ザ・グレート・展開予測ショー

火消し戦隊、後始末!


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 8/30)




 ー火消し戦隊、後始末ー



 ーオカルトGメン本部ー
 心霊事件の捜査を主とするここオカルトGメン、その総本山として知られるこの本部に再び・・・彼らは集まっていた。
「ーで、みすみす取り逃がしちゃったワケ?」
「誰にでも〜失敗はあるわよ〜」
 彼らの中には、直接の放火魔逮捕の任を断りはしたが、結果が気になり様子を見にきた者もいる。(半分冷やかし同然)
 そんな級友達の心暖まる気遣いに対し黒いスーツ、そしてそのスーツにピッタリと合った白い手袋を纏う女性は、こう叫んだ。
「うっさいわね!相手があんな堂々とマシンガンやら何やら持ってるって知ってりゃ、逃がしたりはーーー・・・何これ?」
 ポンと、自分の掌に放られたものをまじまじと見る。
「・・・色紙?」
「折角顔見知りが特撮ヒーローになった事だし、サインもらって事務所の額に飾っといて見せびらかそうと思ったワケ」
 そう言って朗らかにー色黒の女性は笑った。
「・・・あ、そーなんだー、あははは!」
 黒いスーツの女性の女性も笑う。ニコヤカニ。
「そーそー!客相手の笑い話にぴった・・・」
 そこまで言って、色黒の女性は飛来した『色紙』を身をよじってかわした。ザスッ!と何の変哲も無い色紙が補強された壁に突き刺さる。二人の女性はそれでもなお、笑いあっていた。
(・・・君を)
(・・・コク)
 そうっと後ろの方で成り行きを見守っていた二人、現Gメンの捜査官とそれを目指す金髪の青年が、互いに頷きあう。巻き添えで式神まで暴走されてはたまらないと、もう一人のオロオロしだした『級友』の女性を会議室の外へと連れ出す。
 ーそれから間も無くしてー
 ドグォォァアアッッ!!!
 ー会議室は全面的に使用不能となったー

「君達は本当・・・そのエネルギーを他に回せんのかね?」
 もはや日常レベルにまでなった、激しい頭痛を抑えるかの様に頭を抱え・・・神父は渋面のまま言った。いや呻いた。
「やれやれ全く・・・これでピート君に西条君があそこから六道君を連れ出していなかったらと思うと・・・」
 神父が痛々しい様子で、胃の辺りも押さえる。それでも会議室を破壊し尽くした『級友』二人の言い争いは終わらない。過去に血で血を洗うその一歩手前にまで発展しかねなかった『入嫁狐の権兵衛さん』事件が再現されかねない程、二人は共に気がたっていた。争いは一向に止む気配がない。
(美神君は今回の事で・・・エミ君も最近、色々とあったからなぁ・・・あいたた・・・)
 三たび、神父が教会の事もあっての心痛に教われた時。
「ーーーいい加減にしなさいっっ!!!貴方達はここをどこだと思ってるの!!?」
 地獄の底で光明を見た心持ちで、神父は声のした方を見る。
 そこには当然、今までスーツの再使用許可を取るのに奔走していたオカルトGメンの重鎮、美神美智恵の姿が在った。

「いやー・・・助かったよ美智恵君!」
 あれからしばらくの時が過ぎ、二人は急遽結成された放火魔対策を練る為用意された特別室にいた。
「唐巣さんももう少し、ガツンと言わなくちゃ・・・身内に甘いのも程々にしないと駄目ですよ」
 美智恵はそう言いながらも、微笑みながら神父の湯飲みに緑茶を注ぐ。一心地ついた神父はゆっくりと湯飲みを口元へと近付けた。その様子を見ながら、美智恵が口を開く。
「放火魔達の足取りは・・・やはり掴めません。初顔合わせの時、西条君とシロちゃんの姿を見た事からこちらの追跡手段を看破されてしまったみたいで・・・迂闊でした」
 表情に陰りを見せながら、そう語った美智恵を見て・・・神父は湯飲みを口元から離した。
「・・・まぁそうあせる事もないさ、一応撮影はしておいたんだし、シロちゃんならいずれきっと根城を嗅ぎつけてくれるよ」
「・・・・・・ええ、ではそれまでは・・・」
 美智恵はそう言うと突然、腰かけていた椅子の横に積まれていたダンボールから何かを取り出した。何かの書類の様だがむやみやたらに数が多い。
 ドサドサ!
「ふう、これで全部・・・」
「こ、これは・・・?」
 にっこり笑って、答える。
「散々いろんな部署を回った結果、これ全部添削する事を条件にスーツの使用許可をもらったんです。頑張りましょう!」
 断る事は出来ない。性格からしても、現在仮の寝床を提供してもらってる事からも断れない。
(トホホ・・・)

 ー神父は嘆きながらも、ペンを握りしめたー

 ーその一方、放火魔軍団はー

「絶叫してから気を失ってしまった私をここまで運んでくれて有難うございます!おかげで捕まらずに済みました、有難うございます!このご恩は決して忘れません!有難うございますっ!」
『心がこもっていませんね・・・もう一回です』
 既に何度読んだかも覚えていない『感謝』の文を読みあげつつ、彼女はつくづく思った。
(うかつに弱味を握らせるものじゃない・・・それを教えてくれた事には心底感謝するわ、いつか立場が逆転したら・・・!)
『不穏な事を考えましたね?その事を新しい紙に書き加えてからもう一回です』

 ー用をなさなくなった用紙を、彼女はビリビリ引き裂いたー



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