前世の幻 -タマモ-(2)
投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/ 7/23)
ふと私は今どこにいるのだろうと思い返してみる。
たしか、おキヌちゃんたちと図書館に来ていたはずだった。
目の前の机には本が置いてあるし、周りにはたくさんの本棚が並んでいる。
隣の机におキヌちゃんたちが勉強しているのもわかる。
しかし同時に私は、あの前世の時の中に迷い込んでいることを自覚していた。
きっと、私のなかにある前世の記憶がこれらの本によっておぼろげながら呼び覚まされているのだろう。
人間に化けた私は自分で言うのも恥ずかしけど、近所でも評判になるほどの美しい娘に成長した。
まあ本性である狐の時の美しさをそのまま移行させて人間に変化すれば当然と言えばそのとおりだけど。
そして、私は育ての親のすすめで宮中に上がることになった。しかし私の養い親は一応貴族なんだけれど地位が低かったから縁故のある頼長卿のコネで御所の女官に上がることになった。
この頼長卿は藤原氏の長で今上帝(近衛天皇)の内覧(天皇の秘書)なんだけど、宮中で一番権力を持っている法皇(鳥羽法皇)に不興をかっていて今はあまり羽振りがよくなかったの。
だから私も女官といってもそんなに高い地位に最初からいたわけじゃなかったのよ。
宮中にあがってしばらく経ってから、奇妙なものを見たわ。
月がきれいな夜にたまたま本性の狐に戻って散歩していたときに、天狗に出会ったわ。
天狗は私のことに気がつかず今上帝の寝所に忍び込み四半時ほどしてから、そこから出ると今度は上皇(崇徳上皇)の寝所に入っていったわ。そしてそのまま朝まで出てこなかった。
それから数日後に今上帝は目の病で亡くなったの。あの天狗は上皇の生霊だった。
彼は自分から帝位を奪った父の法皇と彼に代わり帝位についた今上帝を恨んでいた。その恨みが生霊として天狗になり、今上帝を呪い殺したの。
その後、私は法皇に目をかけられ女御になっていた。つまり妾ね。人間の分際で私を妾にするなんてと思わないでもないけど、法皇の寵愛を得るというのも一興かと思って面白半分でやってみたわ。
私がその気になれば上皇の寵愛第一の愛妾になるなんてわけない事だったけどね。
ただ美人の女なら宮中には履いて捨てるほどいるわ。だから私は頭のよさを売りにしたのよ。千年以上生きているのだもの、自分がこれまで経験して得たものを少しだけ見せるだけで十分だったわ。上皇はすぐに私に夢中になった。
そして私は玉藻前という名を賜った。
今までの
コメント:
- タマモの昔語り第二弾です。
今回はあの有名な崇徳帝の天狗を出してみました。
それにしてもこの話、自分で書いてても勉強になります。
院政時代や保元・平治の乱に興味持っちゃいました。
それにこの話には出てきませんが、この時代結構魅力的な人物がたくさん出てきます。
いや、マジではまりそうで怖いです。
ではまた、感想よろしく! (JIANG)
- −Iholiさん
「晴明」
そのとおりですね。
推敲しろって人に言っておいて忘れるなよ自分。
これから気をつけます。
−ASさん
>どうやって調べたんでしょう
漫画「うしおととら」で調べました←大嘘です(笑)
たしかに参考というかヒントにはしましたけど資料にはしてません。
大体はインターネットから検索して調べました。
後はちょっこと図書館に行って調べてきました。
でも図書館は参考になるような資料は意外に少なかったです。 (JIANG)
- 手に取った本の中から、前世を思い出していく。
なんか素敵なお話ですよね。(本好きのわたしには たまらない)
さて、非常につづきが気になるトコですね。見たい見たい・・・ (sig)
- 図書館に資料が無い、コレは昔経験済みです。(実は)
それからボクが何を利用していたか…古本屋です!!(マジ)
いや、品揃え良いし、0:00まで利用(?)できるし、便利なんですよ。ホント。
さてさて、タマモちゃんの秘密、密かに明かされつつありますね。 (sauer)
- ほほう、そうきましたか……とほくそ笑む事頻り(変人)。
歴史者の方々が『MISTER ジパング』を読む時の気持ちが少しだけ解ったような気がします。 (Iholi@ 非歴史者)
- 内容がホント興味深いです。(自分でも調べたいとは思っていてもどうすればいいのやら)
しかも、とてもわかりやすかったです。次回もとても楽しみにしていますのでがんばってください。 (G-A-JUN)
- インターネットで検索・・・歴史を調べられるところがあるんですか・・・教えて下さって、有難うございます。
今回も凄く、面白かったです。 (AS)
- 歴史は好きなんですけど時代はあんまし興味なかったんです(基本的には時代の中の中心的人物の心の中がきになってた奴)
けど面白い。
なんか人(タマモ)の視点で歴史が見れるのがいい (hazuki)
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa