ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫と西条輝彦の「今日から俺は!!」完結編


投稿者名:新ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 8/ 5)

西条の戦いを物陰で眺めていた。何故だろうか?断じて暇ではない。むしろ急いでさえいる。
(アイツ本当にやってるよ…70匹ぐれぇいるし。勝てるつもりか?脳みそ腐ったか?)
数に限りのある自分の切り札を用いてこの場所を「捜」した。何の為だろうか?
(俺も大概行き当たりばったりだけど…あのヤローはただのバカだ。)
しかし、ここで自分自身になにがしかの意味を見出せなければ自分も同類だろうか?
(……結局…そーなのか?俺は助っ人しに来たのか?あんな、いけ好かねぇヤロー…)
「………バカなヤローだ…」
誰の事を指したのか?それを窺い知る者は誰一人として…あるいは、いなかった。
彼、横島忠夫は、厄珍から譲ってもらった品々の中から、呪縛ロープを引っ張りだした。
(今、俺はちょーど、ドラえもん並みの物持ちなんだぜ。)
ひょいっ、などという音が本当にしたわけではないが、彼が投げた縄の先端の輪に、
西条にまとわりついてた死霊の内の1鬼が巧く引っかかった。手早く引き寄せ、すぐさま
右手に集束させた霊気の刃で寸断する。断末魔も無く、ただそのまま滅する死霊。
更に立て続けに同じ作業を繰り返しながら、横島は考えていた。
(天の助けってのはちょこっとだけなのがお約束だ。)


