ザ・グレート・展開予測ショー

火消し戦隊、どこまでも?


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 9/ 4)




 ー火消し戦隊、どこまでもー



 夕闇迫る中。
「さ・ん・ほっ!楽しい散歩っ!」
 宙を舞う様な心地で、少女はまさに今『春』を楽しんでいた。
 動きやすい服を好み・・・その少女はいかにも明るく元気、活発なイメージをすれちがう人々皆に与える。(それ以上に尻尾が目をひくのかもしれないが)とにかく目立つ少女だ。
「せんせっ!はやくっ!」
 ー少女が笑顔で振り向いた先、そこにはー
「ぜ〜〜〜・・・ぜ〜〜〜・・・・・・オイ!」
 やはりというかーーあるいは必然というべきなのかーーバンダナがトレードマークの青年が後ろで立って・・・よろめいた。
 その青年は今、七十を過ぎた老人が全力疾走した後の様に、顔は青く、息を切らし・・・杖をついてよろよろと歩いている。
 こういっては何だが、若さがない。先にあの少女を見ているのだからなおさらだ。
「何でござるか〜?」
 トテトテと、輝く笑顔を絶やさぬままに青年の側へと近づく尻尾の少女。バンダナを巻いた青年は一つ大〜〜〜きく深呼吸をし、ピタリと息を止め・・・そして。
『くぉぉの馬鹿イーーー・・・』
 ドグォ!
 青年の、怒声を放つ筈だった口は半開きのまま、それ以上動く事は無かった。突如として上がった爆音に二人の意識は引き寄せられる。
「先生っ!あそこ!」
 人よりも遥かに鋭い感覚の持ち主である少女。その少女の指指す方向へと視線を巡らすと、そこは燃えていた。そうとしか言えない。広々とした公園の大樹よりも高く、天を焦がす炎。
「ーーーこの匂いは!」
 少女が駆け出す。以前何度となく嗅ぎつけようとし、上手くはいかなかった『匂い』を遂に彼女は捉えた。
「お、おいシロ!・・・くそっ!」
 青年は追いかけようとしたが、一瞬で見えなくなった弟子の少女、シロに追いつくのは無理だと判断した。シロの力量を信じ、通信機を取り出して連絡をする。
『はいはい・・・公園の・・・!』
 ピッ!
 場所は伝えた。後の気がかりはシロの事のみ。彼はシロが駆け去った方向へとーー・・・
「っと!その前に、ほいっ!」
 パシュ!
 ー集まった野次馬達は皆、『眠』の文珠によって安らかな表情のまま崩れ落ちたー

「シロー・・・どこだー?」
 聞こえる様、しかし小声で彼は弟子の少女へと呼びかける。
「シロー・・・?」
 普通の人間なら二メートル離れただけでも、聞きとれなくなる程のか細い声。しかし今彼が呼びかけている相手ならば、全く話は別だ。
「シ・・・!?」
 突然、後ろから誰かが口元を押さえた。彼は油断などしていない、にも関わらず気配を感じとれなかった!?
(ーーーくそっ!)
 が、その事に驚くのはほんの一瞬。すぐさま彼は生成した文珠を後ろの存在へとーーー・・・
(先生・・・)
 耳元で聴こえてきたその声に、緊張と共に力が抜ける。振り向くと当然、そこに居たのは弟子の少女だった。
(先生・・・あそこ・・・!)
 先と同じく、指指す方向へと目を向ける。そこには変わらずに逆巻きながら辺りの温度を上昇させ続ける『炎』が、そしてその炎を生み出した張本人達の姿も見えた。
 二人は茂みに身を潜め、気配を消して様子をうかがう。
(やっぱアイツら・・・でも何だ?なにか言い争ってるみたいだけど・・・いや、というよりも・・・)
(女の方が、仮面の奴をただ思いっきりののしっているみたいでござるな・・・先生はどうお考えで?)
 先生、そう呼ばれている青年・・・横島はしばし考え込む様に目を伏せた。しばらくそうしてから、口を開く。
(う〜ん、プロポーションはまぁまぁ、顔は可愛い方だと思うがああまで気性が激しいと誰かを連想してちょっとなぁ・・・)
 刻が歪む。空気が凍り付いた。
(そういう事を聞きたかったのではござらん・・・)
 シロはがっくりとうなだれる。と、その時。
「何を思いきり馬鹿馬鹿しくてのけぞりたくなる様な事抜かしてんのよ!あんたは!」
 既に夜の闇に包まれた公園に響く、厳しさと凛々しさを共に備えた女性のその声。シロがハッと声のした方向へ振り向く。横島もビクゥッ!と身を縮こまらせた姿勢のまま、そぅっと同じ方を向く。放火魔達も見やる。彼女達がたたずむ場所を。
 『そこ』は公園に備え付けられている公衆の・・・トイレ。
「あ、あの〜・・・み、美神さん・・?」
「言うな!ここらで手頃な高さのところなんてここしか無いのよ!西条さんもピートも!ああもうみんなブツブツ言うなぁ!」
 私だって泣きたいのよ・・・と、ボソボソ呟いてから、黒いスーツ姿の女性は仮面の輩に向かい、ビシ!と指さした。
「人にこんな恥ずかしい思い出を、それもたくさんプレゼントしてくれた礼!しっかり受け取ってもらうわよ!」
『それは結構な事ですが・・・』
 ドグアァ!とトイレが火炎によって、粉々に吹き飛ばされる。
『危ないですよ〜』
 何故か同様に吹き飛ばされてるのだが、そうとは思えない、仮面の落ち着いた声に対し、黒いスーツの彼女は、いや場の全員は思い付く限りの仮面に対しての罵倒の言葉を並べたてた。

 ーかくして最後の争乱の、その幕は上がるー


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