ザ・グレート・展開予測ショー

君がいるだけで(3)


投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/ 8/28)

「それでヒャクメ、調査のほうはどうでしたか?」
 小竜姫とヒャクメは遊園地から帰ってくると、天界の竜宮城からの迎えに天龍童子を預けて帰すと、すぐに妙神山内にある建物の一室に入りなにやら深刻な話を始めたのだった。
「ええ、――あらゆる角度から調査分析を行なったけど、見つからなかったのねー」
「やはりそうですか……。ベスパの危惧が当たったと言うことですね。それではもう消滅してしまったと考えていいのですね。」
「それは、なんともいえないわ、小竜姫。私の電算機は小型のものだから、見落としがあるという可能性も無いわけではないのねー。」
「あなたの千里眼が見落とすなんてことがあるとは思えませんが……。より詳しい分析をしたほうが良いと言うのなら魔界軍情報処理班に協力してもらったほうがいいですね。」
「うううっ、――あの時、じゃんけんに勝っていれば―――、最高級演算装置の土偶羅を使って調べられるのに―― 残念ですねー。」
 アシュタロス事件が解決したあと、高い演算能力と処理能力を持った土偶羅をヒャクメと魔界軍のジークフリートとで取り合ったのだが、そのときじゃんけんで負けて土偶羅は魔界軍所有となっている。
ヒャクメはそのことを思い出して嘆いているのだ。
「まあまあ、いまさら嘆いても仕方ないでしょう。とにかく確認のためにもジークフリートに連絡してみましょう。それから彼女たちも話したほうがいいでしょうね。」
「そうですねー。このことについては彼女たちがもっとも知りたいでしょうから。――たとえ…最悪の結果だとしても知る権利はありますからねー。」
 二人は同時にため息をついた。
 しばらくして小竜姫は思い出したようにヒャクメに声をかけた。
「そういえば、ヒャクメ。今日、美神さんに話しかけたときはびっくりしたわよ。調査のことを話すんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたわ。」
「うふふ――あれはちょっと意地っ張りな美神さんをからかっただけじゃないの。」
「それでも、横島さんが目的だなんていうから、全部言ってしまうのかと思ったわ。」
「そう? それは悪かったと思うけど……小竜姫、あなたも結構きわどいこと言っていたじゃないの。」
「あ、あれは、あなたがいきなり私に話を振るから――。ふう……あのくらいでうろたえるなんて私もまだまだ未熟ですね。」
「そんなこともないと思うけど……。ねえ、美神さんや横島さんたちにはこのことを話さなくていいの?」
「ええ、こちらでの話し合いが済んでからでいいでしょう。今の段階ではあの人たちを混乱させるだけだと思いますから――」
そして、小竜姫は今まで以上に真剣な顔になり話を続けた。
「先の戦いで我々は最初から何も出来ず、人間に頼るしかありませんでした。その結果、最も活躍したはずの横島さんに大変辛い思いをさせてしまいました。」
 ヒャクメも真剣な顔になり頷く。
「彼はあれ以来、そのことについて顔に出したこともないけどねー」
「ええ、横島さんは本当に強い人です。だからこそ我々は償いをしなければなりません。」

 彼の功績に報いるためにも――ルシオラの復活を――

 それがあの戦いに関わった神族魔族の横島に対する思いであった。

翌日、妙神山に小竜姫、ヒャクメ、ワルキューレ、ジークフリート、ベスパ、パピリオそして土偶羅が集められた。
 集まったものたちは一様に緊張した顔をしている。パピリオでさえ場の雰囲気を感じておとなしく席に座っている。
そこで小竜姫が代表して静かに話し始めた。
「昨日、天龍童子殿下を人界にお連れした時に、ヒャクメがひそかに横島さんを霊視しました。――結果から言います。ヒャクメが調査したものを、土偶羅が先程分析した結果、ルシオラの霊体で補われた霊基はすでに存在しませんでした。横島さんの体の中で消滅もしくは全て構造変換されてしまっています。よって、ルシオラが横島さんの子供として生まれ変わるという事は不可能になりました。」

*** つづく ***

ついにやっちまったぁ
今回は特に感想が来るのが楽しみでもあり怖くもあります。
えーい、どーんと来い!

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