ザ・グレート・展開予測ショー

FORCES(6)


投稿者名:二エー
投稿日時:(01/ 8/29)

「解った。僕達もすぐにそちらに向かう。場所は・・・〇〇駅のすぐ側だったな。高速ヘリを使うからそんなに時間はかからないと思う。が、横島君。君も知っての通り今は真夜中だ。おまけにそのあたりには目印になるようなものが何も無い。だいたいの位置は解るんだが・・・そこで一つお願いがある。何か目印になるもの、例えば大きな火や強い明り
みたいなものを用意して現場で待機していてくれ。解ったね?・・・・・・それと面倒だからって逃げるなよ?君がそんな事をすれば僕はその一部始終を令子ちゃんに話さなくちゃならなくなる。君の為にも僕にそんな悲しい事をさせないでくれ。頼んだよ。」プツッ

「お、おい西条?さいじょうさーん。クソッ」

マジかよ・・・西条達が来るまで化け物の死骸の側で待機?おまけに逃げたら美神さんにチクるだあ?はあ・・・ついてねえ。ま、いいか。どっちにしたってもう電車もねえし・・確か何か目印になるものを用意しておけって言ってたな。火は・・駄目だ。この暗さじゃ燃えるものを集めてるうちにこっちが迷子になっちまう。火種もねえし。となると明かりか・・・文殊はさっき使っちまったしな。ほかには何か・・・何か明かりになるようなものは・・・さっきの蛍がいればな・・

あの蛍達はしばらく俺の周りをふわふわしていたのだが俺が西条に電話している間に何処へともなく散っていってしまっていた。

・・・・・あれは本当に蛍だったのか?蛍があんな・・接近してくる化け物の姿が解るくらいの光を出せるんだろうか・・・ひょっとしたら本当にルシオラ・・はっいかんいかんまた現実逃避を・・・だいたいこんな真っ暗闇で考えることじゃないよな。怖くなってきた・・・やめとこう。今はともかく明かりだ。俺は右手の「栄光の手」の淡い光を頼りに
ホームの雨よけにある柱を探る。

たしかこういった無人駅には・・・おっあったあった

非常用の懐中電灯と発煙筒を柱についている非常用ボックスから取り出す。動作は・・・良し。使える。

この二つでどうにかするしかないな・・・俺はあの虻野郎が自爆し、その破片が未だ燃えている地点を振り返る。だいぶ火が弱くなってる・・・急いで戻らなければ。

見える火に近付くにつれて風に乗って臭いが飛んでくる。奴の破片は自爆したところから円を描くように四散していた。俺はなるべく風上の方を選んで地面に腰を下ろす。それでも酷い匂いが鼻をこじ開けて入ってくる。いつもは顔も見たくない西条だが今は一刻でも早く到着してほしい。このままここにいたら頭がおかしくなりそうだ。


どれぐらい時間がたったのだろうか。・・・頭が朦朧としている。原因は解ってる。寝不足と暗闇、そしてこの異臭だ。火はとっくに消えているがそれですぐ臭いが無くなると言う訳じゃないらしい。・・・当たり前か。早く事務所に帰りたい・・・俺にとって第二の我が家とも言うべきところに。帰ったら・・おれのポケットに入っている目鼻付きタマゴを・・・調べて・・・それで・・・何か・・・な方法・・が・・見つかるかも・・

もう、自分が今考えてる事がこのベヘリット(目鼻付きタマゴ)に心を支配されての事なのかそれとも自分の本音なのかどうかも解らない。限界だ。もうこれ以上は・・・耐えられない。

ガサッ

何だ・・・とうとう・・・幻聴まで聞こえ出したか。

ガサガサガサガサッ

音が近付いてくる・・・これは・・・幻聴じゃない!何かがいる!

俺は「栄光の手」を発動させ身構える。瞬間頬に熱い感触が走る。これは・・血だ。どうやら近付いてきた何物かに頬を切られたらしい。野犬か何かか?懐中電灯のスイッチをオンにし回り中に向ける。クソッ明かりの範囲が狭すぎて捕らえきれない!だが一瞬視界に飛びこんできたのは・・・

バラバラになった筈のあの虻野郎だ。それも首だけ。・・・やっぱり幻覚か?疲れていつのまにか夢見ちまってるとか?だが俺の考えを否定するかの様に奴の声が聞こえてきた。

「くくそっつはははずしたか。だだがつつぎはあてる、あててやるぞおおおっ、おまえをくしざしにしてやるううううっつ」

俺は声も出ない。そりゃあそうだろう。あの状態で生きているなんて普通誰が考える?タフというか根性あるって言うか・・・

俺は自分の出している懐中電灯の光線と「栄光の手」のほのかな輝きに気付く。まずい。これでは自分の居場所を教えてるようなもんだ。あわてて消す。

「ああかりをけしてもむだだ。わしにはわわかるぞおおおっおままえのいいばしょがあああっつ。だだからこここころされたくななかったらベヘリットをかえせええええ、ああれさえあればわしはまたちちからをおおおっつ。」

ハッタリだ。本当に見えてるんならとっくに俺は死んでいる。だが俺もこの状態では武器を出すことができない。どう考えても常に守勢の俺が不利だ。第六感で攻撃され続ければ
奴の言った通りいずれ俺が串刺しになる。懐中電灯なんかじゃなくもっと広い範囲の明かりがあれば・・・・考えろ・・どうすれば・・何を使えば・・この状況を切りぬけられる?

ベルトに刺していた発煙筒に手をやる。そうか・・これを使えば。

俺はまず右の靴と靴下をはずす。来るなよ。今来られたらおしまいだ。よし・・来ない。

次に懐中電灯を地面に突き刺しスイッチに右足のつま先をかけ、発煙筒の栓を外し振り回す。色付きの炎とともに煙が噴出してくる。さあ・・来い。

奴が飛び込んで・・来ない。解ってる。向こうもそれほどバカじゃない。というかあの文殊を警戒しているのだろう。俺も持っていればこんなケムいことをしなくてもいいんだが。・・・そうだ、早く俺にもう手が残ってないことに気付け。

やがて炎が消え、もとの漆黒の世界に戻ってゆく・・・だが煙は残っている。目やのどが悲鳴を上げているのがその証拠だ。俺は右手の「栄光の手」を発動させる。

ガサガサガサガサガサッ

今度こそ・・来た!
俺は右のつま先を下ろして懐中電灯を「オン」にし、その場から飛びのく。俺がいた場所に色付きの雲が出来上がる。そこに飛びこんできた奴の姿が影となって映し出される。

「伸びろっ」

俺は影に向かって「栄光の手」を伸ばす。

ドスッ

「あああいいいいあいひ!」

「栄光の手」を通して嫌な感触が伝わってくる・・・やったか?
俺は脱力して座りこむ。どちらにせよこれで未だ生きてりゃお手上げだ。

何の物音もしない。とりあえずは大丈夫かな・・・



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