ママがライバル?
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 9/ 7)
美神GS事務所の玄関にも春の足音が来ている。
「んじゃ、俺はこれで」
「御疲れさん、明後日は大仕事だから体調整えといてね」
以前はこんな姿を見ることはなかったであろうか。横島の御見送りだという。
「ちがうわよ。今日は一度も外に出てないから、ついでよ、ついで」
美神が事務所に戻ったと同時に横島が財布から自転車の鍵を出したとき、
自動車のクラクションと共に、
「横島くーん」
名前よばれたかな、と道路のほうを見ると、
「横島くん、こっちこっち!、御久しぶりね」
「あっ、隊長さん!」
隊長事、雇い主の母親である美神美智恵さんである。
「どうも〜、令子はどうしてる?」
「えぇ、美神さん・・って隊長も美神さんか、中にいますけど、書類整理で大変らしいっすよ」
かなり未処理の書類が溜まっているらしい。
「そうなの・・うーん、あっそうだ!」
ぱん、と手を叩いてから、
「ねぇ、横島クンはこれから予定有る?」
「いいえ。帰って飯食って寝るつもりっすよ」
「実は娘に買物を手伝ってもらおうと思ってね。でもそういう事なら横島クン御願いできる?」
人をなんだとおもってるのか、と言いたいでもない横島だが、
「食事をおごるからさっ、御願い」
一発で落ちた。
「それじゃあ喜んで!えっと、自転車は・・事務所においときゃいいっすし」
「よかったわぁ。さぁ乗って乗って!」
助手席のドアを開けて、横島を乗せた。
「じゃあ行くわよ」
車を動かした時、事務所のドアがあいて、
「横島くん、まだいる?」
何の用か美神令子が顔を出す。
「あれっ?自転車はあるのに、あいつがいない。誘拐なんて柄じゃないしねぇ」
丁度巣を作っている鈴女に話しを聞くと、
「うん。美神さんのママの車にのってったよ〜〜」
「なっなんですって!!」
急いで事務所に戻って電話のプッシュホンを押す。
美智恵さんの運転する車内の会話は、
「隊長さん、ひのめちゃん、大分大きくなったんじゃないっすか?」
「そうなのよぉ〜、でも最近夜泣きがねぇ」
当りさわりのない会話の中、携帯の着信音が鳴る。
「あらっ?誰からかな?横島クン、悪いけど出てくれる?」
「いいっすよ。で携帯は?」
「あっ!胸ポケットだ・・いいわよ、取ってくれる?でも運転中だから・・」
悪戯しちゃ駄目よ、と余裕の一言に柄にもなく赤くなってしまう。
留守電に変換される前に着信ボタンを押すと、
『あっ?ママ令子よ』
「美神さんっすか?俺っす。横島っす」
隊長に美神サンからっすと報告するが、
「だから、私も美神難だって。令子ね。でなんの用なのって聞いて・・」
用件を聞いてくれるようお願いしたところ、丁度赤信号になったので、
「あっ、いいわ私が出る、なにかよーぉ、令子」
『何かじゃないわよ!なんで横島と一緒にいるのよぉ!』
「何ってあんたに買物を頼みたかったけど仕事があるからって横島クンに頼んだのよ」
『そ、それだったらさぁ!』
「断わる必要あるの?、あぁ場所はいつものデパートよ」
向側の信号が黄色になったので、
「じゃ切るからね。御仕事頑張ってー」
『ちょ、ママっ!』
無機質な通話終了音をしばし堪能した後、ソファーに寝そべってしまう。
仕事は、手につく状態ではない。
オキヌちゃんが購入しているのか、10代向けのゴジップ雑誌を手に取る。
「ママだもん親父を愛していると思うし・・・間違いはないと・・・思うケド・・」
ページをめくると、少し過激なページになる。
「うーん、でも、ママってまだ若いし・・・それに、なぁ」
恋愛に関してはかなり情熱的なママであるのだ。
更に、その次の記事が過激さを増す文章だ。
「何々・・。人妻の浮気リポート・・??」
最後まで読めた物ではない。荒々しくその雑誌を放り投げて、
「私、出かけてくるからね、みんな留守番よろしく」
声も荒げに車の鍵を戸棚から出す。
さて、向かったデパートは地方のそれより若干おしゃれな建物である。
「隊長ぉ、他に何を買うんすか?」
「そうねぇ。あとはひのめの紙オムツのストックと、ティッシュかな?」
振り向くと、結構な量になっているので、
「ゴメン、横島クン、調子に乗っちゃって。一度車に戻る?」
「いいえ、大丈夫っすよ、美神さんの比じゃねぇえっすから」
「私も美神なンだって。でもあの娘ったら、まったく」
生活消耗品を大量に購入した後、
「あとはねぇ。春物のコート欲しいのよ。それを付き合ってくれたら御馳走するわ」
「いいっすよ、でも一度荷物をトランクにいれていただいた方が」
「えぇ、いいわよ」
一度車のトランクに荷物を入れてから再度デパート内に戻る。
すると、その駐車場にアメ車がやってきた。
「ママと横島はどこなのよ!」
開いているスペースがないので、イライラがつのるのである。
さて、婦人物コーナーというのは、最初にランジェリーが目に入るのが、
男にとって気まずいのであるが、
「ふーん、春物の新作ね。これなんて可愛いかな?」
美智恵さん、手にとって洋服の上に添えて、
「これなんてどうかな?横島クン?」
「あっ、その・・」
