極楽大作戦 de 時代劇 第弐幕 巻之八
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 9/ 3)
これは、江戸より甲州街道を下った山間にある、藩主美神公彦公が統治おわす、
関東八州小京都の名高い、三万六千石の1代騒動記である。
蝋燭問屋茂留田の策略により、
シメサバ丸を握った美神藩武芸方藩士恐山頼経、(おそれざんらいちょう)
それに西欧から来たと言う剃刀に操られている小姓真友康則、
そして、蛾硫羽唾(ガルーダ)。
これが城内を縦横無尽に暴れている。
『くっくく。この体はいい。少々肉はあるが、なになに、素早く動けるわ!』
恐山頼経の声がドス黒い。
『ふん。こちらも悪くはないなぁ』
真友の声はどちらかというと、甲高かく感じる。
そして、ケチョー。
逃げ惑う侍、腰元(城内で働く女の人)の悲鳴が聞こえてくる。
その三人から、逃れる流れに逆らっている軍団もある。
家老毒田薫栖、(ドクターカオス)
目付持郁傳李徒(ジーク)
先ずはこの二人だ。
「ご家老、貴方も戦われるのですか?」
「いやっ、ワシは須狩、茂留田を斬りに行く」
城内でこのような騒ぎ。切捨て御免も当然であろう。
人の流れが途切れた時、上空から、声が掛かる。
「ご家老はーん、助っ人に来でェ」
「お久しゅうございますえ」
家老薫栖のからくり人形、毬亜の手によって、皇族の血を引く氷室オキヌ、そして養子亭主の忠夫が光臨する。
「御足労、感謝致します」
家老薫栖が丁寧に頭を下げる。
「あの三人でッか?御城内であばれとるのは」
と、オキヌ様。既に敵の見極めをしている。
「あの、大きい人と、小柄なのは、操られているようやねぇ」
「そうでんな。やけど、あの鳥はんみたいなのが、敵さんかいな?」
たしかに、強そうだが、頭脳戦には向いていないような感じだ。
「いいえ。首魁は向うの、ほれ次席家老の努留(ヌル=プロフェッサーヌル)が、いた部屋におる、人間じゃ」
薫栖が答える。
「あんたぁ。先ずは操られた御二方をなんとかせにゃぁ、あきまへんやろ?」
そうやなぁ、と亭主忠夫は答える。
「死霊使いの笛でなんとかならへんやろか?」
「試すえ」
オキヌ様が笛を吹くと、なるほど、効果はあったようだが、
『ケチョ?』
疑問を発したガルーダの行動は、素早かった。
『きやっ!』
目にも止まらぬ早さでオキヌ様に体当たりを食らわす。
『ふぅ。あぶねェ。折角取りついた所なのに、な」
「人の妻に何さらすんじゃ!、加勢せんかい、そこの目付!」
怒りを露にする忠夫だが、持郁にしては公家風情に命令されるのは癪である。
何か言い返そうかと思ったが、既に忠夫は跳躍を始めている。
蛾硫羽唾は拳を出すが、見事に交わして、首を霊の刃物で狙う。
当たったが、
「げっ、かっったーで」
跳ね返されてしまう。
奥から笑い声が聞こえてくる。
「馬鹿ね。蛾硫羽唾はそんじょそこらの魔物じゃないよ」
蝋燭問屋と言っていた、茂留田が言いのけている。
更に、
『ケチョッ』
指を庭に面した池に向けると、波紋が生じて・・、
-カーパカパカパカパ-
幾十という河童が現われるではないか!
