横島クンは神になれるのか?〜その36〜
投稿者名:sauer
投稿日時:(01/ 8/17)
「おぉ、よくぞおいでくださいましたな、ささ、こちらへ…」
村長さんの家に着いた俺たちは、家の中へと案内され…そして今、目前にかなり高齢と思われる人物…
すなわち、村長さんの歓迎を受けていた。
「まずは詳しい話が知りたいのですが?」
美神さんに促され、村長さんはさっそく今回の仕事についての詳細を説明してくれた。内容は大体こうだ。
・・・数日前、村の若い男が、山の中へ入った時の事。
男は、山の中腹あたりで突然、大怪我をしたと言う事だった。
その場所というのは、ちょっとした休憩場所となっており、地元では誰でも利用している場所だったらしいのだが…
妙な事に、男はその怪我を負った時、意識ははっきりとしていたらしいのだが、
…その場所には自分以外誰も居なかったと言うのだ。
更に数日後、今度は若い女性二人組が、山頂付近で同じような出来事に遭遇しており、村では悪霊の仕業だと噂が流れたらしい。
もちろん、そんな事を信じない連中はいたし、彼らはどこかの変質者の仕業と考え、
村の付近を色々と調べてまわったり、山に入って手がかりを探したりもしたそうだ。
…が。彼らが山を調べている最中に、やはり同じような出来事が起こり、彼らを襲ったらしい。
これはもう、彼らの気の所為でも、変質者の仕業でも無いだろう。
間違いなく、『悪霊』の仕業だと、村の会議でも認められ、そして東京から腕のいいGSを雇ったらしいのだが…
…数日後、そのGS達は、見るも無残な姿で『殺されていた』という事だった・・・
「村の連中は大怪我をするだけだったのですが、何故かGSは…」
「殺されてしまった…そういうことね?」
「…はい…ですが村の者は、皆『悪霊』を恐れて、村から外へは出れん始末。この時期は
本来なら村祭りがあるのですが、この状況では、とても………子供達も大変楽しみにしていたのですが…」
村長さんはそこまで言うと、大きく、疲れたような溜息を吐いた。
「………かわいそう…」
おキヌちゃんは、村長さんの話を聞き、まるで自分のことの様にかなしそうな瞳をしている。
…こういうところが、彼女の『死霊使い』としての能力を高くしているのだろう。
………いや、たとえ『死霊使い』ではなかったとしても、彼女のその優しさに救われる者は大勢いるだろう。
「…許せんでござるな…人々の平和を乱すような悪霊…けっして見逃す訳にはいかぬ…」
シロは、村長さんの話を聞き、静かな怒りをその瞳に湛えている。
…そう、その誇り高き人狼に流れる『武士』の血は、汚れた存在をけっして許さない。
………いや、たとえ『武士』としての自覚が無くとも、コイツは悪に対して決して屈する事など無いだろうな。
「…ふぅん…下らない奴も居るものね…人間を襲って喜んでるなんて……」
タマモは…一見すれば、村長さんの話には何の関心も抱いていないように見える。
…しかし、この高貴なある種の気を纏ったコイツは、一度仲間と認めた者に対してはその意志を共にする。
………このコは、本当は寂しがり屋なのかもしれない。だからこそ本当に認めた相手は、逃したくないが為に、
前世であんな事を(…俺は実際に見たわけじゃないけどな…)していたのかもしれないな。
「………OK!!私達にお任せください!このGS美神令子が、何もかも解決して御覧にいれますわ!」
美神さんは、村長さんの話を聞いても何の恐れも抱いていない。
…この人は。どんな時でも自信に満ちた行動をとり、失敗を恐れる事が無い。
………俺が今、この場所にいるのは、この人が居たから。そして、これからもこの人は変わらないだろう…それで良いんだ。
…いや…この人だけでなく、今ココにいる『みんな』は、変わることなく生きて欲しい。
…流石の俺も、こういう状況になったら、これくらいの事は考えられるんだな…
俺は苦笑混じりの表情で頭を掻くと、さっと立ち上がって言った。
「…さ、そうと決まれば、善は急げってヤツですよ!!早速美神除霊チームの力を悪霊どもに見せつけてやりましょう!!」
…俺が『人間』のうちにやる最後の仕事だ…絶対に成功してみせる!!
―――さて、やっと、今度こそ、確実にッ!!
「次回からは戦闘シーンだ〜!」と言える訳です…ふぅ〜〜〜♪
で、今回は状況説明だけでも良かったんですが、横島クンの今の心境を軽く入れました。
ちょっと短めだけど、ど〜でしたか?(どきどき・・・)
今までの
コメント:
- …なんてことだ…こういうの読むと自分の小ささを思い知らされます。
所詮俺なんてなんか適当に血生臭い事になって適当に決着する事しか頭になくて…
事件は深そうです。そして事務所の面々の表情の描写が秀逸過ぎる…。
挑戦とかしたあの頃は…若かったなぁ。
なにも考えずにバトってばかりだった俺はガキだったんだ…今回読んでそう思いました。
次回も、そういう深い部分を見つけたいと思います。 (ダテ・ザ・キラー)
- とうとう戦闘ですか
横神5回目以来ですか
がんばってください (いたけし)
- 霊を見ることができないとゆう、ごく普通の人間がこの村にいた。(発見できてなんかうれしい)
(なぜならこの世界ではそういう人の方が珍しいかもしれない。(読者にとって)
いきなり脱線してしまいました。(でも言いたかったんです。)
さて、脱線を止めるか。
横島くんの心境を表しているところがホントよかったです。
後みんなの話を聞いたときの反応や描写がとてもうまかったです。
次回の戦闘も期待しています。(小竜姫様ってこのメンバーの中では何番目ぐらいの強さだろう?) (G-A-JUN)
- ↑不安定で未知数な横島を除外すればぶっちぎりで一番でしょう?
生身で超加速に対抗できる奴なんて地上にゃいないと思いますけど? (ダテ・ザ・キラー)
- こういう状況だからこその、横島の皆への素直な想いが・・・良かったです・・・とても。 (AS)
- のののっほほ―――ッッ!?!(・・・興・・奮?)
コワイ話ダメ人間です。驚いたときの声は「のほッッ!?!?」です。
ヨロシク。横島クンがみんなのことを考えてる(?)トコがステキ。
私的にはシロのがスキ。 (ARSENAL)
- ああなんか近づいてる気がするなあ(何が? (hazuki)
- うおっ、美神がやる気満々! 余程金払いが良かったのだろうが(笑)……お〜い村長、美神令子は腕こそ立つが、金に関しちゃ「風向きが悪くなるとトンズラかます三セク」以上に質が悪いぞ〜(笑えない)。
まあ今回は小竜姫(龍神族・荷物運び)も居るし、多くのGSを血祭りに揚げた強敵でも大丈夫か、な? (Iholi)
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