ザ・グレート・展開予測ショー

ルシオラ復活の数日(リレー化予定)


投稿者名:アルフレッド・トンプソン
投稿日時:(01/ 9/11)

あれから、一年経った。ようやく横島も成長して、高校3年生となった。
この頃になると、貧乏から脱却できている。
100万円クラスの仕事なら横島一人で出来る。7割は紹介料等で美神にはいるのだ。
もっとも、この手の仕事は横島のスキルアップの為に紹介しているといって過言でない。
そして横島は1ヶ月3回程仕事を任されているので、月収が100万前後である。
それでも引っ越し等は考えて無いようである。
説明はそのぐらいにして、初夏の頃、家路に向かう横島は倒れている老人に話しかけている。
「爺さん、大丈夫か・・?ってカオスのオッサンじゃないか」
「は、腹へって・・いるのだ・・」
「マリアは?」
「あいつは・・仕事で出かけていてな」
つまり、そうなると何も出来ないのだ。
「しょうがねぇなぁ。なんか奢ってやるよ、まったく」
ぶつくさ言いながらも、カオスと共に食事をするところが、横島が横島たる所以と言えようか。
「ふぅ。久々の食事じゃよ。いや、有りがたい有りがたい」
「おっさん、どのくらい食ってなかったんだ?」
「はて・・1週間は食ってないかな?」
驚く事しきりであるが、それでも生きているところも凄い。もっともこやつ、人間ではないのだ。
「いや、有り難い。そうじゃな、ボウズには借りが出来たな。ないぞ礼をせねばな。なにか望みはあるか?」
くすりと笑いながら、水を飲んで、
「まぁ、今は特にねぇけど、な。あえていえば」
少し俯いて、
「ルシオラの笑顔が見てぇ、でも無理だろ?」
だが、肯定も否定もしないカオスであった。
三日後、
美神が電話取ると、
「あら。カオスじゃない?えっ?横島クン、家に来いって?」
電話を切って、
「横島クン、一人でカオスが家に来てくれだって」
「そうっすか?言ってきます」
自転車でカオス宅に向かう最中、何の用かと考えていると、
「そういえば、ルシオラの笑顔がって言ったしな。写真でもあったのかな?」
まさか、な。と漏らした。
「横島・さん・お待ち・して・おりました」
「やぁ。マリアおっさん、あれからちゃんと飯食ってるか?」
「Yes・マリア・が・地方の・工事現場に・行ってたら・餓死寸前・横島さん・Drカオス助けてくれた・有難う」
「はは。困った時はお互い様さ」
玄関で待っていたマリアと共に、部屋に入ると、水晶玉大の物が光沢を放っている。
カオスの様相も凄まじい。特に匂いがキツイのだ。
そして、意外な二人がいた。
「なかなか羽振りがいいようだな、横島、今日は地獄の仕事を有給とって来たんだ」
「おっはーでちゅ。ポチ、そういえば、小竜姫様も会いたいっていってるでちゅよ」
「べスパ、パピリオ、どうしてお前達が?」
「おぉ、ボウズか。御主の願いなんとかなるやもしらんぞ」
「なんだって!」
これでもかと声が高くなる。
「先ずな、魂の容量が足りないといっても、形を形成するに足りぬ、という事じゃ」
つまり、「魂や意識その物」を回復するには十分なのである。
「てぇと、器がないって事か?つまり、どっかの死体を使ってって事か?」
「いや、違う体を使うと、その体が体験したことの方が勝る。つまり蟲の嬢ちゃんではないのだ」
「じゃあどうすれば、いいんだよ?」
更に声のトーンが上がる。すると、
「クローンじゃ」
あっ、と横島は悲鳴にも似た叫びを口にする。
「髪の毛一本、血液の凝固一適でもあれば、霊的加工で対処すれば・・」
おそらく成功するだろう、と言った。
「だが、私もパピリオもルシオラの、そういった品は持ってないのだ」
「そうなんでちゅ。わたちも、ルシオラちゃんに会いたいので、探したのでちゅが・・」
良く見ると、二人の顔に隈のような物が有る。カオスから連絡を貰ってずっと探していたのであろう。
横島も考え込む。そして、
「ある!」
比喩ではなく、飛び跳ねてしまう。
「これ、跳ねるな。床が抜けてしまうじゃろうが。で、どう言う品じゃ?」
「ルシオラのパジャマ!、そうだよ、俺のところに来るっていった日の」
べスパがポンと手を叩き、
「そうか、あの日は私と争ったからな。あのパジャマなら血糊が付着しているはずだな!」
「へぇ〜、つまりよこちまは、形見の品として、もってたんでちゅね?やるなぁ、あれ?よこちま?」
今さっきまでいた横島がいない。
「おい、ボウズは何処へいったんだ?マリア」
「横島さん・今・来ます」
すると、
「おぉーい、カオさん、これだ、この品だ!」
