ザ・グレート・展開予測ショー

極楽大作戦 de 時代劇 第弐幕 巻之拾壱 


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 9/ 5)

さて、唐巣寺院より、然程はなれていない、山麓にある六道屋の別宅には、氷室夫妻が住み着いている。
「お休み下さいませ、オキヌ様」
おしろ(シロ)と恐山が貧血気味の氷室オキヌ様をここまで連れていている。
床の用意は対象者の髪をほどいてからである。
「こらっ。頼経殿。何を見てるでござるか。そだ水汲みを頼むで御座るよ」
「ガッテンでごわす」
それから部屋掃除や、水汲みが終わった頃。
「んぁあー!よっくねた!」
「あっ。大丈夫で御座るか?」
「うん。最近ちゃんと寝てなかったからね」
「ん?慣れない土地だからで御座るか?」
「ううん。こうやって、一軒家にいるとね〜」
夜が短くなるという事だ。
恐山が特に真赤になってしまった。
で、今オキヌ様の手料理を味わっている。
早秋の事、全てに脂が乗っている。
早米に、とりたての山芋。汁物は恐山が山で採って来たなめこ。
唐土(とうもろこし)の粒を茹でた物に山葵を添えた小鉢。
そして、落ち鮎。つまり子持ちの鮎である。
「美味いでごわす!」
大きな体な事、良く食べる。
「おやまぁ、沢山食べなはるなぁ。おしろはんは食事の用意が大変になるやろなぁ」
「へっ?」
恐山の食事が一瞬止まった。
どうも女には勝てないでごわすと顔に出ていた。

奉行所でも魚が出ている。しかもみいとけいの親子の前に、
アメリカの猫は肉を好むそうだが、この国の猫はどうであろうか。ご存知の通りである。
しかもけいは、まだまだ子猫といた所だ。
「余程空腹であったようじゃな」
正体を見せて無邪気にしているが、母親としては、不味い状況である。
「・・くっ。こ、こんな所で正体が!」
毛が逆立てているが、奉行西条は、
「うん?おぬし等がハナから人でない物と理解していたぞ?もっとも猫系とは解らなかったが」
へっ?と意外だわと、言いたそうな顔付きのみぃに、
「我が藩も人でない者は少なくないぞ。たしか腰元のおしろは狼の血を引いてるし」
よかったらお替りするかい、と、奉行西条はけいに話しかけるとみいの毛羽立ちも納まった。
みいとて、魚は大好物である。
食事が終わり、膳を取りに来た婆やが来た。
「これから、御話しですか?このばあやが坊ちゃんを預かりして方が」
「よろしいですかな?みい殿」
「けいが、よかったら」
御饅頭をあげますよ、とばあやが言った所、喜んで付いてきたと言う。
西条は煙管を断わって、火をつける。
「さて、先ず何故に関の事をしっておるか、聞こうか」
「ご存知の通り我々は人でない者。故でしょうか、石佛であった関様のお言葉が聞こえました」
「して、何と?」
「なんでも、ば、ば・・」
「馬醫羽(バイパー)か?」
「はい。その馬醫羽とやらを打破する武器を持っているとか」
危うく煙管を落しそうになる。
「何故にそれを?」
「それで、私には解りませぬが、めぐみ(魔鈴めぐみ)という女性(にょしょう)を連れてきてほしい、と」
言い終わると、ほっと一息をつくみい。
「そうか。御苦労であったな」
台所できゃっきゃと、けいの遊んでいる声が聞こえる。
「時に宿はとったのか?」
「いいえ。これから探そうかと」
ふむ。と唸ってから、
「良かったら、私の屋敷を貸そう。この時間帯、女子供の連れでは大変であろう。
最初は戸惑ったようだが、御邪魔しますと頭を下げた。
「ばあやに案内させよう。詳しい事はばあやにきいてくれ」
けいも、婆やに懐いているようである。
母子が何度も頭を下げながら、闇に向かった後、蛮平信(ヘルシング)を呼び、
話しが始まる。
「・・と言う事だ。どう思う?」
「その母子、嘘は付いてるとは思われませぬ、それに・・」
あの馬醫羽の能力、決してあなどれませぬ、付け加える。
「長引けば藩内の噂になりましょう。この時期、不安を抱かせてはなりませぬ」
ぽんと、煙管で灰皿を打って、
「そうじゃな。明日の昼頃向かおう。この時間帯なら、魔も出てきまい」
従います、と言ってから、少し考え込んでから、
「・・・よろしいですか?」
と、切り出した。
「よかろう」
奉行も質問の意図が解っているようだ。この短い会話は何を示しているのか。
今後に廻そう。
話し合いが終わり、杯を出そうとするが、
「御奉行。本日は、私が夜番で御座いますので、御辞退を」
「はて?お主の夜番は先週ではなかったか?」
「本日は私の屋敷に謹慎させております故」
「おあん殿か、綺麗になっていくのぉ」
にやりと、平信の顔が崩れてから、
「御奉行ももう良い御歳ですぞ」
「それを言うな・・まぁ御主がいるのなら、たまには帰るかな?」
「・・人妻で御座いましょ?」
少しだけ、残念そうな顔を見せた。
「ですが、母子で長く旅をしている様子ですな」
「そうじゃろ?」
さっきとはちがう笑み蛮平信は見せた。
「まっ。奉行所は私にお任せ下され。明日の六つ時(現在の11時頃)に」
では頼むと、帰り支度を始めた。
西条の本宅に向かう時、
「おっ?奉行殿では御座らぬか?」
浪人の老人が声をかけるが、その声質は若者のそれに勝る男、
無外流の最強剣士の名高い秋山小兵衛である。
「秋山殿ですな。この時分に何を?」
「うむ。ふいに目が覚めてな」
秋夜の散歩と洒落こんでいるというが、
「・・お主になら言ってよかろう。何か邪気を感じたのじゃが」
特に妖しい物は見当たらなかったが、な。と溜息にも似たような返事であった。
普通の人なら、笑い話で済もうだろうが、
「秋山様がそうお感じなら何か来てるのやもしれませんな」
そして、何言か話しあった、その夜空に、音もなく飛行を始めている者がいた。
『なるほど、芽道邪(メドゥーサ)が梃子摺るのも無理ないじゃん』
そう、呟く悪鬼がいた。
「うん?」
その方向を二人は見たが、幸い悪鬼は暗闇に紛れていたので姿は見れなかった。
さて、家に戻った奉行西条屋敷はどうなっているのか、
それは次号で。

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