ザ・グレート・展開予測ショー

初代ゴーストスイーパー横島大樹・極楽超作戦 〜開け、チューリップ!(中後々部)〜


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(01/ 8/14)

遠くに見えなくなるまで、大樹は歩いていく。
見えなくなろうとするその瞬間を、令子は見逃さないでいた。
いかにも柔らかそうな、しかして逞しいような、大樹の後姿。
見つめないことには、全ては終わらない。

少しづつ、少しづつ大樹は遠ざかっていき、自動ドアの前に立つ。
立った瞬間には、静かにドアがドアァーー・・・と音を立てて開いて行く。
決して、ドアと引っ掛けた洒落のような擬音ではない。
外を出るなり、警察の警報がけたたましく鳴り響く。

その前に、大樹はびくともせず、顔を引き締めるだけ。
「早く、こちらに逃げなさい!」
との警察のやかましい怒鳴り調の声も聞こえるが、その瞬間後には、警察の腕が噛まれる。
ヂュウヂュウと、異様な音を立てて吸い付く子供の格好をしたゾンビ。
まさに、子供並みの知能で本能を引き立てる。
その噛まれた警官の血が飲み干されていく、おぞましい音。

「うああああ・・・・」

悲鳴とともに、血は吸われていって、顔はしぼんで細く、体支の方は異様な灰色と化して太らされていく。
その様は、凡そ28秒のこと。
そして、ノスフェラトゥーの配下の雑魚となる。
しかも、パイパーによって知能が子供化されている。
こんな人間が、道路中に何百人とありふれる。

その数人が、今、大樹を見かけるなりその体のほうへめがけてくる。
飛び掛ってくる。
威勢のいい歯軋りとともに、血が欲しいと言ったようなオタッキーの様な顔で。

「血を吸わせろーーー・・・」

こんな声が数人重なって、いかにも悪魔のヨウナ声のように聞こえる。
だが、大樹はそんなことに動じていない。
大樹の頭の上に飛び掛る人もいれば、下から股間部を狙ってくるものもいる。
しかし・・・・

「おるるぁぁーーーー!」

大樹は気合一発で、二枚蹴りと肘打ち、正拳突きを噛ます。
ゾンビと化している子供は、一瞬でその数人もろとも吹き飛ばされる。
飛ばされる中で、宙を舞い、不気味にクルクルと回転する。
まだ、その数人の子供ゾンビには通常の意識がある。
尚も飛び掛ってきては、血を吸う体勢に入りつつ襲い掛かる。

だが、先ほどと同様に二枚蹴りと肘打ち、正拳突きを連打する大樹。
全然霊力を持っていないはずなのに、チャイルドゾンビ数体を返り討ちにする。
こんな光景を、我らがアジア最強のゴーストスイーパー・美神令子は見ていた。
とても信じられない展開だ。
彼、横島忠夫の父・横島大樹こそが世界全土最強のゴーストスイーパーである。
そのことは、もはや間違いないだろう。

その横島大樹の姿を確認する者の存在が、今、アジアの経済大国・日本へやってきている。
そして今、侵略を開始した。
ノスフェラトゥー、パイパー、ヌル、カマス、ビブロスという5大暴君がある。
その一人、パイパーがその大樹を今もって発見した。
その昔、ある僧侶に奪われたといわれる針を片手に持って。
ふわりと、空を飛ぶなり大樹の背後に近寄る。

「ほーーっほっほっほっほーーーーーっっ!」

甲高いオカマ調の声が、大樹の耳元に届く。
だが、大樹は全く、ゾワリと背筋を立てたりせず、一瞬で振り向く。

「・・・・・パイパーか・・・・・・!」

パイパーに対して、ギラリと鋭く目線を合わせる。
その目線に、パイパーはというと、焦りを感じていた。
これほど鋭い眼光を、いつぞや、どこかで見たような感じにとらわれていたのだ。
しかし、パイパーは思い出せないようだ。

「・・・・貴様・・・・・いったい何者だ・・・・・!」

パイパーは大樹に強気になってたずねようとする。
しかし、どこか声が浮ついているように大樹には聞こえていた。
さてねと、その解答に対して、両手を広げるそぶりを見せる大樹。
それを見て、パイパーは躊躇わず攻撃態勢に入る。
こんな人間など一斉に倒してやるとばかりに、僅かに怒りに震えるのだ。
針を握り締めるや、その場にいたチャイルドゾンビをマウスに変化させる。
ぢゅうぢゅうと、変化させられたマウスは一斉に鳴き咽びをあげる。

「さあネズミたち、そこのいい気になってる人間を子供しておやりよ・・・・・」

皮肉っぽく変化させたマウスたちに、そう言いやる。
すかさず、そのことを理解したネズミたちは何処からともなくラッパを取り出す。
パイパーは、悪魔らしく、似たりと不気味に微笑むや、やれ!との合図を出す。