M・グリーンも驚くべき脚力である。カオスがルシオラのパジャマを手に取ると、
「出来る。できるぞい、ボウズ!よしこれより霊的手術じゃ。手をかせい」
「あぁ、なんでもしたるぜ、なんなら、オッサンの家賃だろうが、なんだろうが払ったる!」
もう精神がハイになっている。
「そうか、ではすまぬが、これにあるメモの品を買ってきてくれ。マリアと共にな」
大きな試験管から、呪札と凄まじいスピードで買う。
大半は厄珍堂で賄う品である。
「大量購入、サンキューある。えっと、御釣りは・・」
「いらん、じゃあな!」
儲かった有る、と厄珍は述べた。
飛ぶようにしてカオス宅に戻るのだ。
いくらなんでも、子の無駄使いは今月の生活が以前の物となってしまったのだが、
来月からは仕事を頑張る事で挽回できるはずである。
横島がカオス宅に戻ると、パピリオが泣いている。
「あん?どうしたんだ?」
「・・注射、痛いでちゅよぉー」
ルシオラ復活のために、姉妹の血も必要という事だ。
「抵抗物質が必要でな。さて、とその品をこっちに・・・」
実験道具がそろうと、
「さて、あとは霊力が必要なのじゃよ。そちらの二人も勿論、ボウズは・・」
だが、横島の霊力、マイトその物はかなり低い。
「俺は、そんなに」
「じゃから、御主は今、無理してでも多くの文珠を出して欲しいのじゃ」
すると、気張るようにして、腕から十個を越える文珠を出現させる。
「お、おい、ボウズ、大丈夫か?」
「横島さん・気絶・してます・力・使いすぎ」
という事で命には全く別状がない。
「さて、はじめるぞい」
横島は身体が揺さぶられているのを感じて目を覚ます。
困惑気味のカオスだ。
「おい、失敗、したのか?それとも成功か?」
先ず何も言わずに、人間がすっぽりはいる大きさの試験管を指差す。
「る、ルシオラッ!」
特殊な液にひたされたルシオラの体は既に形成されている。
しかも、当然ヌードである。
「せ、成功じゃないのか?」
「半分成功、半分失敗じゃ」
「ど、どういう事だ?」
「・・生命が許された時間じゃ。もともと一年間だったのじゃろ?更に反則でここまで形成したが」
一度、喉を鳴らして、
「数日間が限度じゃ、済まぬ。このまま実験を終えればボウズの娘として転生できるぞ、どうする」
「どうするって・・」
べスパに意見を求めるが、
「お前に任せる。どちらを選択しても私達は何も言わない」
パピリオはくーから、くーからイビキをたてている。
じっと、ルシオラの裸体を眺めていた。
液体の中にいるルシオラがほんの少し、頷いたように見えたのだ。
「そうだよな。ルシオラ」
一人納得した横島が、
「やってくれ、カオスのオッサン」
うむ、と了解してから、魂を試験管に通したチューブの栓を開ける。
試験管内が光輝く。
「だ、大丈夫か?おっさん」
「成功じゃ!」
バリン!
ガラスの割れる音がする。
「る、ルシオラ、俺だ解るか、横島だよ、ちゃんと行きをしているか?」
すると、忘れもしない、ルシオラの声だ。
「えっ?私・・・どうして、あの声は・・!横島、私はここ、どこにいるの?」
煙がもうもうと立ちこめる中、マリアが窓をあけて、部屋の空気か浄化される。
「ヨコシマ、ヨコシマーー」
「る、ルシオラ、やったな!復活したじゃないか!」
横島の胸元でルシオラが泣きじゃくっている。
服でも着なさいと、べスパが涙ながらにルシオラに告げる。
「えっ?」
ようやく自分の姿に目をうつすと、
「・・あっ・・・きゃぁあああああーーーーー」
右手で胸を左手で腹部を隠すようにして、背を向けてしゃがみこむ。
「ルシオラ。おまえのパジャマだよ。今はこれしかないぜ」
横島が、パジャマを渡す。
「うん・・って向うむいてて・・よぉ、恥ずかしいじゃない」
「そ、そうか?」
「でも、手伝ってくれる?・・・って、横島以外みんな出ていってよ!」
了解と、べスパはパピリオを抱いて外に出る。
マリアやカオスも続いて外に出ると、大家がやってくる。
「あっ!大家のバーサン、す、すまぬ。家賃はもうちょと・・」
すると、
「あぁ、それだがね。横島とかいう坊やが礼だとか言って全額払ってくれたぞ。よかったな」
あのボウズ、粋な真似を、と口にせず、心で喜ぶ。
ようやくパピリオが目を覚ます。
「やったよ。ルシオラ復活したよ」
「はにゃ?や、やったでちゅ!」
しかし、この無駄使いは今月のみ、貧乏時代逆戻りになってしまう事となった。

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