ザ・グレート・展開予測ショー

決闘 第二幕


投稿者名:ツナさん
投稿日時:(01/ 8/21)

 無風・・・。
 風一つ無い荒野・・・。ドームの中だからって突っ込みは勘弁してもらって。
 西部の町、唯一の大通り。小奇麗に片付けられたそこに立つ二人。
 その距離約2メートル、ただ押し黙り対峙する。
 ガンホルダーの代わりに、特殊警棒にも似た神通棍が腰に下げられている。
 互いにハンデなし、ジーンズに薄汚れたシャツにカウボーイハット、互いの右脇には見届け人が立っている。
 ただ押し黙った空気。口も開かずにただそこに、立っている。
 そこに響いてくるのは、砂漠に転がる牧草のこすれた音にも似た、美神令子の小声。
 今なら横島君のほうがオッズが高い、買い時よ・・・。
 勝手に賭けにするなこのくそ女。
 横島が苦笑交じりに呟く。
 
 観客数は約25000、内外野席は大入り大繁盛。入場料は1200円でした、とそれはとも角として、電光掲示板に、まずは横島のプロフィール、続いて西条のプロフィールが写し出された。
 西条の顔だ出た瞬間、二塁側の一角から黄色い声援が上がる。
 Gメンの仕事の関係上、新聞やテレビで取り上げられることもしばしばの彼には、いつの間にかファンクラブとも言うべき存在が出来上がっていた。最も西条本人だけではなく、その後ろにある巨万の富にも興味深々なのだが。
 某アイドル俳優の台詞ではないが、知り合いでもなんでもないわけのわからん女どもにばかりもててもちぃっとも嬉しいとは思っていない。所詮は代々受け継がれてきた財産目当てだろう、と西条は思っている。
 俺にとって本命は令子ちゃんただ一人。で○が魔鈴くんで△が・・・。
 話は長くなりそうなので、さっさと決闘シーンへ移る。

「・・・横島君」
西条が、カウボーイハットの下から覗き込むような視線で横島を見据え、語りかける。
「あ?いまさらなんだよ、こんなところ引っ張り出しといて今更やめにしようとでも」
「・・・引っ張り出したのは令子ちゃんじゃないか・・・こほん、それはともかく、今度という今度は意地でも白黒付けさせて貰うぞ。・・・無論僕のの勝利でな」
「なに言ってやがる。あれこれと注文してきたのはお前・・・じゃぁ無かったな」
「できるだけハンデがつかないように、武器は神通棍だけ、といったのも令子ちゃんだったな」 
「あんな女、一度つかまったほうがいいんだ」
投げ捨てるように言う横島に、
「横島君、令子ちゃんを愚弄する気か!!」
と突っかかる西条。胸倉を掴みあげ、耳元に怒鳴りつける。横島はそれを振り払うと淡々とした口調で、
「愚弄もくそも無いだろ、あの人にとっちゃおまえの考えた決闘も金ずるでしかなかったってことだ。どーだそれでも僕は令子ちゃんを許す、信じるとでも言うのか?」
と言い返す。
「当然だ!世界中のすべての人間が否定し他としても俺は令子ちゃんを信じる!!横島君、君は」
「信じるも何も、あんないいかげんででたらめな女のそばにずっとついていられるのは俺だけだ。おまえじゃ無理無理」
顔の前でパタパタと手を振る。
「・・・もういい、始めよう。何か言い残すことは?」
「さっさと終わりにして、おとつい借りたAVビデオを返す」
「下品な男だな。そんな物ばかりみてるから、もてないんだ」
「ほっとけ、むっつり貴族」
「むぐぐ・・・。しかしその悪態もこれで最後かと思うとかわいいものだな。さぁ、棍を抜け」
「・・・」
そして二人は神通棍を抜き、背中合わせに立った。
「君の命もあと3秒だ」
「やかましい」
ひゅぅぅぅ、とここで北風が吹きぬけたらかっこいい。しかしここはドームの中。砂煙はおろか、タバコの煙すらない。
そして二人は、最初の一歩を踏み出す。
『1』
と同時に!!
「さらばだ横島君!!!」
「くたばれ西条!!!」
振り返り全力で神通棍を振り下ろす!!!

ばしぃぃぃん!!!!しゅばばばばっ!!! 

激しく神通棍がぶつかり合う!スパークする霊気!!!
一瞬ドーム中央のその一体が激しく照らされる。

「卑怯だぞ横島君!!!」
「人の事いえるかぁ!!!」

・・・・ドーム内は、シーンと静まり返った・・・・。

  
・・・・・続く・・・・(^^ゞ

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