ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:track21[リパー・ジャンキー「始闘編<神の力振るう魔の章>」]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 7/25)

妙神山では今日も今日とて小竜姫の修行が始まる、筈であった。小竜姫は天竜童子に訊く。
「殿下?また「あの娘」に会いに来たんですか?今日は朝から姿が見えませんが…」
そう、肝心の弟子が姿を消したのだ。そればかりか、普段使っている愛刀が見当たらない。
「ム?そ…そうなのか?イヤ、余は寧ろお主の様子を見に来たというか…な。」
この少年と顔をあわせた時の3回に2回はなにがしか悪戯されている。この反応は恐らく、
「殿下にお伺いしますが、私の剣、ご存知じゃありませんか?」
やはり、と言おうか、少年はあまりの慌てぶりに手にした扇を背中越しに放りながら、
「ち…違うぞ!余は断じて!あやつが、ヒャクメに力を貸したい。とか申して、それならばと
ヤームとイームを貸し与えたわけではなくて…お主の剣の事も余は反対したんだー!!」
「…なんだか横島さんに似てきましたね…」
(世継ぎが駄々ッ子でミツグ君とは…天界の未来は暗いわ…)


おキヌはもと来た道を引き返すつもりだった。それが何故やら、全然見覚えのない場所に
出ている。こうなってしまっては、もう勘を頼りに進むしかない。彼女はそう思ったが、
些か極端すぎると言うか、パニックに陥って混乱しているのか、非常階段を「登って」いた。
そして、暫く進んでいると、(思い切ったら躊躇わないあたり彼女は大物である)出会った。
「あ…あぁ……。」
彼女はたったそれだけ、胸から声を絞り出す。他には何も出てこない。目の前にいるのは、
昼間のゴーレムである。自分にはどうすることも出来ない。完全に射竦められてしまった。
ブォンッ
その拳が振り下ろされた時、「何か」が空気を断ち割った。そしてそのままゴーレムに迫る。
ガドンッ
ゴーレムの巨体が、中空を彷徨い、やがて豪快な音を立てて地に沈み込んだ。
「胡蝶神剣、動の太刀『飛撃』」
そう言って、おキヌの傍に降り立った女性、その姿を呆然と眺め、おキヌは無意識に言う。
「そ…そんな…事って……ル」
「真打登場!こっから先は任せなちゃい。」
「パピリオ?」
振り向いたその笑顔は、見紛う筈もなかった。ゴーレムはゆっくりと立ち上がった。


体躯同様の鋭利さで、横島と向き合ったゴーレムは間合いを詰める、素振りを見せて、
踵を返した。影を使うなら本体は敵、即ち自分の背後に違いない。が、
「残念無念また来週ー!三十六計逃げるが勝ちじゃーー。」
(地下はヤバイ!何としても地上に引きずり出してブッ倒してやる。)
横島は影など使ってはいなかった。背後を向いたゴーレムの隙を突いて一目散に逃げ出す。
ザシュゥゥゥッ
「ぎ…ぃう?」
なんの前触れもなく、横島の左足から血が噴きだす。苦悶する横島を眺め、笑うゴーレム。
「クックックック…良い声だ…そうか…蜂の巣というのも悪くはないか…」
(んなアホなぁ?飛び道具を持ってる様子はねぇし、リーチも全然届いてねぇはず…)
横島は胸中で自分を攻撃したモノの正体を見極めようとしたが、情報が少なすぎる。
「踊れ、血煙の中で。」
ズババババババババ…
「ぐわああぁぁぁぁぁぁあぁ!?」
見えない攻撃の前に、横島の全身から紅い飛沫が撒き散らされた。
(死ぬ…イヤだ!死にたくない!!美神さん、誰か…)


ドズガンッ
轟音を響かせて、魔獣は壁に叩きつけられた。やったのは無論のこと小笠原エミである。
押して駄目なら引いてみろとはよく聞くが、その逆をやったのだ。彼女は語る。
「オタク、思ってたより賢かったワケ。でもこっちも刺し違える覚悟ぐらいあるワケ。」
彼女は、魔獣から腕を引き抜いて、再び間合いを取る。それを追従する怪物。
「しつっ…………ッこい!」
エミは天井から吊下っている、「非常口」の電灯に跳びついて、魔獣の突進をやり過ごす。
バギャッ
魔獣は頭から壁面をブチ抜いて突っ込む。だが、その先はなにやら空洞で、その闇の先から
光の帯が飛び出して、跳弾の如く、めくらめっぽう走り回る。エミはそれに見覚えがあった。
「令子の神通棍!アイツ、やっぱり首突っ込んでたワケ?」
しかしこの神通棍、なにかを狙って放たれた物とは考えがたい。むしろ手当たり次第に
ぶつっかっているその様子は、逆に追い詰められてさえいるようだ。エミは思う。
(ったく、この忙しいのに、世話ぁ焼かすんじゃないワケ!)
エミは霊体貫通波で全霊気を集束させた右手で神通棍を掴んで、根元を手繰り寄せる。
「あら?唐巣先生だと思ってたのに、さてはさっきの悪寒はアンタね?」
「何の話よ?助けてもらって一言目にソレなワケ?
全く、人を下品だなんだと罵っておいて、お礼も言えないワケね、オタクって。」
穴から這い出るなり、エミと毒づきあう女性はやはり、美神令子その人である。
「それよかコイツは何の冗談よ?こんな無節操な呪詛、アンタぐらいしか使えないでしょ?
仮にコイツを退けても、霊体凍結刑ぐらいは喰らうわよ。」
「知ってる。勝てれば高飛び、さもなきゃ相討ち。オタクとの腐れ縁もココまでなワケ。
オタクはさっさと黒幕をふん縛るワケ、アタシはオタクを助けたけど、オタクはアタシを
助けるな。どうせ、この先、ダラダラ生きたって、アタシの人生なんてつまんないワケ。」
美神も、エミもそれっきりただ魔獣のほうを眺めていた。やがて、美神が前に出る。
「令子!関んな、っつってるでしょ?」
「アンタの言いなりになるわきゃないでしょ。」
エミの怒声も美神にだけは効果が無い。むしろさらりと言い返す美神の気迫も相当である。
「令子…こっちはマジで言ってるワケ。」
「それが気に入らないのよ、あの程度の相手に余裕無くすなんて、らしくないったらないわ
私の知ってるエミも忌々しいけど、私の知らないエミなんていらない。
アイツを倒したいんだったら、手ぇ貸したげるから、そっちもこっちに合わせなさいよ!」
殺気を含むエミの言葉に対して、美神は普段には無い、静かで強い敵意をぶつけた。
「………全く、そこまで言われて手を組む気になれると思ってるワケ?」
その一言を言う事で、エミの周囲の時間が動き出した、かのようだった。
「な…何よ?私に全部押し付ける気?アンタの敵でしょ!もう決めたからね!
クレームは受け付けないから!いい?私がフロント、アンタが…」
「バックアップ。当り前でしょ、ンなモン。そんじゃ、ここらで…」
『黄泉に突っ込んでやるわ、鰐面野郎!』
つづく

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