ザ・グレート・展開予測ショー

軍団、戦隊、再始動!(表)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 9/ 2)




 ー軍団、戦隊、再始動ー(表)



 暗い部屋。
 闇に覆われた部屋。
 その中で静かに、ただじっと何かを見つめる者がいた。
 瞬きもしない。その『誰か』はゆっくりと・・・見つめ続けながら、手にした『リモコン』を暗闇に向ける。
 その瞬間『ソレ』はーーやってきた。
『ぎゃあああああああああ!!!!!』
 部屋を包み込む・・・その暗闇を揺さぶる絶叫。
 彼方からの絶叫。それは人として生きて行く為の何かを、大切な何かを失って、自身の誇りや尊厳が汚され蝕まれて行くのが耐えきれずに叫んだ断末魔の叫びーーー・・・
『あぁぁぁーーーー・・・』
 その叫びがゆっくりと、彼方に溶けて消えて行くのを・・・ただ黙って耳にしたのは一人の神父。
(・・・・・・)
 闇の中で煌く胸の十字架へと、神父は祈りを捧げた。今さらだが人間として大切なモノを喪失してしまったー『彼』ー
 その彼が、これも今さらだが・・・これからも歩み続けるであろう、その尋常ならざる苦難の道程に救いと祝福あれ・・・そう願いを込めて祈りを捧げる。
「さて、それはもう良しとして・・・」
 祈りは最期にそう締めくくられた。その効果の程は恐らく米粒よりも小さい・・・ささやかなものになるだろう。それは必定。神父の怠慢で無く、大宇宙の意志が彼に与えし運命。とりあえず絶叫の主はこの時点で、赤いスーツを選んだ愛弟子に運ばれ、看護室へとかつぎこまれていた。

 記すまでも無いが、そんな事は神父は一切気にも留めない。

 カチ!
 暗闇の中、浮かびあがる映像。
「・・・仮面、か」
 呟く。その声を拾う者など誰もいないが。しかしそんな事はこの際関係無い、いや、むしろ聞かれてはならない事だ。
 闇の中、神父は弟子達や後輩と、例の放火魔達が初めて接触した時の様子を目にしていた。その映像には仮面の輩に、弟子達が揃って不覚をとった姿が高画像で映し出されている。
<ガガガガ・・・!>
 サブマシンガンが絶え間無く、彼女らの行く手を阻む。
 装填する間を感じさせない見事な手際で、連射し続ける仮面はやがてー・・・僅かに距離が開いた瞬間に次の手をうった。
 ー黒マントからの、閃光ー
 まばゆいばかりのその閃光は、ほんの一瞬。しかしその一瞬の間は彼女達の眼も隠しカメラも全ての機能を失った。
 やがてーその『二人』に向けられた無数の『目』がその機能を取り戻す。が・・・時は既に遅く、地に伏した栗色の髪の女性、そして問題の仮面もその姿は無かった。その逃走の手口は神父の記憶していた『事件』を連想させる。
(閃光と共に、消えるー・・・こいつがそうなのか?)
 顔見知りの、とても心の優しいネクロマンサーの少女を呪わせた仮面の幽霊。中世の術を使いその行方も目的も知れない、沈黙し続けるその仮面の輩がこいつだとしたら・・・
(美神君達には・・・言えないな)
 苦労人故のその結論は、更に気苦労へと・・・とことん貧乏くじをひく神父が、やるせなさが込められたため息を・・・
『ギャアアアアアアアアアアア!!!!!』
 二度目、か。しかも今度は・・・
 神父は改めて長〜〜〜く、ため息を洩らした。

 少し、遡る。

「オカルトGメン!?」
 驚き、呆れ、何より嫌!というか巻き込むな!その想いを込めて、彼女は仮面の言葉をオウムの様に繰り返した。
『はい、次の標的に決めていたんですよ』
 人外はそう返した。
「ふ〜ん」
 彼女はそう返した。
『・・・・・・』
「・・・・・・」
 奇妙な沈黙が二人を包む。
(すぴ〜・・・)
 彼女は仮面の背負う、生涯の伴侶の寝顔を見た。
(ふぅ・・・)
 正直愛しい。真ん中にこの『置物』が無ければ迷わず抱きしめにいった事だろう。しかし・・・
『あの時教会を灰にしてから、思えば遠回りばかりでした』
 置物がほざく。何だか恍惚としている。顔は見えないが。
『あの時、どこかの私の全く知らない当然部下にした覚えなどもあり得る筈がない誰かに汚水を盛られてから・・・』
 チクリ、と何かが心に刺さる。いや心から噴き出したのかもしれない。とりあえず彼女は堪えた。
『その陰謀から身を張って、私を救ってくれた友を今度は私が救おうと、困難の中で薬を入手した私を襲った者達!その中に標的の一人が!何という奇遇!因縁!そして・・・幸運!』
「・・・よーするに、あの西条って男の家を焼きに行くのね?」
『はい』
「なら行きましょ〜か」
 とりあえず、意見はまとまった。

(現役Gメンの住む家・・・今度こそ・・・今度こそ!)

 ー表向きは確かに、まとまったー



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