ザ・グレート・展開予測ショー

FORCES(7)


投稿者名:二エー
投稿日時:(01/ 8/29)


ババババッ

何だ・・・奴が未だ生きて?違う・・これはヘリだ、ヘリの音だ!ちきしょう。おせえぞ西条。そうだ・・目印を・・ええいこれで解るか?

おれは右手を空に向け「栄光の手」を限界まで伸ばす。そしてそれを維持する・・つ、疲れる。早く気付け、アホ公務員。

音が近付いてくる。どうやら気付いたらしい。「栄光の手」を収束して仰向けに倒れこんだ俺にヘリのサーチライトが当る。まぶしいっつーの。

そういえば虻野郎は?あたりを見回す。俺は発煙筒のある場所を見る・・・


そこには

やつの頭部が転がっていた

「人間」の姿に戻って・・・


胃の中身が逆流する。俺は吐いた。吐きつづけた。何で?なんで人間に?そうか・・・死んでもとの「人間」に戻って・・・俺は・・人を・・

「横島君!どうした!なにがあった!」

いつのまにか西条達が俺の傍らに来ていた。俺は応えることができずに首の転がっている
当りを指さす。それを見た西条も一瞬身を硬くする。

「なるほど。死んで魔力が解けたんだな・・・それはそうと横島君、あまり現場を汚すな。後で鑑識が困る。」

ムリだ。馬鹿野郎。

「ともかくよくやった。横島君。君がやらなければもっと多くの人々が犠牲になっていただろう。ヘリに乗り給え。すぐに病院に運ぼう」

「いい・・たいした怪我はしてないから。それより・・・早く事務所に帰してくれ。それが一番助かる。」

「ああ・・そうか。解った、ヘリに乗れ。東京まで運んでもらえるように頼もう。朝には
東京に着く筈だ。」

「そうしてくれ・・それとな、西条。」

「何だ?」

「二度と一緒に仕事はしねえからな」

「それは願ったり叶ったりだが・・君に仕事を選ぶ権利があるのかね?」

俺はそれには応えずヘリに乗る。

ともかく一刻も早くこの場から立ち去りたかった。

この後俺はヘリの中で簡単な治療を済ませながら東京に向かった。病院にいけと進めるGメンの勧めを無視してまっすぐ事務所まで帰ってくる。


こうして朝日の中で事務所の前に立っていると・・・何だか全部夢だったような気がするな・・・・それもとびっきりの悪夢。だがあれは夢じゃない。俺が形はどうあれ人を殺したのも・・・そしてこのベヘリットも。

今はその事を考えるには身も心も疲れ過ぎている。さっさと報告済ませて家帰って寝よう。それからだ・・・・いろいろ考えるのは。

事務室の中にはおキヌちゃんと美神さんがいた。どうやら西条から連絡があってからずっと待っていてくれたらしい。入ってきた俺を見ておキヌちゃんがびっくりした顔をする・・・よっぽど酷い顔してんだな俺。

「ただいま・・・」

「よ、横島さんどうしたんですかその顔!それにひどくやつれて・・」

「なに言ってるのよ、おキヌちゃん。私達の仕事じゃ怪我は当たり前じゃない。体力使うのもね。でも・・その臭い。相当ハードだったみたいね。」

ええ。あんたのおかげでね。

「ああ・・・これから話しますよ」
俺はソファーに倒れるように座る。見神さんが「臭いがソファーに!」という顔をするが気づかない振りをする。・・・これが俺に出来る精一杯の抗議行動だ。

「横島さん、無理しない方がいいんじゃ・・」

「いや、大丈夫・・・だよ。報告が・・終わったらすぐに・・あがらしてもらうから。」

「そうね。さっさとしてちょうだい。」

へいへい。俺はポケットからベヘリットを取り出す。出されたその「目鼻付きタマゴ」を見て二人が目を見張る。

「ええ・・・結局奴は・・・正真正銘の・・元人間で・・・その割にはタフで・・俺も殺されかけて・・でも俺もこのベヘリットを手に入れて・・これを・・使えばあいつもひょっとしたら・・・・生き返られるかも・・・しれ・・な・・」

あれ・・?何言ってんだ俺。これじゃ説明になって・・ああ・・駄目だ。意識が・・・

深い穴に転がり込んで行くように俺の意識は薄れていった・・・・・・









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