ザ・グレート・展開予測ショー

横島クンは神になれるのか?〜その29〜


投稿者名:sauer
投稿日時:(01/ 7/25)

………静寂が訪れてから、どれほどの時が経っただろうか?
 俺は、生まれてこの方、女の子をこんなに近くに感じたのは…2度目だ。
 最初は…『彼女』の時だった。
俺はあの時、ただただ困惑し、下衆なことを考え、そして…彼女に初めて本気で『惚れた』
…あのころの俺のままなら、今、この瞬間が、どれほど貴重であるかを知らなかっただろう。
・・・おキヌちゃんの鼓動が聞こえる。
・・・おキヌちゃんの髪が、優しく俺の手の平を飾る。
・・・おキヌちゃんの、『温度』を感じる………
最近の俺は、あの頃と比べれば…ホンの少しだけ…俺にしかわからない程度に、女の子を『恐れていた』ような気がする…
もちろん、こんな事を美神さん以下、俺の事を 少しでも知っている奴等に言ったら、笑われると思う。
…まぁ、自分でも変だと思うけどな。けど、確かに『怖い』…
今、自分が居る世界が、いつ目の前の世界が変わってしまうか…って。
 …けど、やっぱり俺は 女の子とは離れられない性質を持ってるみたいだな………
このことに気づいたのは、たった今。…おキヌちゃんが教えてくれた。
今、こうしていると…何て言うか、不安が、焦燥感が消えていくような感覚で……とても、安心できる………
今は………おキヌちゃんを離したくない!!
ずっと…このまま、おキヌちゃんを感じていたい…
 腕を解けば、それだけでおキヌちゃんが『消えてしまう』ような気がして…嫌なんだ………!?…え…?
・・・・・・『消えてしまう』・・・だと・・・・?


 わたしの肢体を包んでいた 優しい気配に一瞬だけ、陰りを感じた。
「…どうしたんですか?横島さん………?」
わたしは、横島さんの胸から顔を離しながら、やや上目遣いになる角度で横島さんの顔色をうかがった。
「……え? い、いや……なんでも
                
                    ないよ。ただ、ダージリンが…冷めちゃったかな?…ってね」
 俺は、おキヌちゃんに不信感を与えないように、俺なりの努力をした。…と、言っても嘘で誤魔化しただけだが。
その時に、ふと、おキヌちゃんの顔に目をやってしまった。
…穢れの無い瞳で、俺を見ている。この眼を見て、嘘をつくのは…非常につらい。
 ………そう、嘘をつくのは…つらい………
『消えてしまう』…それは、俺なんだよな。
おキヌちゃんは…俺達を裏切ったりはしないのだから……俺一人、神になって…いいのか?
…不意に、とんでもない考えが脳裏に浮かぶ。…まさかな…?
「あ、ご、ごめんなさいっ!!わたしったら…ホントに馬鹿なんだから…」
そう言うと、おキヌちゃんは今まで俺達二人が抱き合っていた事に、今気づいたかの様な表情をした。
…そして、真っ赤になってキッチンへと走って行った。

その後ろ姿を見て、俺はどうしても 聞いてみたい事を・・・
おキヌちゃんに聞いてみなくてはならない事を、今、この場で聞いてみようと、決心した・・・


「…うん、美味いね。なんか気分が落ち着くなぁ…」
 横島さんがわたしを見つめながら、微笑んでくれている。
わたしは、横島さんを久しぶりに近くに感じていた。…まだ、さっきの感覚が、身体に残っている。
さっきは、横島さんの姿が見えないだけで あれほど取り乱しちゃったのが 嘘みたい…
今は、こうして向かい合って、お茶を飲んでいるだけでも、しあわせを感じてしまう。
「そうですね。…あ、クッキーもあるんですよ?」
 …でも、わたしは やっぱり欲張りかもしれない。だって、今 横島さんに、
『もっともっと、喜んで…わたしに微笑んで欲しい』って思っちゃったし……ば、馬鹿、わたしったら………
わたしは真っ赤になりながらも、テーブルの上にクッキーのお皿をのせた。
「…へぇ、美味しそうだなぁ。……あ、もしかして?…おキヌちゃんが作ったろ?これ」
さっそく手をお皿(クッキー)に伸ばしながら、横島さんがそう言った。
「えっ?わかります?…この間、テレビでやってたんですよ。『おいしいクッキーの焼き方』っていうの♪」
わたしは、褒められた事と、市販品でない事に気づいてくれた事で、自然と気分も軽くなった。
「ふ〜ん……あっ!ホントだ!…すごく美味いよ!」
横島さんが、クッキーを口に投げ込むと、本当に美味しそうに食べてくれた。
「ホントですかっ!…えへへ〜、作って良かったぁ………」
そう言いながら、わたしも一つ、手にとってみた。…………………『ぱくっ』
「…うん、美味しくできてる♪ 良かった、これでみんなに食べさせてあげれます♪」
「…ッ!?…で、出来具合、まだ調べてなかったの……?」
「くすくす………冗談ですよ♪」
「もぉっ!ヒドイな おキヌちゃん。本気にしたじゃないかっ!?」
そう言うと、わたしと横島さんは、二人揃って、大笑いした。
―――やっぱり、横島さんと一緒なら…どんなところに行っても、きっと幸せなんだろうなぁ―――

ひとしきり笑い合うと、あたたかい眼差しでわたしを見つめながら…横島さんが口を開いた。
「…そっか…おキヌちゃん、将来『ケーキ屋さん』になれるかもね?」
「え? 『ケーキ屋さん』…ですか?」
「ん…ケーキ屋でなくても 良いんだけどね…つまり、おキヌちゃんは…将来、どうするか考えてる?」
「え………?」

・・・・・ティーカップの中の紅茶は、再び冷め始めていた・・・・・



―――はぁ、皆さんの投稿ペースの速さに たじたじ。(焦)
 そろそろ、『神になるとはどういうことか』っていうのを書こうと思ったら…コレだ(苦笑)
 それに、もうすぐ研修だし。(一週間くらい。その間に、未読の新作品たちがたまっていくのだろうなぁ…:泣)
 まぁ、このお話の『前編』は、もうすぐ終わりますし。(多分、夏休み期間中に…)
 今回もみてくれた方、ありがとうございましたっ♪

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