ザ・グレート・展開予測ショー

おとこならばっ


投稿者名:hazuki
投稿日時:(01/ 8/13)

「せんせーっ」
尚も涙を滝のように流し、横島の襟首を揺らしながらシロ。
それはある意味とどめのようなものである。
腕の出血と極度の霊力の集中による疲労により倒れた相手に怪我の手当てをするでもなくただただ襟首をひっつかまえて振り回すとは………
いや、ある意味どころかどんな意味でもとどめであろう。
シロの剣術の師匠こと太郎は、ふうと呆れたようにため息をついた。
わき腹に手の平をあてていなければ、ついでに額を手のひらで抑えていた事間違いなしである。(ヒーリングを自分にかけているためにわき腹から手を離せない)
(五分、いや…もう六分くらいは治ったか)
自分の体の中を探りながら太郎。
折れていたと思われるあばらも完全とまでは言えなくとも、とりあえずくっつきはしたようだ。
もう少しすれば完全に治るかもしれないが、とりあえずここでは止めておく。
何しろ怪我したのは自分だけではないのだ。
そこで倒れた挙句戦いの原因をつくった張本人から、さらに怪我を増やされるとてもとても楽しげな事態に陥っている人間がいるのである。
いや別にそのままで見ていてもいいのだが。
あれだけの腕をもつ人間だ。
思わず口元が笑みの形に歪む。
反射速度はあきらかに自分よりも劣っていた。
剣術の腕も自分の方が上だ。
だが、あの少年は自分に勝ったのだ。
敗因は多分
(経験の差と、発想の差。そして土壇場での決断力の差だな)
太郎は、足音をたてずに少年とシロへの方へと向かい
そして―
いまだ少年の襟首をつかんでいる「馬鹿な子ほど可愛い」という言葉を地でいく愛弟子の後頭部をおもいっきしなんの容赦もなくそれこそ全力で
拳でぶん殴った。
地響きというべき音がその場に鳴り響く。
ちなみにシロがその衝撃で前のめりに倒れたの同時に少年―横島も後頭部を地面へとぶつけたりしている。
(このとき出来たこぶが一番大きかった)
「なっなんでっご……し、ししょうっ!!」
衝撃にぐらつく後頭部をおさえつつシロ。
「さっきから見てれば……わんわん泣いてばっかで適切な状況判断もできんのかオマエはっ」
そんな子に育てた覚えはないぞっと呆れたような声音で太郎。
(いや…育てられてないでござる…)
心のなかだけでつっこみを入れるシロ。
この人物にそんな事は言うだけ無駄と知っているからであろう。
そんなことをシロが思っている間にも、太郎は少年の様子を見る。
まじかで見ると結構なものだ。
腕には血がこびりつき体中小さな痣やない出血が無数に出来ている。
別に自分もアバラをやられたのだ。
かわいそうだとかそんな事は思わない。
ただ冷静にそして正確に少年―横島の怪我の具合を見ているだけだ。
(これくらいなら大丈夫か)
と太郎はそれを確認するとこちらに近づいている人物に
にっこりと笑った
つづく
おわらない…終わらない…(涙)

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