日本が沈没するのではと思う程の超地震を起こしながら地の底に押し込められた大怪獣が這い上がろうとしている確率は0%に等しいですがもしかしたら>
・・・こんな事を言われた五分後ならば、何とかギリギリ断腸の思いで死なばもろともという覚悟を決める事で納得する事が出来る様な気は全くしないが錯覚する事は出来るかもしれない。
ーーーなおかつこれが主の御心だとするならばーーー
(・・・・・・)
許せん。どうしても。主もそうおっしゃる筈だ。
結論を出した神父は、ただ黙って飛び込んできた招かれざるバンダナ青年に退去してもらう事にした。
不慣れとはいえ、不測の事態に会長と連絡がつかないのは困るとの事で、無理に受け取らされた携帯を使って知人の娘に連絡をとる。問題の青年は失神した少女を懸命に介抱する金髪の自分の弟子に視線で呪いをかけようとしている。こちらの行動には気がついていない。
(・・・まだか)
焦燥が募る。血走った眼のバンダナ青年が、懐から『必殺!』という赤い文字が刻まれている紙が張り付けられた『ワラ人形』と五寸釘を取り出した。このままでは愛弟子の不老不死といえる筈の生命がレッドゾーンへと突入してしまう。
その時、希望の糸はつながった。(青年にとっては絶望の鎖)
「もしもしこちら・・・あ、唐巣さん・・・ぇ・・・!?」
美神さ〜ん!という声がして、しばらくすると電話に出たアシスタントの少女が電話の向こうで頭を下げているという事がこちらに伝わる程に必死で謝罪の言葉を言う。
その言葉に苦笑して、少女の重荷を取り除こうと神父が口を開いたーーーその時。
バリバリバリ!!!
「ギニャァァアアア!!?!」
突如として青年の胸元から、雷光がほとばしる。器用にもその青年の全身だけを焦がした電撃が止むと・・・後に残ったのはバンダナを始めとした衣服以外が黒焦げの姿で横たわっていた。
「こ、これは・・・?」
冷や汗をかきながらの神父の呟きに、電話の向こうから同じく冷や汗をかいてるであろう少女が答えた。
「ぁ・・・あの・・・み、美神さんが、連絡がすぐ取れる様にって携帯電話をプレゼントして・・・横島さんに・・・」
あの美神君がプレゼントを!!?神父の心をかつてない程の戦慄が襲い、胸中に暗雲が広がる。とてつもなく悪い予感。
そして、ソレは正しかった。
「その携帯電話、すたんがんの機能がついてたんです。美神さんが連絡入れた時に横島さんが五秒以内で出なかった時と・・・あとは美神さんの携帯についた、えぇと・・・お仕置きスイッチで何万ボルトのでんげ・・・」
恐るべき説明を最後まで聞く事は叶わずに、神父は携帯を床に落とした。青白い顔で十字を切る。
(主よ!我らに救いを!)
神父は天を仰いだ。
そんなやりとりをよそに・・・
「・・・よっと」
ワンピース姿の少女を、まるで指先で触れただけでもガラス細工の様に壊れるんじゃないか・・・そんな危惧を抱きながら細心の配慮をし、金髪の青年は少女をそっと抱きかかえた。
今までの
コメント:
- 「前のとは違う意味で、また違う書き方にしてみました・・・読んで貰えて、面白かったら嬉しいです」 (AS)
- 書き方変えるのは自由だけどさ、読者がついていくのが辛くなると思うよ。
本当におもしろくなれば別だけどさ。
頑張ってね。 (天邪鬼)
- あ、それと↓の作品の返答なんだけど、
「自分が読むのだから」じゃなく「自分を含むお馬鹿達も読むのだから」
でもやっぱ駄目?
……伝えにくいなー。 (天邪鬼)
- なんつ〜電話だ(苦笑)。そんな電流に耐えられる位なのだからよほど電話本体も頑丈なのでしょうが、その内悪用されても知らないぞ、美神。
いや、それよりも唐巣神父。今こそこの不遜な孫弟子に対して会長権限を使う時だと思うのですが(笑)。 (Iholi)
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa