ザ・グレート・展開予測ショー

決闘 第四幕


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 8/26)

 「お、おのれェ、横島くん!!!」
西条はのどの奥から吐き出すように叫ぶと、背中を押す神通棍を素手で押しのけようと背中をはたく。
 「もう、やめようぜ。俺は弱い物いじめは嫌いなんだ(へー、言ってやったぜこのバカ西条)」
横島は神通棍を退けると、侮蔑の笑みをうかべ、言った。
「君からそんな言葉をかけられるとは・・・どんな悪夢より絶えがたい!」
西条はゆらりと立ち上がり、服のほこりを払い、ポケットに入っていたハンカチで顔の泥を拭う。
「・・・やはり君は・・・私の生きる世で存在すべきではない!落ちろ、消えてしまえ!」
忌み語を並べ立てつつ、神通棍に全開まで霊力を注ぎ込む。
 神通棍はその威力を増大させ、輝き出る霊力は空気中の細かなチリをパチパチとはじいている。その周囲には少しずつではあるが風が集まっているように感じられた。
 次第に西条の周辺に砂煙が舞う。その砂煙が霊力に反応してきらきらと輝いた。
 ギャラリーたちはその姿を見て感嘆の声をあげる。
 西条は神通棍を両手でしっかりと握り、中段、みぞおちより正面に構えた。
 すると輝く砂の範囲が一回り大きくなったように感じた。まるで結界である。
 横島はその結界を避けるように大きく一歩下がった。
「行くぞ、横島君!」
声と同時に乾坤一擲の突きが横島を襲う。放たれた突きは砂の結界を突き破り横島の喉を襲う。
 が、横島はそれを読んでいたかのように西条の突きとほぼ同速で更に一歩下がる。
 よし、かわした!
 横島は確信したんか、次の手に移るべく足を止めた。が、
「甘いぞ横島君!!」
そこから突きが更に伸びた。西条が左手をはなし、体を捻って右腕をめいっぱい伸ばしたのである。
 ほんの数センチで見切っていた横島の喉に神通棍の切っ先が襲い掛かる。
「ちぃ」
しかし美神にさんざん殴り倒されて身につけた反射神経を持って上半身を捻ってそれをしのぐ。が、それと同時に横島の首筋に赤いラインがくっきりと刻まれた。
「な・・・」
驚愕する横島。

ぶっしゅっ

一瞬置いて、そこから多量の血が噴出す。西条の突きは確実によこしまの頚動脈を断ち切っていたのである。
「横島君!!!!!」
美神の声を、西条は聞き取っていなかった。
首を抑える横島を見おろし、勝利の笑みを浮かべる。
「勝った・・・・」
まさに一瞬が勝負を分けた。横島と西条、霊的能力では横島に分があったが、実践的な攻撃力ではまだわずかに西条が上手だったということだろう。
内野席から中を伝い、グラウンドのセットに出てくる令子。
「令子ちゃん、どうだい、君のための勝利だ!!」
西条はさわやかな笑みを浮かべて令子に語りかける。そして駆け寄ってくる令子に抱擁しようとした。が、
「じゃまよ!!!退いて!!!!」
ぐっとにらまれた。ただそれだけだった。勝ちもくそも無い。その時西条は自分の居場所が令子の中に無いことを知った。ただ空しいだけだった。
(なにやってるんだ、俺は・・・)
その場で黙って立ち尽くす。
「横島君!!」
「大丈夫すよ、まだやれます・・・」
「なにバカ言ってるのよ、文珠は如何したの?」
「・・・ああ、あれ、あ、ベンチ裏かな・・・」
ははは、と笑ってみせる。しかし予想以上に出欠が多いらしい。数秒後には早くもチアノーゼを起こし始めていた。
「はは・・すいませんやっぱダメッスね・・・おれ。思わず手加減しちまった」
「・・・・」
西条が横島を見下ろす。
「すまん・・・」
やっと自分のしたことに気付いた。ただ自分のプライドのためだけに、仲間を傷つけただけだ。ここまでする必要は果たしてあったのか・・・。
「しっかりして!横島君!!」
「はは、だいじょうっぶっすよそんな顔しなくっても・・・西条」
「なんだ、横島君」
「車、悪かったな」
「い、いいんだそんなことは」
「・・・いいんだな・・・」
「ああ、決闘なんてバカなことはもう、二度といわない」
と、その言葉を聞いた瞬間、横島がにやりと笑った。そして首を抑えていた手をぱっとはなす。

ぴゅう〜〜。

「・・・横島・・・君?」
美神は、その赤い液体をぺろりとなめてみる。
「じゃ、さっさと帰ってビデオ帰してくるかな」
横島は何事も無かったかのように立ち上がると、襟元からチューブを引き抜く。その先には大きめのトマトケチャップが・・・。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「な、なんだよその目は。美神さんも、ほんのおちゃっぴぃじゃないですか・・・」
「へぇぇぇ・・・」
「そんなことで許されると思っているのか・・・」
美神は黙って神通棍を構え、西条もどこに隠し持っていたのか拳銃を取り出す。
「・・・なんだよ西条、決闘なんてどうでもいいって・・・」
「横島君、前にも言ったがこの銀の銃は霊体も撃てるが・・・人も撃てるのだよ!!!」
「私を謀ろうなんて100年早い!!!」
「うわぁぁぁ、勘弁してくれぇぇぇぇ!!!!!!!!」

横島君がその後どうなったか知るものは・・・誰もいない。ついでに横島君は後日、一週間ほど無人島に飛ばされたことだけを記しておく・・・。

おちまい・・・だぁぁごめんなさい、物は投げないで!!



 

  
 

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