ザ・グレート・展開予測ショー

地獄裁判 その5


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 8/21)

閻魔王、通称閻魔様で知られる神はご存知の通りであろう。
しかし、彼だけが地獄の裁判官では無いのだ。
「死者をさばく事の出来る神10人による裁判になる、という事じゃよ」
目玉の親父が説明を続ける。
「今は閻魔王様が有名になったがの。ほれ。人間が無くなった後、何周忌とかあるじゃろ?」
《つまり、初七日や、47日という奴ですか?》
「そうじゃ。その周忌は10回在っての。それの時々を裁く王がいるのじゃよ」
その節々の罰によって天界へ向かう者も出てくるというわけだ。
「へぇ〜地獄も結構温情あるのですね」
美神は妙に感心をしている。その頃、閻魔王は地獄回線の電話を終えていた。
「という事例があっての、皆の意見も尋ねたい。御足労だが閻魔庁に御足労ねがおう」
閻魔王の電話がチンとなった瞬間。
「きゃっ」
オキヌちゃんが耳を塞ぐのも無理は無い。雷が立て続けに九つも落ちたのだ。
「お、オキヌちゃんをどうする気?」
美神令子が声を荒げるが、
《オーナー美神。オキヌ様は御無事で御座います。ここは大人しく》
冷静に人工幽霊1号が判断を下した。
稲妻からが徐々に形になる。気が付くと閻魔王を含め10の影が出来ている。
『泰広王(しんこうおう)、通常初七日に魂と向き合う。しっかし、こんな事例は初めてだぜ』
『私は初江王(しょこうおう)と申します14日目の担当です、まさか魂の見逃しとわ・・』
『宗帝王(そうていおう)、見参!21日目に裁判を下す者だ』
『伍官王(ごかんおう)っす。28日がたんとーでーす』
『・・もう存じておろう。閻魔王じゃ、35日担当、尚、ここまでで天界に行けぬ者が最悪の刑が待っておる』
『俺は変成王(へんじょうおう)。主に42日目が仕事だ』
『太山王(たいざんおう)、所謂、四十九日というのが私の担当だ』
『平等王(びょうどうおう)百日目!』
『1周年を司る都市王(としおう)じゃ』
『3周年は五動転輪王(ごどうてんりんおう)じゃ』
閻羅王授記四衆逆修生七斎功徳住生浄土が10人。ここに集う。
《す、すごい光景ですな。メーテ・・・じゃなかったです。オーナー美神》
「そうね。でも気後れしちゃ駄目よ。貴方もオキヌちゃんを取られたくはないでしょ?」
《はい》
素直に答えていると、倶生神(閻魔王の武官)が中央に蝋燭を9本用意している。
「これはな。王方が採決を決める時、賛成表明では炎をつける、逆はそのまま」
倶生神がこちらの疑問を読んだのか、そう美神に答える。
因みに、中央に置いたのは、誰がどの表明を表したか、秘密にする目的も有る。
「完全決着を求む。今回我たる閻魔は裁判長役を務める」
これで、裁判官が使う木槌がなった。
「これより、贄にならざる魂、オキヌの裁判を行なう、被告オキヌ、前へ」
閻魔王厳かなる台詞なのだが、着ている物がソレなので、巧くあるけない。
「ねぇ。ちょっと聞くけど、裁かれなかった魂なんてゴマンといるじゃない、なんでオキヌちゃんだけ?」
美神が発言をするが、
「お主に発言を許した覚えはないが。それについてだけは知らせよう」
閻魔王の説明を簡単に言えば、現世にいる霊もある種の罰である、という事や、
親族を守るために天界から派遣されているというのが、通例で、
「ま、それでも霊としているなら、こうはなるまい。問題は生を得た事だな」
最後は平等王が占めた。
「転生の観念から行けば、一度は絶対にこの世界で裁きが必要じゃ!」
泰公王は一番最初に裁く、転じて死者を漏らさず見つけるのも仕事、語彙が荒いのも,無理は無い。
「ですが、」
美神がすっくと手を挙げる。
「発言を許そう」
閻魔王が許可する。
「王方も御存知かと思われますが、オキヌが贄になり損ねたのは、方法を知らず、又悪鬼封印による物です」
「しかし、その悪鬼を目覚めさせたのは、オキヌが人骨村を外れたからではないか?」
初江王が美神の論に食い下がる。
「本人自信も知らぬが故、その件は臥すが役目を終えるどころか、他人に委ねる結果も私には共感出来ない」
「それに、魂の浄化も必要じゃ。150年も越えれば魂とて汚れる。その浄化も必要だな」
太山王の意見には、
《しかしですが、私は人工の霊魂です。人の見分けは魂の色です。普通の人間よりオキヌ様の魂のほうが余程》
一旦、咳払いが入り、
《余程、綺麗かと存じます》
「主の弁一理ある」
変成王。
「だが、この倶生神の手記にある、自分の利益により男の子を殺害しようとした件、これからも、一概には言えまい」
横島なんぞ、殺してもしなないわよ、と美神は言いたい所だ。
その死なない男は、
「マーロウ。そっちだ!よけろ」
『おうよ!』
結構な年寄なマーロウであるが、動きは若い犬と変らない。
否、超加速の中でも抜きん出た素早さを保っている。
「犬はいい、何故だ、貴様のようなボンクラが私と同じ世界でやれるのだ!」
そう叫ぶメドゥーサとて無能ではない。
横島とは近距離、3メートル前後から槍を繰り出していた。
「くっそー。嫌な距離だぜ!」
横島の武器は二つ、西条から借りているジャスティスに文殊だ。

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