パァ〜〜プピリプワアァァ〜〜〜〜♪

低いような、高いような音をラッパで奏で出すチャイルドゾンビのネズミ。
その音には、凄まじい言霊のような、魔力が乗せられて大樹の耳元へ届いていく。

パプラワァ〜〜♪

次第に、その吹かれて奏で出す音は高まっていき、最高潮まで載りかかる。
通常のラッパの音なのに、やけに迫力が伝わってくるのだ。
それも、異様に苦しくなるはずなのに、大樹は平然としている。

「ほーーっほっほっほほ、やせ我慢することないのよ、さっさと楽に子供になりなさい・・・」

パイパーはそんな悪魔的な誘いをかける。
それでも、ずぇんずぇん大樹は動じていない。
逆に踏ん反り換えるどころか、体を斜め前に傾けて戦闘態勢にしている。
その大樹の前に、ラッパの音は終盤にさしかかり・・・

♪チュ〜ラ〜ラァ〜〜〜・・・・

と、フィーネに変えた瞬間っっ!
「ヘイッッ!!!!!!子供になっちまえっっ!!!!!!!!!!!!」
とパイパーは怒りに替えて針を振り落とした・・・・のに・・・・・・!

「・・・・それがどうしたんだぁ、パイパーさんよぉ・・・・!」

と、大樹は子供に変化させられずがまま、声を1オクターブ下げて発した。
結界すら張っていないのに、パイパーの妖術を破る・・・。
こんなことなんて、パイパーが生まれて何百年、ありえなかったことなのだ。

「おまえの使う能力ってのは、所詮そんなものなんだよ・・・・・・!」

そのよう、大樹はパイパーに言い聞かせると、逆にパイパーが震えだした。
これまで前例のないことだけに、どうしようかとたじろいでいた。
このまま、パイパーは冷静さを取り戻すことなく、とにかく叫ぶ。

「こんなバカなことってあるか!あってたまるか!!あるわけがなぁーーいい!!!
 もう一度食らってみろ!このパイパー様のようじゅつをぉーーーーーーーーー!!!!!」

怒ったあまりに、そのあまりに、チャイルドマウスゾンビに向かって怒鳴る。
ネズミたちは、再度ラップを取り出してフィーネまで吹きつづけ、とどめの気合を

「ヘイッッッ!!!」

と針を大樹めがけて振り落とす。
なのに・・・なのに、またしても子供に変化しなかった。

「くそおおぉ、何故、何故なんだっっ!」

とにかく怒鳴り声で、何度も何度もそのように繰り返しても、一向に子供に成りはしない。
怒りにあまり、直接、パイパーはついに針で攻撃を繰り出そうとした。

「こうなりゃ、直接死んでもらうぞぉーーーーー!!!!!」

けたたましく怒鳴りながら大樹目掛けて、その場の子供ネズミと共に突進していく。
一斉攻撃だ。
この瞬間、大樹は光速を超えるような素早さでパイパーの胸元へ目掛けていく。
スピードとスピードがぶつかり合う瞬間のエネルギーが今もって疾る。
目でも語れぬスピードで、パイパーの胸元へ一線、手刀を2連発も叩き込んだ!

「ぐっばぁぁぁ・・・・・−−−−−−−−−−・・・・っっ!!!!!」

パイパーは、口から紫色の血しぶきを吐き出す。
だがこの時、パイパーは思い出した。
あの時の、俺から針を奪っていった僧侶の目と、まるっきり同じだったことを。
それだけでない。
手刀を叩き込まれていく瞬間を垣間見た時には、耳に精励石を入れ込んでいたのが見えたのだ。
そんな方法だけで、私の妖術を封じていたなんて、到底考えられる芸当ではなかった。

「・・・・・・貴様なのかぁ・・・・!」

そう、パイパーは思わずカナギリ声をあげる。
苦しんでいく中で、あの僧侶のことをふと思い出しながら声に変えていた。

「何がだ?」

大樹はわけのわからないことを言われて、さらに声を1オクターブ下げて聞き返す。
だが、その時には、既にパイパーは意識を失うような・・・・そんな感じでこの世から消えていった・・・・。
その直後、パイパーをいとも簡単に倒した、地球上最強のゴーストスイーパー横島大樹の眼前に
カマス・ビブロスが姿を現した。

『おーーーっほっほ、パイパーをたった一人で倒すなんて、流石は横島だねえ。』
「ぐわっはっはっは、だがその程度で我らが4人を倒せると思うの・・・・・んな?」

カマスが言い終わる前に、大樹はまたも素早く懐に入り込む。
どうじに、5発ほど連発で手刀を叩き込む。
それも、ただの普通の物理攻撃のはず・・・・。
なのに、カマスのオルゴールを既に叩き割っていた。

『んな?』

ビブロスは、驚くばかりだった。
その光景を、パチンコ店の入り口側で見ていた令子は絶句している以外になかった。
さぁーーあ、次回の大樹のすばらしい活躍を期待していてくれ。いつになるかはわからんけど。

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