ザ・グレート・展開予測ショー

火消し戦隊、駆け抜ける!


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 9/ 6)




 ー火消し戦隊、駆け抜けるー



 灼熱が大地をえぐってから、しばらくして。
「あ、危なかった・・・怪我は!?」
 やや乱れた金髪の美青年は、そう言ってから顔を赤らめた。
「あの・・・」 「す、すいませんっ!」
 すぐさま、二メートル程離れる。
 あの瞬間、金髪の青年『ピート』は迫る大火球を前にして、体を霧とする事で回避に成功した。体術に頼らずあえてそうしたのは、自分のそばにいたもう一人も助ける為である。夢中でそうしてから気がつくと、ピートは顔見知りの女性、魔鈴めぐみに覆いかぶさる様な格好だった。
「ああああの!これは!不可こここううう・・・!」
 人の何倍生きているのかも知れないというのに、知り合いのどの男性よりも過剰な反応(某煩悩青年とは別の意味で)を示し、耳まで真っ赤なその青年を見、微苦笑をもらしつつ魔鈴は身を起こした。さっきまで自分達がいた場所へと目線を向ける。
「クレーター・・・ですね」
 立ち直ったピートの言葉に微かに頷いてから、更にその場を注視する。生々しい事だが黒焦げの焼死体等は見当たらない。全員が恐らく脱出に成功したのだろう。そう結論を出し、行動に移ろうとした・・・その時。
 ゴオァン!
「ういぃぎぁゃやああぁ・・・!」
 爆音と、実に聞き慣れた悲鳴が、二人の鼓膜を揺さぶった。

 ドゴ!ゴアァッッ!!
「し、洒落になんないっすよーーー!美神さはーーーん!!」
 そう叫べるだけ余裕があると思えるのは気の所為だろうか?滝の様に涙を流して自分の右横を疾走するアシスタントの青年に対し、美神は冷たい目を向けた。叫び返す。
「ガタガタうるさい!んな暇あったらさっさと文珠で『雨』でも降らせなさい!」
「む、無理っすよー!さっき野次馬眠らせるのに一つ使っちゃったし!こんな状況じゃ集中してられないっすーーーー!!!」
 このまま毎度おなじみ、不毛な言い争いに発展されると困るので、後ろの西条が会話に割り込んだ。
「しかし・・・どうする?確かにこんな状況では集中して霊力は使えない、かといって生半可な霊波では先程の様にあの炎の膜で弾かれるだけだ・・・」
 西条の言葉を受け、美神は走りながら考える。常に敗色濃厚な戦況を覆してきた反則技を練りだそうと試みる。
「ーーーよし!決めた!」
「良いアイデアが浮かんだのかい!?」
 西条の顔が輝く、それを見て美神はグッ!と親指を立てた。
「ええ!というわけで横島君ーーー・・・」
「却下じゃーーー!あんたいつもそればっかりぃぃぃ!!!」
 即座にそう言われ、美神は舌打ちした。
「やーねー、冗談よ!じ・ょ・う・だ・ん!」
 そう笑顔で言う美神の頬に、一筋汗が流れるのを横島は見逃さなかった。やれやれといった様子で再度、西条が割り込む。
「ふぅ・・・令子ちゃん、他に何か手は思い浮かばなかったのかい?さっきのもいい手の様な気はしたんだが・・・ね」
(この野郎・・・!)
 西条に対して、あいつは敵だ!という認識を新たにした横島。それはともかくとして、美神が口を開いた。
「そうね・・・このまま逃げ続ける!あいつだってどんなに能力高くても人間!ガス欠になったところを袋だたきよ!」
「やはりそれしかないか・・・しかしそれではこの公園に被害が・・・」
 そう言い西条はチラリと後ろを振り返る。こちらがあえて道沿いに進んでいる為に木や草花に被害は無いが、走ってきた道は焦げだらけでボロボロだ。そんな光景を目にし、この公園を整備してきた顔も知らぬ誰かの事を想い、西条はいたたまれない気持ちでいっぱいだった。
 しかし。
「ま、私達の任務はアイツらとっ捕まえる事だし、知ったこっちゃないわ!シロ!おキヌちゃんをしっかり護るのよ!」
「ハイでござるっ!」
 シロに背負われる形のおキヌが、すまなさそうに声をかけた。
「ごめんねシロちゃん・・・帰ったら特製のお〜っきなステーキごちそうしてあげるね」
「と、特製!?おキヌ殿!その言葉・・・百人力でござる!!」

 爆発的に速度を上げるシロ、待ちなさいと同じく速度を上げる美神と、罪の意識に頭を抱える西条に酸欠寸前の横島。

 ーー追いかけてくる爆炎を背にしーー彼らは駆け抜けたーー

 ーただ、ひたすらにー

 そんな彼らを、一際高い木の上から見つめる者達がいた。
『いや〜助かりましたよ藍さん、ここまで運んでくれて・・・』
 丈夫そうな太い枝に腰掛け、茶をすする仮面を憎々しげに見据えてから・・・荒い息のまま彼女は答えた。
「か、風を呼ぶのはね!疲れるのよ凄く!・・・とにかく礼なんかいいからあの人を・・・」
 その言葉を聞いて、仮面はそっと両足で枝の上に立った。特等席から空を見上げ・・・聞こえぬ様ボソリと呟く。

『もう少し、後五分というところですね・・・』

 ー下では再度、爆発音が響いたー


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