地獄裁判 その2
投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 7/29)
「そうか、そういう事じゃったのか」
目玉の親父が茶碗の中で、事の次第を理解して大仰なまでに頷いている。
腕を組んで考え中である。
「父さん、春は令子ちゃんに助けて貰ったんだ。協力して下さい」
ちゃぷんと茶碗の湯を鳴らすと、
「わかった、では地獄へ通ずる穴を教えよう、この森から少し離れた所に有る地蔵尊が一つじゃよ」
僕も行きますか?と鬼太郎は親父に伺うが、
「鬼太郎、わし等は妖怪と言え現世におる、異世界移動は自重した方がよい」
判りましたよ大人しく親父に従う。
「おぬし等達で行く事になるがよいな。・・・そうかよいか、では案内しよう」
有難う御座いますと丁寧に御礼を言うのは美神である。
どうやら、夕刻が迫ってきた。
東京も夕日が映える。
少し前まではカオスが、生命維持装置のメーターを見て様々な指示を出していたが、
「ふむ、少し落ちついてきたか」
目を指で挟んで少しでも疲れを取ろうとしていると、煎れ立ての珈琲が香る。
「じーさん。珈琲煎れたけど?」
自分の分と二つ持ってくる。
タマモが台所にいれようだ。
「有りがたいの、砂糖はいらんぞ」
「そうなの、私は沢山入れないとまだ飲めないけど」
インスタントでは成功も失敗もなかろう。
カオスはそのまま、タマモは砂糖たっぷりにミルクも半分入れて飲む。タマモは猫舌か。
「あち、・・あのさ、どうして私達に残れっていったの?」
ヒリヒリするのか、舌を空気に晒して問いかける。
「残れとは?」
「本体なら、美神さんと一緒に行くべきたと思うんだけど」
ふーふー、ミルクコーヒーを冷ましながら、尋ねる。
「・・おぬしも人狼の嬢ちゃんも獣。その獣が怯えれば、な」
先にカオスが言った『二人の生命力が必要じゃ』と言った本心は、
怯えた獣程、扱いに困る物はないのだ。
「そうね。悔しいけど、しっぽが縮こまったら・・私は戦え無いわ」
「まっ、今の御主はまだまだ若い。力をつければよいわ」
なかなかに残酷な言い分だが、タマモは素直に受けとめて、
「ありがと、でもシロには言わないでね。だって・・・・・」
これから馬鹿イヌの悪口が続くが、カオスの眠気覚ましにはなったようだ。
「まぁそのぐらいにな」
カオスから苦笑が漏れた。
美神一行は目玉の親父が知っている地獄への門へ向かっている。
「しかし、車とは便利じゃのぉ」
横島の左肩に乗っているので、尋ねる。
「親父さんは何度か地獄へ行った事があるんすか?」
「何度と無く行っとるの。これでもワシは閻魔王に顔を覚えられているからの」
横島が妙なまでの感心を見せるが、事前に知っていたのか美神は少し笑っていた。
「おっと、この辺りじゃが」
草の多いに茂った物寂しい土地についた。小さな沼がとても透き通って綺麗だ。
ジャスティスには悪いと思ったが、草刈に使うと、小さな地藏尊が現れる。
「おぉ、これじゃ。ここから地獄へ行くと結構閻魔庁の近場につくぞい」
んじゃ開けましょと力をいれるが、
「んがぁ〜、ウンともスンともいわねぇ〜」
渾身の力でもまったく動かない。
誰かに助けを求めるかと目玉の親父が意見した時、美神達には耳慣れた美声が聞こえる。
「美神さんに横島さんですね」
その声は聞き覚えのある美声である。更に、
「流石は我が家来じゃ。その勇気褒め称えるであるぞ」
振り向くと、やはり顔見知りの人である。正確には龍神一族である。代表して美神が答える。
「小竜姫様に天竜童子様、これはいったい?」
「あなたたちが、オキヌちゃんを助ける事は聞きましたよ。それでちょっと協力ですね」
「協力ってなんすか?」
先ず美神に神の鎧を貸し出す。
「地獄に向かうのです。用意しすぎはありませんよ」
ころころと笑う。
「有難う!小竜姫様。でもこの地蔵尊が・・」
美神も少々へばった風体だが、
「ですから、天竜童子に来ていただいたのですよ。御願いします」
「うむ、任せておけ」
腕をまくってその地蔵に力を加える。
「ヌヌヌヌヌヌヌ!!!!」
子供とはいえ、竜族の王子である。小竜姫ですら持ち得なかった力を持っているのだ。
「すげぇ」
横島が心からの言葉を述べる。
「は、はやくいってくれ、御主等が向かったらここは閉じるぞ」
天竜童子の体がプルプルしている。
「判ったわ、いくわよ!みんな」
がんばってくださいと、小竜姫様の声が横島の耳に残った。
車に憑依した人工幽霊1号、マーロウ、目玉の親父そして美神と横島が暗い穴へ向かう。
《落下中、霊的フィールドで守ります》
人工幽霊1号の力で落下爆破は免れた。
当然ながら地獄に太陽や月のような光は無い。
「真っ暗ね、人工幽霊1号、御願い。」
《イエッサー、オーナー美神、ヘッドライトつけます!》
ヘッドライトに目が慣れると亡者が集まっている。
「しもうた!団体さんがいたのか!」
親父の計算外といったところであるのか?
出発が出来無いまで亡者が集まっている。
「そりゃそうでしょ?私達の体を乗っ取ってって所かしら?」
美神が冷静な判断を下す。
「じゃあこの連中全員相手に?」
横島、ジャスティスを握り、神族の鎧を纏った上にドラキュラマントを羽織る。
美神とて、似たような装備にするが、
『待ちな』
誰の声だと見渡すと、
『俺だよ。ここではイヌも人間も完全に意思疎通が出来るようだな』
少し聞きづらい個所もあるが、人言語に間違い無い。
「マーロウ。でも待てって?」
『まかせな!Woooooooooooonnnnnnn』
どのイヌよりも素晴らしい遠吠えを迸る。
「すげぇ、亡者がどんどん遠ざかるぜ」
イヌの遠吠えは能力の大小あれど、魔退の力を持っているのだ。
《出発します》
人工幽霊1号あやつる車が発車も巧く走り出した。
「それにしても、この辺はどのあたりですか?」
美神が親父に聞くと、
「・・・・三途の川ちょい手前じゃな。あの川を越えないと閻魔王に拝顔できんな」
なかなか厄介なようである。
今までの
コメント:
- 三途の川・・・また渡し賃値切りそうですね・・・ともかく今回も凄く、面白かったです。 (AS)
- このお話の中で、親父様ほど心強い味方はいないでしょう。(←実は親父様好き)
おキヌちゃんの裁判はどうなってしまうんでしょう?気になりますね。 (sig)
- タマモちゃんが猫舌!(←そう言えば、そうかもしれない)
いや、美神さん達の描写や、タマモちゃんとカオスさんの一寸した会話が光ってます。(尊敬だぁっ!)
次回、コメントできるのは一寸遅れますが、楽しみにしてます♪では… (sauer)
- カオス、すっかり善いヂヂイですな……これもまた「魔王」の魅力。
しかし、龍神族の方から接触してくるなんて……きっと何かウラがあるな、こりゃ(猜疑)。 (Iholi)
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