ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:track31[フライトオブダークネス&プライドオブディバインレイ]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 8/19)

人としての命と人としての友達。どちらを失っても、自分は人たらん者となる。かつて、
人より分かたれし、人であることを拒み、人である術を棄て、人で在る者を憎むが故に
彼の血は人の其れに非ず。その自分を、受け入れてくれる周囲と、その周囲を欲する自分。
棄てられない。この血を紡いだ何人がそれらを棄てる事を選ぼうと、自分は棄てない。
(棄てられるわけが無いじゃないか。僕は…僕は人間なんだ!母さんも人間だ、僕だって)
≪妖怪だよ。もう、無理をおして人間ごっこを続ける理由もない筈だ。暴れるがよい…≫
(嫌だ!理由なら在るさ、僕は人間が好きだ。人間でいたいんだ。)
≪ほぅ?なら好きにしろ。自分のエゴのために仲間を見捨てるとは、人間そのものだな。≫
(違う!僕はそんな事望んじゃいない、人間は強く優しい生き物だ。僕は…そんな…)
≪ククク、棄てるのはお前の場合、そのくだらない妄想だな。強い?優しい?馬鹿め!≫
(なんだと!?)
≪力と狂気は同義だよ。強さと優しさは相容れない。今のお前の状況が雄弁に物語ってる≫
(違う!!強くて優しい人間はいる!!身を守る力を欲しても、もう狂気なんて要らないんだ
……気づいてよ…父さん……。先生なら、きっと…。)
≪お前の師?愚かな。奴は…奴にはこの状況はどうにも出来ん。だが、もしお前が私の…≫
(…!?僕は…大事な事を忘れていた。そうなんだ。彼女に教わった…大切な事なのに。)
結論――自分を象る全てを守りたい。それがエゴかといえばそうだろう。なら、自分の覚悟は
「ダンピール・フラッシュ!」
ドグシュアァァァァァァァァッ
ピートが放った閃光が、ゴーレムの一団の足元に集束し、一気に爆砕した。
(戦って、戦って、戦って、戦い抜いてやる。大事なのは僕の命じゃなく、僕の魂が清潔か
どうかという事だ。それで朝を迎えて、僕の身体が塵と消えても、僕の心は人間だ。)
「さぁ!続けていくぞ、ダンピール・フラッシュ!!」
ズガガガガガガガァァァァァン
広範囲殲滅攻撃でゴーレム達を吹き飛ばしてはいるが、どのゴーレムも沈黙してはおらず、
ピートの人の部分もまだ完全には絶えていないようではある。どちらの消耗も限界だったが
「ぐ……もう一……押…し…。ダン…ピー……ル……」
全開霊波攻撃を2連発撃てた時点で、彼の疲労は限界に達していてよさそうなものだ。
「フラァァァァァァァァァァァッシュ!!!」
バヂィッズバババババッ
それでも、若干の集束率の低下による余波や発動の遅れこそあったが、炸裂させる。
(クソォ…せっかく決意してもこんなものなのか、僕は?)
彼の視界はそのまま真っ暗になった。彼の立場で、それを気絶以外にどう解釈できただろう
バサバサバサッ、キィッ、ギキィッ
正確には、彼の視界は真っ黒で覆い尽くされていた。彼の周りの無数の従者が纏う闇色に。
「ボケ親父の眷族!島から渡ってきたっていうのか?親父が死んで、僕を追って、今やっと」
バサバサバタタッ、ザァァァァァァァッ
「もう、忘れない。だからこそ、尚更お前たちは島に帰るべきなんだ。でも、とりあえず今は」
言いながらピートは、周囲の蝙蝠から一匹づつ手に乗せ、次々と噛み付いた。
ガブゥゥゥッ、ゴクリゴクリゴクリ
「吸血鬼蝙蝠達よ、我が敵を排除せよ。君たちには……とるにたらん相手だ。」
眷族を吸血鬼化する。この脅威の呪法は吸血鬼の仲間内からも忌み嫌われる究極の外法だ。
通常でも吸血鬼化は爆発的な肉体強化を齎すが、眷族の能力は主の魔力に比例する。
眷族の血を吸い、己が魔力を増幅し、その魔力に反映し眷族が強化され、吸血鬼にもする。
理論上、地上最強の呪法。
それだけでも禁忌とされる理由には充分だが、それ以上に、その身に流るる血の誇りこそ
生きる意味とする吸血鬼にとって、眷族の血は死より受け入れがたいのだ。
「邪悪な血の誇りなんか勿論だが、僕の命を捨て去っても、皆を助けたい。」
ザザザザザザザザザァァァァァァァァァァァァッ
蝙蝠たちが飛び去った後には、彼らの突撃で蜂の巣と化したゴーレムの残骸だけが残った。
「良し!生命エネルギーも蓄えたし、眷族に先生を捜してもらうとしよう。
…にしても君達、随分都合のいいタイミングでやって来たじゃないか。
あわよくば僕を純吸血鬼にしようとして手を貸さないで隠れてたんじゃないのか?
…それとも主のお導きかな。天は自ら助くるものを助く。なら、祈らなきゃね。」
【エントランスの戦闘:覚悟が呼んだ一時的なパワーアップによりピート、勝利】
「う…普段、バラの生気しか吸ってないから胃がもたれた…ちょっと休ませて。」
つづく

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