極楽大作戦 de 時代劇 第弐幕 巻之九 (登場人物紹介付)
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 9/ 3)
さて、先ずは最後の牙城、氷室屋忠夫はというと、
「たいへんなんやー」
それもそのはずである。
一番強い蛾硫羽唾(ガルーダ)に対して、妻であるキヌを守らねばならなかった。
加えて、他の者に比べて城の地理に疎い。
悪い事に河童が最も付いてきたのは、こっちなのだ。
文珠も最悪な事に切れている。
「うわっ、またきおったわぁ!」
三匹ほど、河童がまたやってくる。
一匹は爪を立てていたのを交わして、後ろから櫛刺し、
そして後を向いた時に、河童の残りにしこたま殴られる、ところを、
ゴキブリのように、避けるのだ。
だが、何にしろ部が悪い。
「けちょっ。けちょ」
蛾硫羽唾(ガルーダ)の指示に反応する河童達。
「・・一体何をいっとるんやろうか・・?」
敵の行動が判らないのも、不利であるのは当然である。
その次は、
「カパカパカパカぱっ」
全員が思い思いに此方へ向かって来る。
精々2、3匹が限度である。
「・・いってもうたわ、追わな・・」
無理だ。
背を向けて、助かるようなヤワな敵ではない。
「くっそ。大丈夫やろか?」
だが、この道が何処へ向かうのかなんぞ、忠夫にはわかっていない。
その河童達は、頭の中に、皿の中にきちんと城内の地図を入れていた。
「カパカパ(御城主の首だよ)」
「かっぱ(その通り)」
「かーっぱ(こっちだ、こっちの道だっ!)」
比較的頭の良さそうな3匹が扇動している。
そして、階段を駆け登る。最上階(天守閣を除く)に至った時、
河童の首が跳ねとぶ。
「かっ?」
剣を抜いていたのは、小竜道場が主、妙神おりゅう(小竜姫様)である。
横には折り紙(認可状)を持っている伊達雪之丞。
この二人は出稽古(剣術指南の出張)しているので、先回りしていた。と言う事だ。
「先回りしてよかったですな。師匠」
「えぇ。でもここには雑魚しかいないようですね。雪之丞。下に向かいなさい」
「はいっ」
と、剣を縦横無尽に振るって、下に向かうと、
「おっ、氷室の旦那様じゃねぇか」
体中から出血している忠夫を見ている。
「たっ、たすかったでぇ。雪之丞はん、それよりワイの妻が!」
撃たれた所が悪かったのか、目を覚まさない。
「どれ、脈でも」
「・・・へんなトコさわるんやないで」
だ、そうである。幸い問題はなさそうである。
「おっ、ちょうど所に!」
戦闘を済ませた毬亜におたま、そして真友が此方へと加勢してきた。
「タマモはん、すまんけど、ワイの妻、見といてや!」
えぇいいわ。と、快く受けて、真友の肩を使って、奥へと引き上げた。
更に、持郁(ジーク)もやってくる。
「よっしゃ、心配事もなくなったし、いっちょ、やったろじゃん!」
二つの日本刀、そして一つの霊刃刀、きらりと光る。
『けっちょー』
だが、蛾硫羽唾とて、怯む魔物ではない。気合を入れているように見える。
床を蹴って壁に反射させる。
予測の付き難い攻撃に出るが、人数で勝っている城内組に部はある。
「氷室様・体を・下げて!」
毬亜の能力が物を言う。
速度に合わせて、持郁の剣が振るわれる。
『けちょっ!』
ちょっとだけ、出血があった。
上ではおりゅう、そして側室の美智恵御前がかけつけて、右へ左へと、河童どもを駆逐していく。
「やりますわね。奥方様」
「えぇ。まだ床の方も・・」
「・・私、そっちは」
「あら」
ま、まぁいいだろう。
そして、死体は窓の外へと、流れ出ていく、その光景を見ているのは家老毒田薫栖(Drカオス)に鑑定人と名乗った須狩であった。
「ま、まさか、こんな!」
「ふふん。不意をつかれたがのぉ、日ごろの防災対策が物をいったようじゃな」
そういう事も管理している家老としては鼻が高い、といった所か。
事実、幾人かの加勢はあったが、二次災害も皆無である。
もっとも、
江戸時代、城内での防災対策は必要不可欠である。なにせ、このような不備は幕府格好の餌食である。
御取り潰し、御国替え、という事に。
だが、火事に関せば、江戸が最も多いという変な事実がある。
江戸城も、一度燃えたことがあったか。
いばって笑っていたのか、油断だ。
「うっ!」
須狩が渾身の力で薫栖の脾腹を肘で打つ。
「にっ・・にに・・」
逃げるなの言葉が出ない。
そして、4人と対峙する蛾硫羽唾の元へ向かい、
「蛾硫羽唾、退却するよ!この作戦失敗だ!」
その発言に反応して、後向きで跳躍する。
「さぁ、いくよ!」
須狩は蛾硫羽唾に身を任せて、風のように、門へと向かう。
「まちゃがれっ!」
雪之丞が後を追おうとすると、
「こらっ!上官を差し置いて、前へ出るとは何事かっ!」
悪い癖が出た。
そして、忠夫がこんなことしとる場合かっ、との一喝で漸く,後を追う事になる。
毬亜は呆然としていた。
風の如く、走っているも、庭に出ると、鉄砲隊が念の為に待ちうけていた。
「うてっ!」
