ザ・グレート・展開予測ショー

狼牙(二)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 7/22)


 

 ー狼牙ー



 妙な感覚だった。

 他人に指図されるのを嫌い、ましてやノせられて、自分のこれからを決めつけられるなど、心底ごめんだー・・・それだけを胸に、歩き続けた。『自分』の意志で。

 なのにー・・・何故だろう・・・

 今は自分の意志で動いている筈だ。なら何故気が晴れない?

 そうして、自分でも掴めない自分自身の『心』を持て余している内に、『彼』は辿りついた。


 ーこの『場所』にー


 降りしきる雨の中。彼らはたたずんでいた。

 黙って見つめあう・・・一人の男と、一組の男女。

 しばらくそうしている内・・・何かを抑制し、抑えこんでいるかの様に、女が息を吐いた。そして、『彼』に語りかける。

『もう一度・・・聞くワケ。おたくはここで何を・・・』

 先ほどより和らいだ、その声。

 先刻の強いプレッシャーも無く、ーもっとも無理に抑えこんでいるのがみえみえだがー、『彼女』は『彼』に語りかけた。

 しかし。

『知らねぇな』

 しかし『彼』はそこでー、その言葉を遮ったー

『・・・何ですって・・・?』

 息苦しくなる程のプレッシャーが、甦る。その場すべてにその緊迫が満ちて行く。

 端的だが、ハッキリとした敵意が込められてた『彼』のその一言は、場の空気を明らかに・・・ー変えたー

 仮に・・・もし彼が普段の『彼』ならば、強硬な態度をとる前に事情の一つも聞いたかもしれない。

 しかし・・・今の『彼』にそんな事を思いつくだけの心の余裕は無かった。例え在ったとしても、同じ答えを返しただろう。

 それ程までに、『彼』の心は曇っていた。

『・・・・・・』

 女の瞳に炎が揺らめく。恐らくその炎で焼かれる『彼』の姿を見ているのだろう。殺気が辺りを包みこむ。弾ける。

 ーと、その瞬間、大柄の男が動いたー

『雪之丞・・・悪いが今のワシらは下らんやつあたりにつきあっとる暇など無いんじゃ・・・行きましょうエミさん』

 大柄の男の吐いた言葉。その言葉に激昂し、掴みかかる。

『・・・待ちやが・・・!』

 その瞬間。

『なーー!?』

 『彼』が掴みかかろうとしたその瞬間。大柄の男の体から、何かが出現する。ヒト以外の何かが。

(式神!?バカな!?)

 ー直後ー

 絶叫が響いた。


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