ザ・グレート・展開予測ショー

美神さんの弱点?


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 9/ 9)

何時も通りの事務所とは言いがたかった。
メンバー内で唯一外からやってくる横島が見た光景は、
「いやっ!武士の情けよ、シロ」
メンバー内で唯一の大人が電柱にしがみついているのだ。へっぱがそうとシロは頑張っている。
「ど、どうしたんだシロ?」
「あっ。御師匠様。美神殿のほっぺを見て欲しいで御座るよ」
成る程かなり腫れている。既に巫女さんファッションのオキヌちゃんが呆れたように、
「虫歯なんですよ、それで歯医者さんっていってるのに、こうなんですよ」
「だ、だって私が行かないと駄目でしょ!」
「そんな事ないんです。今回の仕事は私とシロちゃん、タマモちゃんで十分なのに・・」
つまり、歯医者に行きたくないと我侭を言っているようだ。
「美神さん」
横島がその腫れている部分を指で突つく。
「!!?」
痛そうである。
「なにするのよ!横島っ」
罵声は慣れた物だ。
「いいっすか。美神さん。たかが虫歯でもほっとくと歯槽膿漏が酷くなって・・」
ブスになりますよ、怪談を言うように厳かに言う。
「うっ・・わ、解ったわ」
オキヌちゃん達は横島の手際、というより美神の扱いが巧いと感心している。
「横島さん。ちゃんと美神さんが歯医者に行くか見張ってください。仕事は私達で」
有る意味大変な仕事を仰せつかった横島である。
「・・・行きますよ、美神さん」
「解ってるわよ、オキヌちゃんが予約した歯医者はすぐ其処よ」
美神を押して引っ張ってと歩いて5分を15分かけて歯医者へと入る。
「いらっしゃいませ」
これは私の偏見であろうか。歯医者のスタッフは皆さん美人なのだ。
この歯医者も御多分に漏れない。
喜ぶ横島対して、美神は歯の根が合わない、つまり震えている状態である。
「予約してある美神っすけど」
「えぇ、たしか女性と聞いていましたが、貴方ですか?」
「いえ、こちらです」
精々にっこり笑うのがやっとの美神である。
「はい。では先ずアンケートをお願いします。それから治療にはいりますからね」
アンケート用紙を預かり、鉛筆を握るのも横島なのである。
「虫歯の経験はあるんすか?」
「ないわ。初めてなのよ」
「どういう痛さっすか?」
当り障りないアンケートをとっているその姿にスタッフの皆さんは、
「あの男の子、弟って感じじゃないわねぇ。美神さんて彼氏連れなの?」
「そうみたいよ、あーあ、私もあんな彼が欲しいわぁ」
何か違うような気もするが。
「はい、これでアンケートは終りっすよ。じゃあ提出してきますからね」
そういって席を立とうとするが、
「美神さん?離してくださいっすよ。届けられないじゃないっすか」
「あの、はやく戻ってきてね。横島・・クン」
横島の袖には汗がびっしょりである。
「歯医者がそんなに恐いンすかねぇ。あっ。おねーさん、美神さんのアンケートっす」
「はい、預かります、貴方も大変ねぇ」
「そうっすねー」
大変の意味合いが若干違うが、あえて指摘することもなかろう。
すると、治療場から子供の泣き声がけたたましく鳴り響く。
「ひぇっ、こ、こわいよー」
美神が耳を塞いでいるので、急いで座席に戻る。
「大丈夫ですからね。美神さん」
半べそ状態になっているのだ。
「子供が泣くのは恐いからっすよ。そんなに痛くないんすから」
「ホント?」
「・・多分・・・」
また泣き始める。
「うそつきー。令子帰るぅー」
「あー、泣き止んでくださいっすよぉ、ほら玩具ですよー」
最早子供扱いである。
隣で雑誌を読んでいる女の人は笑いを堪えているように見える。
そして、とうとう来た、
「美神さーん、美神令子さーん。御入りくださーい」
とうとう呼ばれた。
「じゃあ行って来てください」
だが、横島の腕を掴んで離さない。
「痛いっすよ。美神さん」
