ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:track27+[All・over・my・MIND]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 8/13)

白銀のメインボディの内側に潜んでいた、ゴーレムのコア・ドール。その姿を形作る鉛色は、
その身体を構成している素材がオリハルコンではない確たる証であった。この状況は正しく
雪之丞にとって願ったりかなっかりであった。確かに、それによって敵の敏捷性が驚異的に
上昇したというデメリットもある。むしろ、敵の判断でこの状況になった以上、総合的には
戦況は悪化しているだろう。しかし、雪之丞はこの状況を神に感謝してもいいと思う
ほどだった。――信心深くはなかったのでしなかったが。――全力で敵とぶつかり合える
この状況を、彼は何時だって求めていたのだ。相手が何だろうと彼には小さな事だ。
彼自身が本領を発揮できれば、どんな敵とも対等以上に渡り合える。少なくとも、彼の
闘志を折る事の出来る敵などありえない。たとえ戦死したとして、精神は屈しない男だ。
「ヘッ、面白ぇ!ドン亀野郎の相手じゃ眠過ぎて調子が出なかったんだ。丁度いいぜ!!」
バシッ、ガシッ、ズギャッ
雪之丞は左右の正拳にハイキックまで追加したが、言葉とは裏腹に、全て止められた。
「死ね、ボケぇ!」
「ムゥ!」
ドギャッ
「逝け、コラァ!!」
「ヌン!!」
ガチィンッ
「くたばりさらせぇぇぇぇ!!!」
「オォォォッ!!!」
ガゴォンッ
正拳突き、コークスクリューブロー、顔面狙いの飛び蹴り、雪之丞の攻撃は全てあしらわれる
「……魔装術…でーた以上ノすぴーどトぱわーダ。
コノ上、すたみなニモ上限ガ無イトナルト、楽ニハ勝タセテモラエソウニナイナ。」
「けっ!せっかく口が開くようになっても碌な事言わねぇな!勝つのは俺だ。ちょいとぐらい
すばしっこい程度でイキがんな。ガードの上からぶち壊してやってもいいんだぜ?」
ガチィィン
互いに吹き飛ばされた後、両者は挑発し合い、再度敵に拳を突き出し、競り合う。
「不可能ダ。武術ニハ体重ニ伴ウ破壊力ノ限界ガアル。魔装術デかばーシタトテ
私ノ硬度モ考慮ニ入レレバ差シ引キぜろデ小柄ナ貴様ニハ到底実現デキナイ。」
「なめんじゃねぇ、俺の魔装術は無駄だと言われた方法で完成した。俺のダチは人の身では
到底超えるのは無理な筈の化物を倒した。不可能なんざ俺にゃ、なんの意味もねぇ!」
ビキビキビキッ
「ウオォォォォッ!?」
「なめんじゃ……ねぇぇぇ!」
雪之丞の虚ろなる鎧の漆黒の右腕と、ゴーレムの左拳に亀裂が走る。驚愕するゴーレム。
ゴシャァァァァァァァァァッ
またも両者は吹き飛ばされた。しかし、二人には明らかな差が生まれていた。
「グゥゥ?馬鹿ナ…有リ得ナイ!でーたニヨルト鎧トハ便宜上ノ呼称デ、アレハ奴ノ霊体ノ筈
…何故ソレガ崩壊シツツアッタノニ押シキレルノダ?コイツハ痛ミヲ感ジナイノカ!?」
「…ッキショォー!トドメにゃ全然足らねぇかぁ……。」
「死ヲ恐レナイ人間…恐ロシイ!」
「…なんかよー、近ぇと思わねーか?……決着がよぉ。」
バチィィィィン
雪之丞の突きを捌くゴーレム。先程と何ら変わらない動き。しかし、先程と同じではない。
「ぶち抜いてやるぜ…テメーのガードも、核も、テメーに負けた弱ッチイ俺もぜ〜んぶな」
「ウゥゥッ…霊能者ヲブッチギリデ超越シタ筈ノ私ヲ…コンナ…。」
バシッ、ドガッ、ズドッ、ガゴッ、ドンッ、ズギャッ、ズドドドドドッ、バシバシバシバシバシッ
触れるもの全て斬れるような果敢なラッシュの応酬。一瞬たりとて気は抜けない。
ガズッ
電光のような一瞬、ゴーレムの攻撃が雪之丞の肩口を浅く薙ぎ、彼の拳をせき止めた。
「くぁ!?」
「らっしゅノ速サ比ベハ私ノ勝チダ!」
一瞬。いや、まさに刹那のタイムロス。雪之丞の拳は敵の突きを迎撃するには若干遅い。
「だぁぁぁらっしゃぁぁぁ!」
ゴズッ
雪之丞の生命の根源たる何かが、彼を突き動かしていた。肩口を押され、上体を仰け
反らせた姿勢を余儀なくされた雪之丞は、左足でゴーレムの二の腕を踏みつけた。
「ナ……ナンダッテェェェェェェェ!?」
雪之丞は自らのスタンピングの反動で後方に吹き飛ぶ。常人の発想なら、崩れた体勢を
立て直そうとする場面である。彼の中の何かは、この状況で反撃を優先したのだ。
「ふぃーっ!あっぶねぇ、あぶねぇ!!…だがまぁ、ざっとこんなもんだぜ。誰の勝ちだって?」
「シ……信ジラレン真似ヲスル奴ダ…。ソレナラ…決定打ヲ喰ラワシテクレル!」
シュバッ
ゴーレムが跳躍し、眼下の雪之丞に迫る、つもりだった。雪之丞は更に高空へと跳んだ。
重力を味方につけたのは雪之丞。両雄が空中で交差する。互角の速度で渾身の一撃を放つ。
ドスゥゥッ、バシィィッ
雪之丞は、ゴーレムの攻撃を受けずに反撃に転じた。両者の速度が互角ゆえ完璧に入った。
「このまま…連続霊波砲ーーーーー!」
ズドドドドドドドドドドドォォォォン
ゴーレムに掌打を打ち込んだその姿勢で、零距離霊波砲を撃ち続ける。崩れゆくゴーレム。
「テメーがまだ生きてたら、こう思ったんじゃねぇか?『攻撃しか頭にねぇのか?』ってよ。
大正解さ。身を守るとか、避けるとか、ガラじゃねーんだよ、そんなん。それに必要もねぇ。
誰よりも強く、逞しく、格好良い俺の最強の姿は誰にも砕けねぇ。現世では敵無しなのさ、
俺が敵わないのはママだけだからな。それに…テメーにもたついてられるかよ…俺には
……あと二つもあるんだ…つけなきゃなんねぇ決着が、な。」
【地下の決闘No,1=過去に裏打ちされた過剰な自信と病的な闘争本能により雪之丞・快勝】
ベタッ
「クソ…あの野郎、いい蹴りくれやがって…しかも背骨イッてる事忘れて暴れすぎた…
いちち…マジ立てねぇ…。そーいや、最後に飯食ったのはおとといぐれぇか?…死ぬぅぅ。」
つづく

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