FORCES(9)震える手
投稿者名:二エー
投稿日時:(01/ 9/ 7)
―あのときから私達の心はバラバラになってしまったのかもしれない、すべてが解決したと思ったあのときから―
横島さんが変わった。変わってしまった。私には・・・もう横島さんが何を考えているのかわからなくなってしまった・・・アシュタロスを倒し、ルシオラさんが消えてからだった、あの人が私達と距離を取り始めたのは・・・別にはっきりと拒絶の意思を表されたわけじゃない。話しかければいつもの優しい笑顔が返ってくるし、いつもの様に美神さんにえっちなことをしようとしてお仕置きされたりもしている。むしろ悪ふざけは以前よりふえたぐらい。でも、でも私には横島さんのそんな行動のすべてが嘘臭く、痛々しく見えた・・・まるでつらい事があっても無理やり笑顔をつくり、おどけてお客さんを笑わせようとするサーカスのピエロのように・・・
私にも・・多分美神さんにもそれぐらいの事はわかる。
「白々しいことはやめてください」・・・何度この言葉が私の喉からでかかったか解らない。でもその道化振りは私達に対する優しさから出ているのが解るだけに何もいうことが出来なかった。
以前魔理さんが言っていた。
「ふだん『俺は悩んでるんだぜーッ』って顔してる奴や暗い奴ってのは実はそんなに深刻
な問題をもってねえんだよ。・・・一番つらいのはいつも明るい奴なのさ・・そういう奴は優しい分他人に心配されないようにって気張るからな。それに問題がもう考えても仕方ないところまで来てるってことだしな・・・親しい奴が見てるとその無理がわかるから痛々しくってしょうがねえ・・・せめて話してくれりゃイイのによ・・・」
その時魔理さんは遠い目をしていた・・・
今なら魔理さんのいっていたことが少しは解る気がする。そう、優しく、強い人ほど実は心に隠したいろんな物をしょっているということが・・・だからこそその人は明るく笑うのだと言う事が・・・・
そして私達もそんな横島さんの優しさに応える方法と言えば・・嘘臭くても、横島さんの傷が癒えるまでいつもの「私達」を演じることぐらい・・・だけどそれはお互いに、何処か空々しく、うそ臭い、苦痛を伴う出来の悪い演劇のようだった。そして横島さんはそのキャスティングから逃れるように単独で仕事を受ける事が多くなった。美神さんはなぜか横島さんのそんな行動を止める事をしなかった。ただ収入が増えるからいいわとしか考えてないとは・・・思いたくないけど。
「俺一人で大丈夫ッスよ!美神さん!」・・・・そう言い残して今回もあの人は仕事に行った。そして・・・ぜんぜん大丈夫じゃない姿で帰ってきた。
西条さんから連絡を受けた際、私は耳を疑った。そには普段私達に見せているのとは別の・・・別人の横島さんがいた。仕事の内容も・・・だから横島さんはひとりで・・・
今度からは絶対一人で仕事をさせるわけにはいかない・・今度は、今度は本当に死んでしまうかもしれない・・・美神さんにかみついてでも連れてってもらわなきゃ・・・
ガチャ
あ、横島さんが帰ってきた!
「ただいま・・・・」
横島さん、おつかれさま・・・・ひどい・・やつれて・・それにけがも・・・
「よ、横島さんどうしたんですその顔・・・それにひどくやつれて・・・」
思わず口に出てしまう。
「何言ってるのよおキヌちゃん、私達の仕事では・・・・」
解ってます。解ってますけど!こうなるって解ってたんならどうして横島さん一人に行かせたんですか!美神さんも最近おかしいですよ!横島さんを殺したいんですか!
叫びそうになるのをこらえる。ともかく休んでもらわなきゃ・・・
「大丈夫ですか・・・無理しない方がいいんじゃ・・」
「いや、大丈夫・・・だよ・・報告が済んだら・・・すぐに・・あがらして・・」
横島さんはそういうとソファーに倒れるように座り・・ポケットから何かを取り出した。
それは、タマゴに目鼻口がいびつな形でくっついているような―不気味なものだった。
「ええ・・結局奴は正真正銘の・・・もと人間で・・・その割にはタフで・・俺も殺されかけて・・でも俺もこのベヘリットを手に入れて・・・『俺も』・・『これを使えば魔物に』・・そうすれば・・・あいつも・・・うまく使えば・・・生き返られるかも・・・しれな・・・」
「ちょ、ちょっと横島クン?」
「な、何言ってるんですか横島さん、訳がわかりませんよっ!横島さん!横島さんってば!」駄目・・・眠ってしまった。
『俺も、これを使えば魔物に』・・『あいつも、生き返るかも』
本当はすぐに意味が解った・・美神さんもその顔は・・解ってますね・・・
これに、このタマゴにそんな力が・・横島さんはこれを使うつもり?使って魔物になってルシオラさんを・・・・
嘘だと信じたい。疲れて出てきた横島さんの妄想だと・・・
「ともかく、横島クンが起きたらもう一度話してもらいましょう・・この馬鹿、西条さんの話にはこのタマゴの事なんて一言も出てきてないわよ!・・まったく!」
そういうと美神さんはその目鼻付きタマゴをデスクに入れる。冷静を装っていたが美神さんの手は・・・震えていた。
私が横島さんにヒーリングするためにその頬に当てた手も・・たぶん震えていたと思う。
「ルシオラ・・・・」
横島さんの頬から涙がつたって私の手を湿らす。
ルシオラさん・・あなたが悪いんじゃないのは解ってます・・・でも、でもお願いです!横島さんの心を私達に返してください!でないと・・・でないと横島さんは・・・・・
泣きながら眠る横島さんからは何故か「魔物」の臭いがした・・・・
横島さん・・・・・
今までの
コメント:
- だいぶ遅れてしまいました、いや、なんか「横島のスニ―キングミッション」と同時やってバランスを取っていかないとと思いまして・・・・(いいわけ)
こんな作品を楽しみにしてくれているダテ・ザ・キラーさん、GーAーJUNさん、sauerさん、いたけしさん、AERSENALさん、sigさん、ihoriさん。いつもコメント本当にありがとうございます。皆様のコメント、作品をみていろいろ参考にさせていだいております!その他名前は無いけど投票してくださった皆さんの暖かい一票にも感謝感激です! (二エー)
- いいっすねー
でも横島ってすでに生命力は魔物並じゃないですか?
不死者(ノスフラティー)横島なんちって (カディス)
- サイコホラァっぽい展開に成ってきましたね。ベヘリット云々の元ネタは知らないので、どうなるのか予測が付かないのか愉しかったり。美神ファミリィ崩壊の危機か? (Iholi)
- よこしま〜
お前がそうしたいなら俺は止めない
しかしお前には仲間たちがいるだろ〜
その仲間を大事にしないでどうする
俺はルシオラ復活を祈る(結局どっちなんだ) (いたけし)
- ヨコシマ・・・
そんなもん使う前に魔装術をつかって陰念みたいに
暴走?すりゃいいじゃん、元に戻れるし。 (Lovin)
- ベヘリットを敵から奪って以来横島くん自身も相当肉体的にも精神的にも疲れてしまっているようですね。
横島くんが最終的どう決断するかが気になります。 (G-A-JUN)
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