「な、なんと!」
家老薫栖が驚くのも無理は無い。
人数的に形勢不利だ。
策を講じる事一瞬。
「皆、退却じゃっ」
薫栖の言葉は、家老の言葉、武家内での発言は絶対である。
あっちへ向かうのじゃ!とばかりにある方向を示す。
「あっちでっか、ははぁ、三方向に廊下がわかれとりますなぁ」
オキヌ様が薫栖の意図に素早く気付いた。
見事嵌ったといって良い。
蛾硫羽唾、恐山、真友が家来の河童を引き攣れて分散したのだ。
その様子を見ていた、茂留田に須狩、
「ふふん。分散しても意味はな・・!」
ない、の最後が出ない。
「か、家老!」
「ワシは、ハナからおぬし等が目的よ。あの三人は向うに任せる」
鯉口を切る。
「な、なんだ、爺一人が恐いってか!」
町のチンピラが如くドスを持って威嚇するが、
「・・ワシも見縊られた物よ」
先ず胸元から光が発せられる。
「な、なんだ?」
その光が徐々に毒田薫栖内の腕に移動して、剣が不気味に光る。
「こ、こけおどしだろうがっ!」
ドスを持って、突進しようとしたその瞬間、剣を上段から一振り。
光の刃が走る。茂留田は避ける事など、到底不可能だ。
その光の刃は後にいた須狩の頬を舐めるようにして消えていく。
一筋の血が流れ、呆然とする須狩の目前には、袈裟懸けで倒れている茂留田がいた。
「・・貴様は女ゆえ、生かせてやろう」
須狩は腰から落ちた。油断といえるだろうか。
そして、薫栖が彼女を生かしたのは、情報収集の異議合いもあるが、
(こ、これ以上は力が・・だせん)
なのである。
さて、三人に分かれた一つ。真友に乗移った奴はからくり人形の毬亜に、腰元を避難させて戻って来たおたま(タマモ)がいる。
「小姓様・が・心配・になって・戻ってきた・ですか?」
「まっ、まーね」
こんな憎まれ口が出る余裕があった。
おたまは火炎を吐く能力がある。
河童の丸焼きが既に出来ているので、残る真友も、攻撃力の面では弱い。
『くっそー!』
と、ばかりに剃刀をおたまに向けるが、体を少し移動させて、その腕を掴む。
胸元に引き寄せる、ちゅー事は柔らかい感触を体は味わう事になり、
「あっ!」
本性である真友が一瞬出た隙に、さっと剃刀を奪う毬亜。
『し、しまった!だが、こいつに乗移っちまえば!』
剃刀が試みるが、
「私に・乗移る事など・不可能」
ぺきっと二つに折る。
断末魔も無く、剃刀は昇天してしまう。
操られていた真友が気絶をしているのを、おたまは介抱していた。
「だ、大丈夫で御座いますか?真友様っ」
ぶんぶんと頭を回され、気分が悪くなって、気が付いたのは少し立ってからだ。
さて、恐山頼経の方は、これは大変である。
元来武芸指南方なので、剣を使う能力は城内随一と言ってよい。
此方には、持郁と、おしろ(シロ)が戦っている。
「くぅ。河童はなんとかなったで御座るな?」
この二人、飛び道具など持っていないので、剣に拳だで、少々苦戦気味だ。
『ふふ。楽しいなぁ。俺は強い奴と遣り合えるだけで楽しいんだぜ』
弱腰になって後ろに下がった河童の首を刎ねる真似までしてのけた。
だから、なんとかなった、という訳だ。
恐怖にかられた河童軍の攻撃も隙だらけ。とは言え人数が多かった。
「ちょ、ちょっと疲れたでご、御座るよ」
持郁の方も息を切らしている。
『息が整うまで待ってやろうではないか』
シメサバ丸は、何処か騎士道的なところがある。
「本来がそう言う正確に、乗移った恐山殿も粗野なところがあれど精錬潔白な方だからな」
おしろに一度目配せをして、正面に剣を構える持郁。
『もう、いいのか?』
恐山も構え様とした時、さっと身を引いた瞬間。
やぁっ、とばかりにおしろが飛びあがる。
『そんな攻撃、食らわんでごわす!』
剣を持っていない、左手で跳ね返したのは、女は斬らないという恐山のポリシーからである。
腰から落ちる。下帯が緩み、裾がめくれてしまう。
さて、この頃、女性は下着は着用していない。日本でのランジェリー歴史は以外に浅く、
なんと明治、大正になってようやく定着してと言っても過言ではない。
と、言う事は、
「あっ!」
素になって、目が点になってしまう恐山。意外にも奥手なのだ。
瞬間。
「これを使え!」
既に戦闘が済んでいる家老薫栖がシメサバ丸の鞘を投げてよこす。
「はいっ」
と、素早く、シメサバ丸を鞘に仕舞い込む。
「ふぅ、手ごわかった」
一息つく、持郁の目前では、おしろが、恐山の襟元をくってかかるようにして、
「・・・・み、見たで御座るか・・」
「・・・う・・うむ」
頷く恐山に対して、顔を真赤にして、何を言おうか考えている風体のおしろ。
「せ、責任を取れで、ござる!」
その迫力に負けたというか、なんというか。
「よ、喜んで」
と、答えている。
その後、この二人が良い関係になっていくのは次号にしよう。
今までの
コメント:
- やるなご家老。少々無理したみたいですが(笑)。からくりも問答無用の強さです。そして何よりおしろの色仕掛け(笑)。うむむ、そう云うカップリングでくるか。
ところで、ひょっとしてキヌの京都弁は明石家さんま氏の言葉遣いを参考になさってます? (Iholi)
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa