鈴
投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 9/ 7)
ー鈴ー
その少女は一人だ。
どこからどこまで続くのか、灰色の中で少女は一人。
(・・・・・・)
何の為に歩き続けてるのか、それも解らない。
どこへ行こうとしてるのか、それも解らない。
ただ少女は歩き続ける。
先程までの強い雨風にさらされ、濡れた髪に、間違っても服とはいえないただその小さい躯を包むだけのぼろぼろの布きれ。
ーそして、光無き虚ろな眼差しー
「・・・・・・!」
誰もが少女を嫌悪した。誰もが少女に畏怖を抱いた。
腫れ物を見るのと大差ない、その眼差し。一人として声をかけようともしない。
だがそれも、少女には何の『痛み』ももたらさなかった。
(・・・・・・)
変わらず歩く。雨も止み、厚く空を覆っていた雲の間から光が差し込む。世界が陽光に彩られる。
それでも少女にとって、その世界は灰色だった。
(あ・・・)
パシャアン!
何かにつまづいて、少女は水たまりへ飛び込んだ。
(・・・・・・)
無表情のまま、起き上がる。プルプル首を振り、周囲に滴を撒き散らした。
「キャア!」
「うわ!汚ぇ!」
決して好意的でない眼で離れた位置から、囲むように少女を見ていた者達が、更に距離をとる。
(!)
少女の顔が歪んだ。無論周囲の人間の性質の悪い好奇心に傷ついたわけではない。
(どこ・・・?)
ゆっくりと辺りを見回す。やがて少女のどこか焦点の定まらぬ瞳は、キラリと光を反射する小さな何かを映した。
パシャ・・パシャ!
駆け寄る。少女はそのつもりだったが、周囲にはとてもそうは見えなかった。それでも少女は懸命に、その何かに手をーー
ヒュン!
(!)
少女の荒れたその手が光る何か掴むより早く、黒い影がそれをさらった。そのまま飲食店の看板の上へと降り立つ。
『カァ・・・カァ!』
何かをくわえる黒い影、それは一匹のカラスだった。
「あ・・・」
少女が手を伸ばす。当然・・・届くわけもない。そんな少女を嘲笑うかの様に、闇色の翼を広げてカラスは飛び去った。
「あ・・・あぁぁーーーーー!!!」
悲鳴。
それはまさに悲鳴だった。どこまでも『悲』しみを込めた少女の『鳴』き声。からかうように見ていた者達も皆、その声に揃って顔をしかめる。
(あぁ・・・あ・・・)
少女は硬い地面に両手を着いて、ボロボロと両の瞳から大粒の涙をこぼした。見続けるには余りに痛々しい。
そうしてるとふと・・・誰かが少女と陽の光とを遮った。
(うっ・・・ぅ・・・!)
それも少女には関心の無い事だった。黙って嗚咽を漏らす。
フゥ・・その誰かは嘆息した。
「ねぇ、この金色の鈴、君の?」
ハッと、涙に濡れた瞳のまま、少女が顔を上げる。
(・・・ぁ)
そこに立っていたのは、青年だった。
太陽の光を背負う形で、見事な金髪を輝かせて・・・スーツ姿でその青年はそこにいた。
「ねぇ、君・・・どうしたの?」
困惑する青年の声。少女はただ黙って、青年を目にした時、心の奥底で生まれた一つの『想い』を繰り返していた。
(天使様・・・?)
ーチリン・・・と鈴が鳴ったー
今までの
コメント:
- 「・・・前のを書き続けている間に思いついたお話です・・・読んで頂けたら嬉しいです」 (AS)
- 懲りないですね、自分・・・それでも書きたいので仕方ない、です。 (AS)
- ピートですよね?
じゃあ少女はアン?
なんか西部劇みたいな街を想像しちゃいました (カディス)
- 取り敢えず、続きに期待したいですね。 (Iholi)
- 鈴・・・かぁ。上手いなぁ。
続き、期待してます♪ (眠り猫)
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