「・・やっぱり、治療って痛いのぉ?」
違うのだが、であるが。
見かねたスタッフの女性が、
「あのー。彼氏さんと一緒でいいですよ、入ってください」
結局横島が引きずるようにして治療場へ向かうのである。
「ほら、美神さん。歯医者さんはいい男ですよ」
だが、涙目では白衣しか見えていない。
「・・・だから俺の影に隠れないでくださいっすよぉ」
怯えた猫のような、そんな表現がピッタリである。
「・・・ブスになりたいんすか?」
その一言で肩をヒクヒク動かしてから、大人しく専用の椅子に座る。
「よ、横島クン、そ、傍にいてね」
「いいっすか?先生」
「えぇどうぞ」
歯医者も最早子供扱いである。
「珍しい事じゃないですよ。お子さんの場合はお母さん付き添いも少なくないですし」
美神の頭上で強い光沢が発行する。
「ひっ」
短い悲鳴だ。
「はーい。口をあけてー」
だが、恐怖の所為か、口を開かない。
「美神さん、口あけて」
横島が言うと恐々と口をあけるのである。
歯医者が覗き込むときには固く目を瞑っている、
「ひょ、ひょこしまクン、ひる?(横島君いる?)」
「いますよ。安心してください」
もう、どうでもいいや、という横島である。この状況でナンパなぞは出来ないようだ。
「ふーむ。ちょっと削りましょう」
そういうと、横島のいる場所へ向いている。
「・・美神さん。上を向いてください」
「・・・いやッ」
さすがの横島も少しイラついて、
「美神さん!歯医者さんの言う事をきいてくださいっす!」
だが、こういう状況にも歯医者さんは慣れた物だ。横島に、
「じゃあですね。美神さん。横島君の手を握れば上、向けますね」
「・・・・はい・・・頑張ります」
すっと、左手を横島に差し出す。
「あまり強く握らないで下さいね、美神さん」
美神、仕事柄握力は同年代の男に勝るのだ。
そして、モーター音が、なると当時に、
「きゃぁーーー」
悲鳴も余裕で耳を塞ぐ歯医者に対して横島はおもいっきり耳の傍である。
治療中、くぐもった悲鳴が何度も鳴り響いた、その時にも、
「横島君、いるわね!」
と、確認してくるたびに、いますよ、と答えていた。
そして、治療が終わった。
「はい、終りです。美神さん。御疲れ様」
すると、
「こ、こわかったよぉー」
と、抱き着いてくるから、横島は役得と言えるが、
「み、美神さん、みんなみてるんすから!、有難う御座いました、先生」
先生も少しにやけて、
「いやいや、暑い物を見せてもらいましたよ。あとは御勘定お願いします」
そして横島に連れられるようにして治療場から出ていく。
「あいつら、夫婦か?カップルか?」
正解はご主人様と奴隷である・・・なにか悲しい正解であるな・・。
ようやく落ちついた美神が席に座る。自分の痴態に気がついた美神は、
「は、離しなさいよ!」
だから、美神がずっと抱き着いていたのだが。
「い、いい事、今日の事は秘密よ!誰にも喋ったら・・」
「解ってますよぉ」
と、苦笑交じりに答えた時、横で雑誌を読んでいた女性が、
『あの、はやく戻ってきてね。横島・・クン』
『ひぇっ、こ、こわいよー』
今までの台詞を笑いながら苦笑している。そして、
「でも、一番笑えたのは『よ、横島クン、そ、傍にいてね』、なワケね!!れーこちゃん」
雑誌をとると、誰であろう。永遠のライバル小笠原エミである。
「え、エミ!なんであんたがここにいるのよ!」
「・・ここでデートすると思うワケ?オタク。治療にきまってるジャン」
「エミ、黙ってなさいよ!」
「えぇ〜その必要はナイワケよね。こらぁ面白いモン見たワケね」
「・・・ぐっ!」
何も言えないのは当然である。
しばらくして、メンバーみんなが知るところになるのだが、
からかわれる度に殴られる、横島くんに幸あれ、として、
今回は終りにしよう。

-FIN-

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