ザ・グレート・展開予測ショー

教会の鈴


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 9/ 9)





 ー教会の鈴ー



 神父はその日、憂鬱な時を過ごしていた。
「はぁぁ・・・」
 知らず、ため息がもれる。
 ここは教会。しかしただの純粋な教会とは、とても言えない。
(もう二ヶ月も前になる・・・か)
 放火魔達の爆破テロから、二ヶ月。
 教会はすっかり改築?されていた。以前より遥かに荘厳なものとなり、それは実に喜ばしい事といえる。しかし・・・それでも憂鬱な神父には一つの肩書きが備わっていた。
『日本GS協会(教会)会長』
 それが現在の彼の役職。
(はぁ〜・・・)
 用意された会長用の豪華な椅子を横目にし・・・ため息をつき、胸中で独りごちる。
(思えば・・・最初から最後まで『彼女』の筋書通りだったわけか・・・)
 憂鬱さを押し退け、一連の騒動を整理する。
 あの時。
 最初に・・・貧乏神と共に暮らす幸薄き少女の新居が燃やされた時から、狂う事無く最後まで事は進んだ。
 発火能力を見せつけまくっての、放火。それはこの事件にあたるのがオカルトGメン、あるいは腕ききの現役GSに限られる様にする為だった。つまりは餌といえる。
 早速その事件はGメンの管轄となった・・・彼らが次に狙いを定めたのは自身が愛弟子と共に暮らす教会。その教会を『彼』は『粉々に吹き飛ばして!』くれた。
 グッ・・・!
 手に力がこもる。
 その教会爆破には二つの意味があった。一つは以前の教会を無くす事。もう一つは無論・・・GS達を集める為だ。
 彼女の唯一の誤算。それは神父達が(強欲な娘を筆頭に)犯人逮捕への協力を次々と断られた事のみ。結局・・・表立って事件に関わるやも知れぬリスクを承知で、彼女自身が集合させる事となった。
 集まったメンバーの中、関わらせるには都合の悪い者達が積極的に参加しようとするのを避ける為に、スーツ着用を命じる。
 案の定・・・残ったのは彼女の構想通りのメンバー。
 GS協会に関わる者達の中でも、まさに指折りの実力を持つ某除霊事務所の四人。被害を受け、それでも放火魔検挙に協力する師弟。Gメンの捜査官一人に、腕のたつ部外者一人。
 その中で、神父にバックアップを頼み事件に直接関わらせなかった事も、神父のイメージダウンを避けつつ最終的な目的を達成する為だった。
 直接その任に参加した七人の内、Gメンは捜査官一人に対して、残りは民間の・・・どちらかといえば協会寄りのGS。
 放火魔を取り逃した非難は当然、Gメンより協会の方へと集中する。おまけに民間のGS四人はGメン捜査官と違い、犯人を何も出来ずに取り逃がし、落書きされてGメンを目指す若者や駆けつけた報道に間抜けな姿をさらしただけという・・・どこまでも弁解しようも無い状況が、ここに完成した。
(恐ろしい策士だよ・・・全くあの二人は・・・)
 表と裏から、GS協会とGメンを手玉にとった二人。
 こちらが試作品とはいえ秘蔵のアイテムまで貸し与えたというのに、そんな醜態をさらした協会を立て直す為と称し、Gメンの重鎮である彼女は、言った。

<ーこれから協会を束ねるに相応しいのはあの人しかいないー>

 そうして電撃的に、この状況は完成する。
 誰一人逆らう事無く、またそんな力も権限も無く、協会の会長は交代せざるを得なかった。
(ふぅ・・・)
 三度目のため息。
 付け加える。彼女は自分の娘を大人しくさせる手段を、彼はいざという時に『彼ら』に頼み事を『聞いてもらえる』材料が入手できたと喜々として語っていた事を神父は思い出した。
(もはや言葉も無いよ・・・おや?)
 階下から何かが聞こえた様な気がし、眉をひそめる。
(・・・ピート君か?ならどうして遠くから・・・?)
 万が一の事も頭の隅に置き、慎重に階段を降りて行く。
 やがて・・・以前と比べ立派になった外へと続く扉の前に、彼らはたたずんでいた。
 良く知る弟子の好青年。そしてその青年の袖口を小さい手で掴んでいるのは、ずぶ濡れな上に汚れて泥だらけの服?を身につけたーー少女。もう片方の手で何かを握り締めている。
(・・・?)
 状況は把握できない。しかしこんな状態の子供をこのまま放っておくなど出来ない。
(・・・!)
 神父が一歩踏み出したのを目にし、少女は瞳に脅えの色を浮かべ・・・横の青年にしがみつく。

 その時神父は確かに耳にした。

 ーチリンー


 ー少女の手に在る鈴の音をー

 

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa