ザ・グレート・展開予測ショー

霧雨。


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 8/30)

−何処へ子の子は向かうのかな?
だが、それはこの子が決める事。親の私には分からないわ。
私やおねえちゃんの様に、GSになるのか、それとも他の道か。
うーん。赤ん坊をみてこんなに思うなんて親ばかかしら。

雨が降ってきた。
先程まで、白い雲と青空だったのに、灰色の雲が来て水の香りがしていた。
激しい雨にはなるまい。だが少しだけ気が滅入る。私の腕で私の赤ちゃんもそう思ってるのかな?
薄暗幕のような空だが、空梅雨だった今年なら、慈雨といえるか。空を見る人もいよう。
そしてある屋敷の一室から、同じようにその窓から空を見ているお母さんと赤ん坊。
その赤ん坊はまだ物心もついていない。言葉とてなにも理解していない女の子。
まだ申し訳という程度の髪の毛。
穢れの無い姿。

どう成長するかも見当のつかない小さな体。
でも、もう探している。
言葉にする事の出来ない何かを。

赤ん坊の母親は、世間一般にある人間よりもダイナミックな人生だった。
世界の破滅を防ぐ為、普通の人と同じ時すら、吹き飛ばした事を認められた人物。
だから望む。
腕にいる赤ん坊には、普通の人生を。
そして、自分とは同じ不孝や悲劇を繰り返さないための決意が。


・・・あら?ねむっちゃった・・・
この子が生れた時、次女だけど、やっぱり嬉しかった。
あと10年以上は保護者の手がかかるこの子。
これから、日の光を暖かく思い、めぐみの雨を喜び、雨の後にかかる虹を美しいと思うはず。
母親が持つ遠い遠い昔
もう記憶の片隅であるが、はっきりとしている記憶。
雑多な街。パパとママ、そして狭いながらも楽しい我が家。
私の両親を苦しめる事になる悪魔に出会う前。

あれから人に起こり得る一生分の不孝を一身に纏い長い時間が流れた。
幸い、成長は出来た。人並み以上の体まで出来た。神父さんまで魅了するような、ね。
それに金銭的に困った事は無い。
好きな物に囲まれて、貴族のような生活も出来た。
とても可愛い娘二人にも恵まれた。
私を師と仰ぐ後輩にも出会えた。
今でもその師弟関係は続いている。

一人の男性を愛して、二つの愛の証があって、今も年齢以上の住居に住んでいる。
昔の不孝、人類の危機を救ったのが嘘のような。

もう、姿、口調もおばさん?なんてね。まだ長女とだって負けないわよ。
そして、私は「何か」を見つけた。これから見つけるのは腕にいるこの子。
あら?この子起きちゃったのね。何ぐずついてるのかな?私の赤ちゃん。
昔、どん底でもがき苦しんでいた私の記憶はまだ薄れていない。
それを思い出したら、恐いと思う反面、強くならないと決意する。この子の為にも。

くずねていたこの子が急にはしゃぎだした。雨がやんだみたい。
ぬけるような蒼空がひろがっていく。

(haukiさん著、夜明けに続く)

いちおー完結させてみました。

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