ザ・グレート・展開予測ショー

君がいるだけで(5)


投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/ 9/ 7)

「おはよう、元気のいいお嬢ちゃん」
 百合子は少しビックリしたようだったが、すぐに立ち直り息子の部屋に飛び込んできた見知らぬ少女に挨拶を返した。
「お…おはようございまする。――あれ……!? ここは先生の部屋じゃなかったでござるか!?」
 挨拶を返されたシロは部屋を間違えたのかと、ドアの外をキョロキョロと見回したが、「シロ!」と自分を呼ぶ声が聞こえて、部屋の中に横島の姿を見つけると、嬉しそうにしっぽを振ってもう一度朝の挨拶をした。
「あ、先生! いたでござる。おはようございまする。」
「おう、おはよう。」
 横島がいるのがわかり安心したシロであったが、今度は横島の部屋にいる大人の女性が誰なのか不信に思い見つめる。ただこの女性からは嫌な感じは感じられない。
「先生、この人は誰でござるか。」
「ああ、俺のおふくろだよ。」
「おふくろ……、先生の母上でござるか!!」
 シロは叫ぶと同時に、百合子に向き直り姿勢を正した。
「知らぬ事とはいえ失礼致したでござる。拙者、横島先生の一番弟子にて犬飼シロというでござる。以後よろしくお願いするでござる。」
「あらあら、ご丁寧に挨拶をどうも、――私はこのバカ息子の母親で百合子といいます。よろしくね、シロちゃん。」
 しゃちほこばって口上を言うシロをおかしそうに見つめながら百合子も自己紹介した。
その後、百合子が美神事務所に行くというので、シロが案内を兼ねて一緒に行くことになった。横島は二人の後から不満そうな顔でついてくる。
シロは自分が修行のために東京に出てきたこと、今は美神事務所の屋根裏部屋でタマモと一緒に居候していること、それから、このごろの身の回りで起こったことなどを歩きながら百合子に話している。
「えーと、シロちゃん。さっきから忠夫の事を先生とか呼んでいるし、一番弟子だということだけど、どういうことなの?」
「はいっ! 先生は拙者にとって剣の師匠でござる。」
「忠夫が!? 剣の師匠!? 何かの間違いじゃないの?」
「先生は拙者に霊波刀の出し方を教えてくれたり、修行の手伝いをしてもらったりしたでござる。」
「ふーん、忠夫がねー……」
「どうだ、少しは自分の息子を見直したか! おふくろ!」
 ふんぞり返っている息子を疑わしそうに見つめる百合子であった。母親というものはなかなか自分の息子の成長を認めたがらないものだろう。
「まあ、おまえも少しは成長したかもしれないけど、女の子に関しては相変わらずちゃらんぽらんみたいだねぇ。」
「な…なんだよ、いきなり……」
「だっておまえ、寝言で女の子の名前を叫んでたじゃないか。」
「え……!?」
「またでござるか」
 それをシロが聞いて不満顔でつぶやく。
「ま、またってどういうことだ…!」
「拙者がサンポの誘いに来たとき、先生はたいていまだ寝ているでござる。」
「おまえが、朝来るのが早すぎるんだ!」
「それで拙者が起こそうとすると、いつも寝言で女の人の名前を言うでござる。」
「ふーん……例えば誰の名前が出てくるの?」
 横島が慌てる横で百合子が意地の悪い顔で訊ねる。
「えーっと……、一番多いのは美神どのでござる。それからおキヌどの、エミどの、冥子どの、小竜姫どの、ヒャクメどの、ワルキューレどの、小鳩どの、愛子どの、魔鈴どの、弓どの、一文字どの……まだもう少しいたと思うでござるが多すぎてわからないでござる。」
「うわぁぁぁぁ……」とうろたえる横島のそばで、百合子は「はぁ……」とため息を吐いてあきれ果てている。
「やっぱりあんたは、父さんの子だねぇ。でも、今朝の寝言の女の子はシロちゃんが言った中にはいなかったから、つい最近『ふられたコ』かい?」
「な…なぜ、ふられたかどーかわかるんだ――!」
「じゃあ、もてたのかい?」
「くっ……!」
 母親の一言に何も言い返せない横島であった。

*** つづく ***

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa