ザ・グレート・展開予測ショー

FORCES−壊れて行く日常ー


投稿者名:二エー
投稿日時:(01/ 8/31)

ここは美神除礼事務所。今俺は徹夜と疲労により説明途中で気絶した時に見たいつもの悲しい夢の中身を美神さんとおキヌちゃんに知られてしまい、何処となく不機嫌な二人を相手に事件のあらましを改めて説明している。

人食いの化け物の元は霊能などとはまったく縁の無い普通のサラリーマンであった事。

そのくせ、人間のままの知能、記憶と恐るべき生命力を併せ持っていた事。

どうやら自分から望んであの姿を手に入れたらしい事。

それを俺が知恵と勇気をふり絞って撃退した事。

結局奴がどこでその力を手に入れたかは解らず終いだった事。

だが俺が現場で拾ったベヘリット(目鼻口付きタマゴ)と奴の「妻と子を捧げた」という台詞が何か関係しているであろう事。

現にベヘリットをもって帰ろうとした俺が帰り際、生きていた奴に二度も襲われ、死にかけた事。

そして・・・結果的に始めて人を殺した・・・事。

を俺なりに大まかに、要点を絞って話す。何だか・・・自分で振り返って見ても賃金と労働内容が比例してないよな。

俺の説明を聞いている二人はさっきからずっと押し黙ったままだ。まあ変に突っ込まれて話の腰を折られても困るが。

「上から4番目のは嘘ね。」

そうそうこんな風に。・・・・美神さん。勘弁してください。

「・・・・と、まあこんなところっス」

「・・・・」

「・・・・」

「あ、あの二人とも何かリアクションを返していただけませんか?」
何だかお二人の目がすごく怖いんですけど。特にとうの経ったほうの。

「誰がとうの経った方ですって?」
「そりゃもちろん美神さんの方ですよ。やだなあ年取るとそんなことも・・・」
ああっしまった!また俺は声に出して・・・
ドゴッ

うなりをあげて飛んできたベヘリットが俺の顔にめり込む。

「余計なお世話様よっ!このクソガキ!」

「ま。まあまあ美神さん。」

ふ、ふふふ何だか久しぶりだな。このやり取りも。やっぱりこうしてると「帰ってきた」
って感じだよな。

ここ最近のハードワークでささくれ立った心が癒されて行くのが自分でも解る。

「何よ。ニヤニヤして。気持ち悪い・・・シバきすぎてMになっちゃったのかしら?ところで横島クン。」

「は、はい?」

「まだ私達に話してない事があるんじゃない?」

・・・現実に引き戻される。時を置かずしてあの陰惨な夜の中で垣間見た俺の狂気も蘇ってくる。そう、あの時俺はベヘリットを拾ったことを西条達に隠し、結局事務所にまでもって帰ってきてしまった。立派な証拠隠匿罪と捜査妨害だ。多分美神さんが指しているのもそのことだろう。西条からの連絡ではベヘリットなんて一言も出てきてない筈だしな。だが俺は・・・・それだけじゃない、何かもっと恐ろしい事を考えていたような気がする。何だっけ・・・駄目だ。なんだかその部分だけ濃い霧がかかった様に思い出せない。

「ベ、ベヘリットを拾ったことを西条達に言わなかった事っすか?で、でもしょうがなかったんすよ!あ、あの時の俺にはこれ―ベヘリットが何だかとっても大事なもの・・誰にも渡しちゃいけない物にみえたんですよ。ほ、本当に変ですよね?こんな気色悪い物後生大事に抱えてたなんて。ははは・・・やっぱり疲れてたんですよ。俺。」
本当に・・・あの時の俺はどうかしていたとしか言いようが無い。

バン!

美神さんが机を叩く。おキヌちゃんの目が潤む。ひっ・・す、すいませんすべては俺の未熟さが招いた事で・・・

「そんな事じゃない!そんなのは如何でもいいのよ!あんた・・・本当に自分が何言ったか覚えてないの?」

俺、何か言ったのか?おそらく思い出せない部分がそうなんだろうけど・・二人の血相をこんなに変えるなんて俺は一体何を話したんだ?

いつになく怖い顔をした美神さんから目をそらし、助けを求めるようにおキヌちゃんの方を見る。俺と目線が会ったおキヌちゃんの目がますます潤む・・・

ドンッ

ふいに体重を預けられバランスを崩した俺は床に尻餅をつく。

「お、おキヌちゃん?」
な、何で急に抱き付いて・・・

「横島さん・・・う、うそですよねっ?」
だから何が・・・

「いくらあの人のためだからって・・横島さんは魔物になんかなりませんよね?私・・・私、そんなの嫌ですっ!や・・約束してください!私達をおいて何処かに行っちゃったりしないって!」

思い出した!・・・・頭の中の霧が散って行く。俺の中の黒い夢が姿を見せる。

俺は虻野郎の破片に囲まれた闇の中でこう思ったはずだ

 人間には無理でも、魔物になれば魂の分離ができる

 あいつに、ルシオラにもう一度会える。償いをする事が出来る

 その為にもベヘリットの使い方を調べなきゃならない。

何て・・・なんて事を俺は考えていたんだ。ごめんなおキヌちゃん・・・怖い思いをさせて・・・俺はもうすっかり泣いてしまっているおキヌちゃんを怖がらせないよう優しく抱きしめる。

だが。

だが。
 
「俺がそんなことするわけが無いだろう。大丈夫だって。何処にも行かないよ。」

という台詞を口に出すことはできなかった・・・・

おキヌちゃんの髪を撫でながらふと、不安になる。・・・あの夜から俺を取り巻く世界が少しずつ狂っていく気がする。俺は帰って来れるのだろうか。いつもの日常に・・・・















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