白の花言葉−6−
投稿者名:眠り猫
投稿日時:(01/ 8/ 2)
「好きです!」
横島の・・・突然のムードもなにもない告白が広い部屋に静かに響いた。
横島自身、あまりの一言に内心自分でうろたえてる。
「え・・・?」
美神も予想していなかった一言なので一瞬呆けていた。
普段なら「馬鹿言ってんじゃないわよ!」と、キッツイ神通恨の一撃が速攻で襲ってくるのだが今回はない。特に呆れたような表情もなく、ただただ純粋に驚いている。
だからといって照れ屋の美神が赤くなったような様子もなく、わかりにくい。
しかし、ここまでくればある意味怖いものなどない。
このまま続ける。特になんて言おうか考えてなかったから洒落た言葉なんて思いつかない。正直に気持ちを言葉に変化させた。
「す、好きです、美神さん。俺と・・・ずっと一緒にいてくれませんか?」
決心して力強く言ったつもりだが、声は震えていた。
「・・・本気で言ってるの?」
美神の表情はどこか落ち込んでいるようで、もしかしたら嫌だったのかもしれないと横島の頭は余計混乱する。
「本気です。」
嘘じゃない。これ以上ないというくらい本気だ。
「・・・・・・おキヌちゃんは?いつもアンタの世話してくれる優しい子じゃない。・・・彼女の気持ち、知ってるんでしょ?」
いつもと少し違う、どこか辛そうな声だった。一言一言ムリヤリ声に出しているような。
「・・・知ってます。正直、それは嬉しいしおキヌちゃんにはたくさん感謝してます。でも俺は・・・!」
「ルシオラ・・・」
いきなり横島の話を遮る。その小さな呟きは横島を動揺させるには十分で。
動揺する横島をチラと横目で見て悲しげにまた小さく呟く。
「ルシオラは・・・?」
押し殺したような声。普段の「傲慢」、「冷血」といわれる彼女ではない。
時折、本当にごく稀に見せるどこか脆い彼女。なのに、誰かに支えてもらおう、かばってもらおうとは意地でもしない。どんなに親しい人でも、いや、むしろ親しいからこそ、隠していつものように強気にふるまう。
怖かった。また、肝心なトコロだけわからずに相手を失うのは。
こんな人だから、自分から決して弱音を言わない、言えない不器用な人だから・・・。
こんなに夢中になってしまう。
「ルシオラは?答えて。」
「・・・好きでした。いや、今でも好きです。忘れられない。守らなくちゃいけなかった。守るべき人だったのに・・・守れなかった。だから、忘れちゃいけないんです。」
やっぱり、今の美神の辛そうな顔を見てるとこっちが痛くなる。
何故そんなに悲しげなんですか?
「・・・・・・」
「・・・・・・」
短い沈黙の中、さっきより小さな声で・・・さっきより泣きそうな声で呟いた。
「私はルシオラの・・・代わりなの・・・?」
「違います!!」
考えるよりも先に答えを叫んでいた。
「違います!ルシオラはルシオラです、美神さんじゃない!意地っ張りでわがままで・・・美神さんは美神さんです、ルシオラじゃない!!ルシオラの代わりじゃない!」
違う、絶対に違う。美神さんはルシオラになれない。ルシオラは美神さんになれない。
「俺は・・・もう二度と大切な人を失いたくない。美神さんは守る、守りきってみせます!!だから・・・そばにいさせてください・・・!」
もう、「あの時と同じ」にしたくないから。させないから――――・・・
美神は椅子に座ったまま背を向ける。自分が真っ赤になっているところなんて見せたくないのだろう。いつもの、照れ屋な美神の態度で、横島はその見慣れた行動に安心した。
少なくとも、もう辛そうで泣きそうな彼女じゃない。
「・・・・・・あんた程度の腕で私を守れるハズないでしょ。そうね、もうしばらくはここで修行してもらわないとね。」
「・・・!」
「そーだ、書類整理手伝ってくれる?」
「はいっ!」
赤い東京タワーに一束の白い花がそえられている。
少年が一目見て気に入り、少女へ渡した白い花束。
一枚の白い薄い花びらが風にさらわれた。
少年は知らない。
その白い花の花言葉――――――「幸福の再来」――――――
今までの
コメント:
- 最後です。完成した・・・。本当は3くらいまでだったんですけどね、倍の6になってしまいました。(爆)
最後まで読んで下さった皆様本当にありがとうございました!
・・・番外・・・書くかも・・・。←オイ (眠り猫)
- うまい!
どうなるだろうとドキドキしながら読んでました。
それで、令子のあの答えはうまいとしか言いようがありません。
端から見れば、はぐらかされたような令子の答えですが、あの二人にとってはこれ以上ない返事だったのではないでしょうか。
それは横島の「はいっ!」の一言に集約されていますよね。
何だか横島の嬉しそうな返事が聞こえてきそうな気がします。 (JIANG)
- 鋭いツッコミを次々と浴びせてくる美神に、ひたすら真っ直ぐに言葉を重ねる横島。緊張感の有る遣り取りの中で、自分の気持ちを確認していく過程が面白いです。爽やか一直線の横島なんてズルいや、と思いつつ(笑)ハッピィエンドに乾杯。 (Iholi)
- 美神さんと横島君が生き生きとしていますね!
「幸福の再来」・・・本当にその通りになってくれることでしょう、この二人なら♪
番外書くかもですか?楽しみにしてます!! (けい)
- らぶっちゅうか可愛いですってもう番外編みたいなー♪読みたいなー
ふふふふふ。 (hazuki)
- 幸福の再来・・・二人のやりとりといい、凄く良かったです。 (AS)
- 爽やかですねぇ。(クスクス・・・)
美神さんの描写が、ホントにお上手ですね、素敵です。
番外編、気になりますねぇ・・・あります? (sig)
- 美神さんらしい、精一杯の一言…なのかな?
すっごく良かったです!!あぁ、尊敬♪こんなに素敵なお話を書いてみたいなぁ…(短編でやろっかな?)
美神さん、良かったね♪(←ちょっと悔しいけど………泣) (sauer)
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