ザ・グレート・展開予測ショー

かけおち その12


投稿者名:いたけし
投稿日時:(01/ 9/15)

「めしっ、めしっ、お〜い、愛子めしまだ〜」
「あと、もうちょっとだから待ってて」
トントントントントン
台所から包丁の音が聴こえる
はぁ〜、いい音だな〜
こうゆうのを家庭的って言うんだろうな〜きっと
女の子が俺の家に住んで料理を作ってくれるなんて
ひと月前では考えられん
トントントン
それにしてもいい音だよな〜
やっぱり、女の子と飯食うときは
もわわ〜ん

「できたわよ〜、横島くん」
「やっと、できたか、もう死にそうだったぞ、腹へりすぎで」
「ごめんごめん、はいあ〜ん」
「あ〜ん、うんうまいよ、それじゃあこっちも味見してみるか」
「だっだめよ、横島くん、私を味見するのは・あ・と・で」
「そんなに、待てるか〜」

もわわ〜ん
「よしっ、これだこれで行こう」
俺の中にある、妄想シミレーション・システムが
これで成功するとつげていた
「できたわよ〜、横島くん」
「やっと、できたか、もう死にそうだったぞ、腹へりすぎで」
「ごめんごめん、はいあ〜ん」
見栄えがよくて美味しそうな料理だな
しかも、シミレーションどおり、これはいけるかも
さっそく、愛子の差し出した『あ〜ん』を食べてみる
「あ〜ん」
パクッ、美味しそうな料理を食べる
ポツリ、ひとすじの汗がほほ通して、ふとももに落ちる
いや、ひとすじではない、大量の汗がわき出てくる
ぐお〜〜、まずいぞ〜、愛子の料理、すごく美味しくない
これは盲点だった、なんだかんだ言って、おキヌちゃんの美味しい料理を食べさしてもらってるから、俺にこんな弱点があったなんて〜、まずい料理慣れしてないとはトホホ
「ねえ、おいしい、ちょっとがんばってみたの」
ぐおっ、こんなときになんて質問をどう答えたらいいんだ
この料理のまずさでシミレーションがくるってしまった
ここはハッキリ、言ってやろう、美味しくないってそうしないと上達しないし、愛子のためだ
「ねえ、おいしくないの、せっかく一生懸命作ったのに」
うっ、そんな悲しい顔するなよ、そんな顔すると
「おっ、おいしいよ、愛子」
俺はかなりひきつった笑顔でいった
「えっ、ほんと〜、じゃあどんどん食べちゃって」
たぶん俺は尻にしかれるタイプだな、ガクッ

しかし、色よし形よしの料理(野菜炒め)なのにいったいどこにこのマズさの秘訣があるんだ、謎だ
そういえば、さっきから愛子は俺の方ばかりじっと見て自分は食べてないな、もしや
「おい、愛子も食べろよ、はいあ〜ん」
「えっ私、私はいいわよ、妖怪は食べられないの」
「うそつけ、さっき会ったタマモだって食べているんだ」
「うっいたい、お腹がいたい」
「机はもう無いぞ」
「あはあはははは」
「笑って誤魔化すな、お前これマズいって知ってただろう」
「さ〜て、片付けないとね」
「おいちょっと待て」
俺は腕を精いっぱい伸ばして愛子の肩をつかんだ
「いいから、ひと口食え、はいあ〜ん」
「ん〜ん〜ん〜」
なんとか口を開けないようにふんばっている
「はいあ〜ん」
「ん〜ん〜」
なんというか、こういうことをしている愛子はカワイイのだが、こっちもこんなものを食わされた意地だ
「はいあ〜ん」
「ん〜ん〜」
こうなったら奥の手だ
「愛子の髪ってつやつやしてて綺麗だな〜」
「えっ」(ぽっ)
「いまだ」
俺は愛子が気を抜いた瞬間、愛子に無理やり『あ〜ん』して野菜炒めを食べさせる
「どうだ、おいしいか?」
少し口に入れた愛子は飲み込まず、あおい顔をしてトイレに向かって行った、その行動をみて俺は少し罪悪感がでてきた
愛子がトイレから出てくるとき
「明日から、俺も手伝うよ」
と自然に口から出てきた

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