御手先組(軍隊の小さな団体のような物)の上役が命ずる。幾十の銃声がしたが、全部跳ね飛ばしている。
「けちょっ!」
命令した上官に爪を立てた。
彼はその後御役目が出来る体には戻らなかった。
「やった、これで最後の門だ!」
とても大きな表門をぶち破った。
「し、しもうた、下々の者に災害がっ!」
ようやく痛みが引いた薫栖が開口一番に叫んだ言葉だった。
だが、
蛾硫羽唾に断末魔が響く。
「なんじゃとぉ?」
急いで城門に向かう薫栖。たしかに首を切られている。
目深に麦藁を被りった一人の武士が、懐紙を刃にあてている。
位の高そうな男、(薫栖)に顔を向けて、
「こやつは、いきなり私にぶつかってきた。此方に非はあるまい?」
「いや、むしろ感謝する。してそこもとは?」
その男はおもむろに被り物を取る。
「ん?はて、どっかで見た顔じゃが・・?」
ようやく駆け付けた氷室屋忠夫にそっくりである。それもそのはず。
「兄上様!」
この男の名は、横島和馬、正確に言うと、忠夫の従兄弟にあたる人物である。
「よぉ、久しいな。忠夫・・ってなんでお前が城内に?」
それはおいおい説明します、と忠夫は頭を下げた。
逆に驚いたのが、家老の薫栖である。
「横島、様・・っといいますと!」
何故、家老薫栖がこの横島和馬を知っているのか。
それは次号で。
美神公彦 =「美神公彦」美神藩藩主。
美神美智恵=「美智恵御前」美神藩藩主の奥方。
美神ひのめ=「ひのめ姫」赤ん坊。
美神令子 =「令子姫」美神藩の御姫様ながら男装格好。
犬塚シロ =「おしろ」腰元。どうやら恐山とどうにかなるようだ。
タマモ =「おたま」腰元。小姓真友康則とは某の関係らしい。
ドクターカオス=「毒田薫栖」美神藩の切れ者家老。子は無し。
毒田タエ =「タエ」家老妻女、元ネタは桜華様の「最強の女?」より拝借。
マリア =「毬亜」家老毒田薫栖のカラクリ人形という設定。
ジークフリート=「持郁傳李徒」目付。家老薫栖が目をかけている、剣術もなかなか。
真友康則 =「真友康則」小姓職。
恐山 =「恐山頼経(おそえざんよりつね)」武芸指南方。人間という設定。
西条輝彦 =「西条輝彦守」美神藩町奉行、美神藩の遠山金四郎の異名有り。
関俊介 =「関」筆頭与力。元はhazuki様のオリキャラ。
ピート =「武等都比延蕩」新米同心。読み方は『ぶらとー、ぴえとろ』。
ヴァン・ヘルシング=「蛮平信」老同心。奉行西条も信頼を置く一人。
アン・ヘルシング =「おあん」老同心の孫、どうやら武等都に気が有る、らしい。
小竜姫 =「妙神おりゅう」美神藩随一の道場小竜道場の主。
伊達雪之丞=「伊達雪之丞」美神藩の浪人ながら、小竜道場での一流剣客の一人。
六道冥子 =「おめい」美神藩萬問屋『六道屋』の一人娘。令子姫と親交が有る。
弓かおり =「おゆみ」六道屋奉公人。雪之丞意中の女性。薙刀を使う。
一文字魔理=「おまり」元六道屋奉公人。寅吉と結婚を機に退職。拳が強い。
厄珍 =「厄珍」唐物屋厄珍堂亭主。
魔鈴 =「魔鈴」旅篭魔鈴屋の女亭主。鈴女の飼い主、一応魔法使い。
鈴女 =「鈴女」小妖怪として登場。魔の気配を感じたりするのが得意。
タイガー寅吉 =「寅吉」美神藩の大工。実は副頭。おまりを妻に持つ。
堂本銀一 =「銀公」歌舞伎役者の卵。霊能犬麻呂の飼い主。
マーロウ =「麻呂」霊能犬。
唐巣和宏 =「和宏和尚」美神藩の古刹『唐巣寺』の住職。令子姫と親しい仲。
佐藤権三郎 =「権三郎(92)」元ネタはツナさん氏のキャラ。寺男。
小笠原エミ=「小笠原流祈祷師エミ」師匠の仇を討を討ちに。現在毒田から養子の誘い。
グーラー =「虞螺」悪鬼として登場するが、現在は西片の山に引っ越した。
横島忠夫=「氷室屋忠夫」キヌを妻にする呉服問屋という振れこみだが、
氷室キヌ=「氷室屋オキヌ」忠夫の妻で本当は皇族の血を引く御姫様。
横島和馬=「横島和馬」これもhazuki様オリキャラ。いつもすいませんねぇ。
化け猫の美衣=「みい」息子「けい」と旅して廻っている。
けい =「けい」母親「みい」と旅して廻っている。
鬼道政樹 =「鬼道屋政彦」十手持ちで六道屋を母体とした鬼道屋の跡取息子。
秋山小兵衛=「秋山小兵衛」池波正太郎著『剣客商売』より拝借。とにかく強い60歳。
おはる =「おはる」秋山小兵衛の妻。初婚だが夫の小兵衛は再婚。
-敵方-
メドゥーサ =「芽道邪奴」花魁で鳥山石燕の絵にもある最高クラスの悪魔。
鎌田勘九郎 =「鎌田勘九郎」芽道邪の付き添い人だが所謂ホモセクシャル。
今までの
コメント:
- 改めて見ると……キャスティングで圧倒されますな。世界設定や時代考証は勿論、時代劇的な要素やオカルトも盛り込まれているんですから、いやはや頭の下がる思いです。
今回は「かっぱ語」がヒット(笑)。 (Iholi)
- キャラの設定がホントすごいですね。
内容もとてもおもしろかったです。 (G-A-JUN)
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