そっぽを向うとするのだが、誘惑故か、ちらちらこっちを見ているのだ。
「あまり御気に召さない?そうだ。横島君ならどれ選ぶ?」
そこは、美神令子さんの下着泥棒暦ウン年の横島である。着眼は悪くない、と思う。
「この、ちょっと赤いのが入った、のがいいんじゃないっすか?」
「じゃあそれにする」
そういって、サイズを店員に告げると、ストックはちゃんとあったらしい。
結局春物のコートは買わずに、
「じゃあ約束ね。食事を奢ってあげる」
一階の道路に面した小さな喫茶店には、三人用のテーブルが残っていた。
そこに案内されて、席を取る。
「お好きなのをどうぞ」
「んー、じゃあホットケーキのサラダ珈琲セットで」
「じゃあ私はクラブサンドのセットね。でも横島君もホットケーキなんだ」
何か嬉しそうにこちらを見る。
「何がっすか?」
「あのね、令子もここに来た時はホットケーキなのよ」
「へぇ!美神さん・・・って隊長もですよねぇ」
令子と呼ぶには身分が下である。娘さん、どう解釈してもひのめちゃんだ。
「しょうがないわねぇ。美神さんでいいわよ。そうよ、小さい時はよくここに来たいってダダを捏ねたものよ」
「へぇ。今じゃあ考えられないっすよ」
「そうなの?でも今日はホントご苦労様ね。大荷物になっちゃって」
それこそ、横島が可笑しく感じる事で、
「んな事ぁないっすよ、だって美神さんと買物だと・・・・」
最後の言葉が凍りつく。目の前に影が出来るて、
「私とだとなんなの?」
「みっ、美神さん!!!!」
なんとも複雑な表情の美神令子登場である。
「あら、令子書類整理は終わったの?何突っ立ってるのよ?座ったら?」
横島の隣にある席を指す。
「で、書類整理は終わったの?」
「う、その・・」
「終わってないの?ふーん。心配になって来たんだ」
「べ、別にぃ、折角だから奢ってもらおうかなって、ね」
「あら?何で私が?」
くすくすと、笑いながら娘に向かって、
「令子、貴方にはライバルが多いのだからしっかりしないと」
声が少し上ずって、
「だ、誰が横島クンを交えてのライバルなのよ!」
美智恵さんは笑い混じりの声で、
「あらっ?誰か横島クンに関してのって言ったの?」
美神令子、二の句が続かない。そして、
「あっ、そうそう。これ貴方にあげるわ。横島クン推薦のブラ。サイズは合わせてあるわよ」
恐怖で何も言えなかった横島の心に、最初からこういう事だったのかと、妙な納得をした。
「じゃ、あとは若い二人に任せるわね」
美神令子の為に注文にきたウエイターに、私の注文をこちらの彼女に、と言って駐車場に戻る。
「あの、俺ホットケーキ頼んでるんすけど、交換します?」
という横島の言葉だけは確認している。
「まったく、あの子のシャイな性格は誰ににたのかしらねぇ」
そう言って車のキーを廻した時に、
「あぁ、ウチの旦那か。まったく少しは私に似ればよかったのにねぇ」
既に暗闇になった都会へと車を走らせた。
ちなみに、この日の様子はどうなるのかを聞いたのは大分後だそうである。
-FIN-
今までの
コメント:
- ***告知***(何度となく使い回し)
『展開予想』常連の憩いの場「秘密の社交場」では随時参加者を募集しています。
まぁ「常連さん専用のBBS」と思って戴いて結構です。
参加者にはもれなく愉快なニックネームが貰えます。多分。
当「社交場」はあくまで秘密なのですが、行き方のヒントは以下の通り。
社交場の場所は、タイトル「ショ」(おすすめ)、又は作者名「トン」で投稿検索。
その後は一番数の大きい鈴女の名が入った作品タイトルをクリックしてみましょう。
「社交場」発のリレー小説企画『タダオの結婚前夜』も参加者を募集中。
こちらはタイトル「【」で投稿検索すればどんな物かお解り戴けるでしょう。
やはり詳しい事は「社交場」の方にあるので、一度探してみて下さい。 (トンプソン)
- すごくよかったです!!読みながら、頭の中でマンが書いていましたよ〜かなりわらいました。
美神さんも素直になればいいのにな〜! (ユカ)
- なるほど、あの性格は父親譲りか(笑)
言われてみれば、みょーに納得できます。 (JIANG)
- いいすねー
ところでガメツイのは誰似なんだ?
覚醒遺伝か? (カディス)
- ブラブラブラボー!(変態)
面白かったです!この後の続編や後日談は出ないのでしょうか? (二エー)
- 上のです。すいません。 (二エー)
- ニエーさんへ。
続きですか?全く考えてなかったのですが、
若しやるとしたら・・うーん、どろどろぐっちょんの世界にはいりざるを、
得ない状況なので、
辞退したいんですけど・・。
よろしいかしら? (トンプソン)
- 確かにあの性格は父親の遺伝ですね。
美智恵さんはやっぱ母親だけあって美神さんを操る(?)のがうまいんですね。 (G-A-JUN)
- 途中まで「娘にああ思われといて、公彦形無しやな」と思わせておいて、最後に来る処が巧い。 (Iholi)
- 上手いですねぇ。会話主体でここまで内面を書けるのは凄いです。
あぁ、この後の横島に合掌…… (ロックンロール@過去ログの海潜水中)
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