「なんだ?…もう…コイツで……打ち止めか?…ぜぇ…はぁ…」
ザビュッ
人間は終わりの見えない作業に精神を疲弊させる。西条は幾らか余裕を取り戻して、
――余裕というには及ばない程度であったが――最後の一太刀を振るった。
(こんなもんだったか?負ける気は更々無かったが、勝てるとも思わなかったんだが…)
西条は鞘に収めた剣に凭れ掛った。座り込めば最後、立ち上がれなくなる事が
解りきっていたからだ。おぼつかない脚で、魔方陣の撤去作業に移る。だが、そこへ…
「こいつぁ、ぶったまげたな。まさか、百にも届こうかっつー雑霊どもに勝っちまうとは…」
「そーそー、態々俺達が無線いじってやったのに本部に連絡入れやがらねーしよ…」
オカルトGメンのビルの前で横島に声をかけた二人組が歩み寄ってきた。彼らは
西条に向けて、すっと各々の右手を掲げて見せた。人面のような物が張り付いている。
「…なるほど。カマイタチ、3身1対である君らが1人欠けた身で生き残るには、人間に
憑依するしかなかったわけだね。それにしてもよく生き延びたものだ。」
「お前の相棒、アイツが俺らをぶった切る時に眼を瞑ってたからな…モロに喰らった
フリをしてたのさ。冥土の土産に教えといてやるが、俺達の狙いはあのガキさ。」
「最初は、半人前の分際で俺達を人間みてぇなドブ臭ぇ生き物無しじゃ生きられない
有様にしてくれやがった小僧さえ潰せりゃ満足だったんだ。ところが、事情が
変わっちまった。この身体の前の持ち主の記憶によると、奴は高位魔族ともわたりあえる
らしいじゃねぇか。だから、テメェの身体を乗っ取って利用しよう、ってわけだ」
この会話を聞いて、最もショックを受けたのは誰あろう、我らが横島忠夫である。
(狙われとったんは俺かい!っつーかここで西条が死んでたら除霊しくじった俺の責任?)
「情けは人の為ならず」と言うが、今まで生きてきた17年で初めてその言葉を信じられる。
だが、何はともあれ、西条死亡の危機はまだ去っていない。とは言え、彼が自分の手助けなど
素直に受けるか疑問である。逆の立場だったら、プライドと命、自分はどちらを選ぶだろう?
(ん?イヤ、まてよ…俺が奴の立場なら、助けられる事それ自体はありがたいのであって、
問題は助けに来た人物が気に喰わんわけだから…厄珍からの貰いもんで何とか…)
一方、満身創痍の西条とカマイタチ3分の2は戦闘を開始していた。カマイタチが吼える。
「しんがりがいなくなってもなぁ、俺らの能力は健在なんだぜ!」
ギャギィンッ、ジャウッ
一人目のカマイタチは下から掬い上げるような腕の動きで、右手はジャスティスを押さえ
込み、左手で西条の足を払う。その直後に迫る二人目が地に伏した西条に両腕を振り下ろす。
ザシャッ、ザビュウッ
「うがぁぁぁ!」
身体を捻って急所こそカバーした西条であったが、消耗しきった状態での更なる失血は
充分に致命的である。なんとか気迫で、イヤ、生命危機にせっつかれた勢いで立ち上がる。
(素早い上に連携か…君の言う通り、正攻法じゃ破れないのかもな…僕が間違ってたか…
イヤ、弱いだけさ、僕が。必ず突破口はあるはずなんだ。なきゃ…なきゃいけないんだ…。)
「チッ!さっきの話聞いてねぇのかよ、テメェは?後がつかえてんだから一発で殺されろよ」
「よせよ、カッコいいつもりなんだろ、このバカ。涙ぐましいじゃねェか。」
「貴方達のような魑魅魍魎に、涙が在るとは初耳だわ!」
妖怪達の言葉に割り込んできたその声は、太陽の方角から聞こえてきた。振り向く一同。
「なんだテメーは?」
カマイタチの一人が、其処に人影を見つけて問うと、影は先程聞こえたのと同じ声で答えた
「フフフ、問われて名乗るもおこがましいけど…私はゴーストスイーパー・横…」
「ヨコ?」
影は、あからさまに名乗りを中断したようなので、西条も気になって聞き返した。
「あ…うーん、と…戦士に名など不要でしょう!」
影――その言葉遣いとシルエットの輪郭から女性と知れる。――は名乗りたくないらしいが
現代日本で戦士などと自称され、あまつさえ素性が知れないのでは怖すぎる。
「戦士じゃなくてGSなんだろ?」
「そ…そーなんだけど…そうね、ヨーコよ。ゴーストスイーパー・ヨーコ!正義の味方に
味方する為、参上!……って、なんかややこしいけど、とにかく、カマイタチ!私が相手よ!!」
西条の度重なるツッコミに、ようやく名前と目的を語ってくれた女性は、唐突に妖怪に
挑みかかった。無謀である。自分でさえ圧倒された相手を、聞いた事も無い無名の
スイーパーが手に負える筈が無い。そう思い、西条は制止しようとした。が、予想は覆された。
ダンッ、ギキィンッ
彼女は、下段攻撃を主とする先頭を跳び越し、後続の斬撃を霊波刀を出して捌いた。
「ズルイ!もー少しで転ばす方を斬れるとこだったのに!!変にフォロー入れないで!!」
「真剣勝負でずるい事あるか、あほぉぉぉぉ!」
「っつーか、今のフォローのどこが変だ?」
(彼女、腕は立つが言ってる事が滅茶苦茶だ…。アレで卑怯だったら横島君なぞ…)
その女性スイーパーとカマイタチのやり取りを眺めながら、西条は思い切り脱力していた。
「そんなイジワル言わないで、一人ずつかかってきてよぉ。」
「するか!っつーか、今のは別に意地悪じゃねぇ!!」
「大体、俺は体術で転ばしてるわけじゃねぇ!そういう能力なんだ!なのに何故かわせる?」
女の更に無茶な発言に、カマイタチは激怒して言い返した。特に、先頭の叫びは悲壮だった。
「何故って…………美人は転んで汚れたりしないからじゃないかしら?」
「んなんで納得できるかぁぁぁぁぁぁ?どっちがずりぃんだ!?」
随分考え込んだわりには、彼女の答えはいい加減だった。しかし、西条の見立てでは恐らく、
カマイタチが人間に同化したために、能力が一部失われたのであろう。
「今度こそぶっ殺す!」
「うわぁ?やめてってば!お姉さん泣いちゃう!!」
「勝手に泣けぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「いや、僕が泣かせない。」
ガッ、ギャギィィン
西条は2体のカマイタチの間に割って入ると、後続の両腕にジャスティスを噛ませ、封じる。
「ぬ?どけぇ!」
「断る。レディに乱暴を働く輩を看過しては、僕の名に傷がつく。」
一方、先頭のカマイタチと謎の女性の戦いも始まっていた。妖怪は下段、中段と両腕を
振るって、先程のような回避はされまいとした。それに気づいた彼女は、あろうことか、
自ら後方に倒れ込んだ。この、あまりの出来事に、カマイタチは呆然と彼女を見下ろした。
「転ばすのが能力って事は、立ってる相手にしか攻撃できないんでしょ?」
言うなり、謎の女は脚を頭の傍に引き寄せて、そこから全身のバネを用いて跳ね起き、続けて
その勢いを殺さぬまま、霊波刀でカマイタチを左右に断ち割った。
ザシュゥゥゥッ
「こんな…アホなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「いやぁ、ズルイのは私の専売特許だから…悪く思わないでね?勝負の世界はシビアなの。」
言いながら、彼女は西条たちを見やった。むこうの妖怪は相棒を失って焦りが生じていた。
それを見逃す西条ではない。ジャスティスを軽く揺さぶって相手の腕のガードをこじ開け、
迅雷の如き動きで間合いの内側に潜り込み、懐の銃を引き抜いた。
「き…貴様、そんな物を!」
「人間と同化しても、知能は妖怪かね?決着の瞬間まで、切り札はとっとくものだ。」
パララララララララララララッ
零距離で無数の銀の銃弾を浴びて、カマイタチは完璧に息絶えた。謎の女は問い掛ける。
「あ…あなた、ソレは……いいの?」
「何が?相手に自分の手の内を全て明かしてから闘えとでも言うのかね?敵が勝手に
『僕の装備は剣のみ』と思い込んだのは僕の責任じゃないさ。それとも僕が何か嘘でも?」
「いえ…もういいわ。なんだかすっごい疲れた。」
「それはいけない!僕の車で送るよ。」
「結構よ!あなたに付き合うのが疲れるっつってんの!!」
「そんなこと言わないで、助けていただいたお礼に、食事でも奢るよ。」
「いーやーじゃー、はーなーしーてー。」
「味なら保証するよ。あ!君、僕が下心から誘ってると思ってるだろ!違うぞ、断じて。」
「違わなくてたまるか!とにかく、離して!触んないで!!近寄んないでぇぇぇ!!!」
「そうはいかん、助けられっ放しでは僕の気持ちというものが…」
「ンなモン考慮してやる義理なぞ無いわ!」
「冷たいなぁ、協力して悪を駆逐した仲じゃないか。」
「あああああっ!手ぇ貸すんじゃなかった!だから手ぇ握らないでってば、気持ち悪い!」
「そう邪険にしたモンでもないよ?僕はこう見えて…」
「いい!腹立つだけだから聞きたくないってば!!急がないと殺されるのぉぉぉ!!!」
何故か無闇に元気になっている西条と、何故かそれを煙たがる謎の女性であった。

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