ザ・グレート・展開予測ショー

夕日。


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/ 8/30)

秋のそよ風に夕日。少し肌寒いが人間にはとても気持ちのいいはずである、
が、だ。
その男性。少しばかり低い身長に細い、いや、やせがれたともいえる姿。
そして、その三白眼には憂いを含んだ光りがあった。
少し寂しげな。

ベットに腰を下しているが、どうも立ち上がろうとはしていないようだ。
「嫌な天気だぜ。」
とその表情に似つかわしい低い声で男。
それなら横になればよさそうだが、
頭が妙に働く。

この仕事、ゴーストスイパーになる前にやっていた己の手を赤く染めずに、
やっていた、悪事。
いくら己の命を守るためとは言え
「許される、事じゃない、よな」
素直になってしまう。そんな朝であるのか?

普段なら絶対に確認するように口にしない、過去だ。
突っ張っていて
妙に暗い世界で
そして、寂しくて。

外に出ている太陽が輝きを増した。
彼の体から何かが、光った。
だが、彼の体にはそのような、光源となるべきものは無い。
そして、だが、その光は確かに、存在したのだ。
例えるに、
消えてしまいそうな蝋燭や、線香花火の最後に似た、
儚い光り。
そう、太陽が彼の瞳を映したに過ぎないのだが、
もの悲しい。

彼は、無意識のうちに爪を噛んでいた。
それは幼い頃不安になるとする、癖。
「つっ」
と微かに声を上げ男。
爪を食い破ったようだ。

指に鈍い痛みが残った。
まじまじとみる
一筋血が流れていた。
当然とも言えるが、

今の技が使えなかった時分。
チカラが今より欲しかった自分。
このときより大量の血を流し傷をつけ生きていた。


その時の仕事に就けるべき名などなかった。
どんな汚い、それこそ人の命に関わるような、奪うような仕事をしていたのだ。
己は・・この仕事をやっていた。
「しょうが、ねえだろ…俺はいきたかったんだ」
言い訳?
いいや。
ちがう、絶対に違う。
否定…したいんだ。

そういえば、当時、自分に相棒と呼べる存在は居なかった。
誰もいないままただ、自分は生きるために闘っていた。
いまも残る傷を抱えて。
そして、まがりもなにも、共にあった人物との別れとなる事件で
俺は変わった。


男は少し唇を歪がませた。
過去を振り返ってもしょうがない。
今の俺は、正規の免許を持っている。
そして、
前よりはマシになっているハズ。

そうだ。
昔は夕日がきらいだった。
今は違う。この穏やかな一日の。まるでこの世界と別れを惜しむかのような美しく、柔らかい光を、ゆったりとした疲れのなか浴びる事ができる


じりりりりり!!
ともう、随分を旧式の電話が鳴った。
仕事の依頼だろうか
たく…

今日の朝仕事おわったばっかなのに。

男は苦笑しながら受話器に手を伸ばした。
やわらかな、オレンジ色の光を浴びながら。

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