ザ・グレート・展開予測ショー

美面相双女ベラルーシ


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(01/ 8/23)

(注:この話は、『叙霊刑事ヨコジパン』 シリーズの全てを読み通してから読まないと難しいかもしれません。)


ヨコシマは、世界を股にかける超戦士・叙霊刑事ヨコジパンだった。
そのヨコシマの頭脳の記憶の中から、ルシオラの細胞がカオスらの手で再結合された。
今や、山村貞子の子宮を経てルシオラは完全な人間として再生したのだ。

そのヨコジパンが、SAIJHONEの魔の手から救い出してから、約八年が過ぎた…。
だが、ヨコシマは帰らない。
帰らぬ人となったのとは、ルシオラは未だ知らない。

もちろん、そんなことはルシオラ自身は認めていない…。
きっと何処かにいるのだろうと……今度は…この私が見つけ出さなくてはいけない。
そんな思いを前に、今回のタイトル 『美面相双女ベラルーシー』 は幕を開けるのであった――――――


               ☆                    ☆                    ☆


「ルシ…オラ・・・・・・!」

脳裏の中に響く声。

「俺だ・・・横島だ・・・・・・!!」

脳裏の中で声がひしめき合い、反響する。
私は、勿論、ヨコシマのことを好き・・・というか、一応は籍を入れて、いっしょに寝ていた。
その眠りかけたときの・・・ヨコシマの表情は、険しいものであった。
隠れざる秘密の部分も、猛り切るまでに急激な成長を見せていた。
それを見た私は、思わず慶んだ顔を見せた。

「ヨコシマ・・・・・・」

そう、歓喜というか・・・感激というのかはわからないけれど、私は声が出ていた。
だけど、ヨコシマは耳元で、噛もうとするように囁く。

「・・・タダオってさ、言ってくれないか・・・」

まるで溜息が耳にかかるように、声をかけられる。
耳朶が、凄く熱い息に染められる。
同時に私は、顔が火照っていくのを感じる。
もうだめ。
私は、もう悶え声を上げる以外に無かった。

「あ・・・あふぅう・・・」

思わず、溜息のような声が出た。
目の前には、タダオのそれは逞しい上半身が、闇夜に照らされる。
タダオは、興奮しているようでもなく、私の体を凝視している。
でも、恥ずかしいものなんて感じられなかった。

「私が、元がアシュタロスに作られた魔族だったから?」

私はヨコシマにそう尋ねたけれど、返事は無い。
代わりに、首を横に振りながら、両手を私の体の背中に回す。
そしてガッシリと掴むと、私は苦しさを覚えた。
タダオの体が・・・私の体に覆い被さって、離れようとしない。
けど、私は何も言わなかった。
言わずに、とにかくタダオの為すがままにしたがって動くだけだった・・・!

「ルシオラ、おまえの体・・・スレンダーで気持ちいいな・・・・・・・・・!!」

こうタダオは言うと、これ以上は無いというぐらいに、その下の付け根に見える秘密の部分は猛々としている。
その部分が、いま・・・何かを求めるように剥けきれる。

「ああ・・・・・・」

でもその時、眼前でそのタダオの陰部が・・・いや、体全体が陰部から何もかも裂けて行く。
驚いて、悲鳴をあげそうになったその瞬間――――――

               ☆                    ☆                    ☆

「・・・さん。」

私はボーっと眠りこけていた。

「・・・・・・あさん、」

と、声の主が近づいてくるような感じに捉えられた。

「お母さん!」

今もって、はっきりと聞こえると、布団をすっぱいで私は起き上がった。
がばり・・・と。
起き上がった目の先には、女の子がいる。
一応でも仁王でもないけど、この女の子はあたしの娘。
タダオと私の間に出来た娘で、年は6歳、名前はVELLA・・・ベラという。
フルネームで言えば、 横島ベラ ってところ。

「お母さん、また魘されてたよお。」
「えっ・・・!」

その娘の強気な発言に、一瞬私はドキッとした。
ルシオラは娘に見透かされていた。
なのに、私の目からホロリと出てくる涙の前に、娘もドキリと心を留めた。

「・・・だ、大丈夫よ。さあ、起きて行きましょっか。」
「うん!」

元気を瞬時で取り戻すや、ルシオラは洗面所に向かって音を立てないよう歩く。
娘のベラは、とっくに早起きしてご飯の支度をしてくれていた。
なんとも、親孝行な娘だ。
多分、忠夫本来の優しさが遺伝したのだろう。

               ☆                    ☆                    ☆

こうして親子二人は、ご飯を取るなり一時間後、宿を出た。
そこは、北の町・サタンシティーのとある宿。

外に出るなり大寒波が襲う。
吹雪が、ルシオラたちを襲うが・・・これが魔物の仕業だとは気が付いていない。
そして、その吹雪を操る魔物が、再び人間を襲い始めていた。

「助けてくれええーーー!」

このような悲鳴があちこちで聞こえる。
ルシオラは娘のベラと顔を見合わせるなり、お互いに吹雪の中で距離をおいて立ち尽くす。
早速変身する気なのだ。
この襲われている人間の中に、忠夫を探すヒントとなるものがいるかもしれない
というわけで、まずはその人たちを助けなくてはならない。
二人は、そう踏んでいたのである。

早速、吹雪の中に、ベラは光球を距離を置いた中心に創り出す。
ベラはこう見えても、ゴーストスイーパー協会の試験を主席クリアした最小年齢の子供。
それほど、物質化能力も優れており、瞬時にルシオラともども駆け寄って行く。
2人とも残り1メートルというところで、軽く雪に覆われた地を蹴り上げるように跳ねつつ前方に宙返りする。
互いに宙返りして、2人の両手両足が光球を包むように合わさったその瞬間、2人は融合して別の姿と化す。
美面相双女ベラルーシーの登場だ!

魔物は、次々と人間に襲い掛かる。
人々は逃げ惑うどころか、先に顔や腕から食いちぎられる。
雪が、血の色に染まって行く。
「助けて」とも叫べぬ状態で、ガタガタと振るえる人間の姿がちらほら見受けられた。
その魔物は、ぐるるるる・・・と、おぞましき雄叫びを上げる前の手前の準備で、声を唸らしている。
この魔物は、まるで猛獣だった。
その時…・・・

「「待ちなさいっっ!!」」

歯切りのいい声が、吹雪をかき消す。
我らが、美面相双女ベラルーシーの姿が家の屋根の上に現れた。
逃げ惑っていた人間らは、一瞬目を点にするが、助けがきたものとばかりに目を輝かし始めた。

「「美少女仮面ポワトリンが容認しようと、このあたし、ベラルーシ=オーラには絶対に許せないっっ!!!」」

そこまで言い切るなり、魔物はこっちを睨み付ける。
それと同時に、魔物の姿から人間の姿に変身した。

『ほう…この私とやる気かぁ……!!』

しかし、信じられないことにその姿はタイガーであった。
SAIJHONEからCHAOSの手のものに、きびすを返したことで間一髪助けてもらっていたのだ。
そんなタイガーはにやりと笑っている。
おそらく、家ごとベラルーシ=オーラを引きずり落とそうと体当たりを仕掛けるつもりなのだろう。
そこまで読み取るや、体当たりの直前に勢いよく飛び降りようとする。
しかし、それだけではなかった。

手に三叉槍を発生させるや、同時に、タイガーの眉間めがけて投げつけていた。
タイガーは鈍すぎて気が付かなかった。
それが幸いし…………ぶすりと見事に刺さった。

『なんでジャアーー!何でいきなりこんな風にヤラレなければ行かんのジャーー!』

あっさりとタイガーは爆音を上げて粉々に消え行く。
それと同時に、吹雪も、風景も・・・・・・全て消え去った。
全ては、幻覚だったのだ。
それにしても、情けない役回りだったタイガーである――――――

               ☆                    ☆                    ☆

「こんな人知らんなーー…」
「そうですか…」

ルシオラは忠夫の写真を片手に、生き残った人々から写真の人を聞いてみても「知らない」と言う声だけだった。

「残念ね…」

半分がっくりしていたルシオラであった。
でも、こんな時は決まって娘のベラが気分を和ましてくれる。
行け、ベラ & ルシオラ。
戦え、ベラルーシ=オーラ。
忠夫を探す旅は今もって始まったばかりなのだ――――――――!!!!

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