ザ・グレート・展開予測ショー

高山にある屋敷からの救出作戦


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 7/22)

高い山故、霧というよりも雲の中と言うべきか。
面白い取り合わせだ。車を運転しているのは小笠原エミ、隣に横島が乗っている。
「オタク本当に行くワケ?令子が来るなって言ったんでしょ?」
「惚れた女が捕まったんですよ。男が助けないとどうするんですか」
いっちょまえにと、くすりと笑うが、突然こみ上げてくる物が有る。
「大丈夫っすか?エミさん。あの時の美神さんと・・・」
「だ、大丈夫なワケ、せめてオタクを目的地まで連れてくまでは、ね」
二日前、同じ場所で、高山の一角に有る洋風とも和風とも取れる屋敷の徐霊を受けた。
「あれ?車に乗ってた所為かな、気分悪いわ、まあいいわちゃっちゃと済ませましょ」
屋敷に入ると突如光が点灯したかと思うと、鉄が幾十も降ってきた。
三人を、特に前にいた美神と横島を捕らえようとするが、渾身のちからで横島を弾き飛ばす。
「横島君。オキヌちゃんを連れて外に出なさい!誰かに助っ人をいいわね!」
そういって暗闇が屋敷内を支配した後、三つの頭を持つ犬が二人を襲う。
命からがら逃げてきたはいいが、頭を打ったのか気を戻さないオキヌちゃんである。
「シロ、タマモ。オキヌちゃんを頼むぜ」
そういって、エミの車で再度現場へと、高山の雲が覆う屋敷へと向かった。
「エミさんや、美神さんが気分が悪くなるって事は」
「例えば、テレビの催し物で霊能があるコが心霊スポットで気分を悪くする事るワネ」
それを霊的に加工して強い霊波を持つ人間のみに不快感を与えてるというのが実態のようだ。
「でも俺は?」
「オタクは美神やワタシの様と違って常に霊力を必要とはしないでショ?」
ようやく現場が見えてきた。美神の乗り捨てた車が逆に不気味さを増す。
「んじゃ俺行ってきます」
「えぇ、頑張ってねぼうや」
セミロングカットにしているエミの髪が靡く。嫌な風としか形容が出来ない。
横島が餓鬼扱いされたことを怒るでもなく、扉を開ける。
二日前と同じだ。
目がくらんばかりの光のなか、蛇の如く鎖が襲ってくる音がする。
「文殊『鎮』!!」
日本語とは便利だ。この「鎮」には様々な意味が含まれる。
光が止まる。蛇のような鎖もだらんと力を失った。そして、
「ワンちゃん達もおねんねしたか。ラッキー」
その様子を魔の目玉という魔界の器具で見ていた奴がいる。
『ほぉあいつが横島か。楽しみな逸材だよ』
だが、こやつは人間である。
「さて、と何処へいこうかな?」
真中に階段があり左右に別れる、1階には左に扉がある。階段の影になっている部分にも扉がある。
これは徐霊を依頼してきた奴の見取り図で明らかである。意外にもその図は間違いではなかった。先ずは1階は左の部屋に向かう。
躊躇無く扉を開けるとブンブンと羽音が室内を占拠している。
「蝿の王、か?」
正確に言えば、彼奴のクローンといった所か。
「おい、ベルゼブブ、美神さんは何処にかくした?それに生きているのか?」
素直に言えば殺さないぜと加えた所に余裕すら感じる。
『なにおぉ、人間如きが、我が術の前に屈せよ』
雲霞のごとく否、雲霞その物が横島めがけて猛突進してくるのだが、
「へん、再再再怪人に勝機なんぞあるかよぉ」
ふいと横に転がり、懐から呪札を出す。通常は火炎を制御する物を逆に利用する。
「ぎゃっ」
小さくも無い部屋に炎の色が広がる。数匹は炎から逃れ様と反対方向へと向かう一匹が大きい。
「お前だな。本体は」
オカルト退治、何も特殊な武器だけではない。相手が蝿なら尚簡単な事である。
「日本が誇る蝿退治機械、噴射も抜群!」
霧状のジェットを本体に吹きかけると、ぽとと落ちて死に瀕している。
「おい、もう一度聞くぜ、美神さんは何処だ?」
『し、しらねぇよ!』
「なら逝け」
栄光の手と自分で名称付けたその武器で確実に先ずは一匹。念の為、左の部屋をくまなく探すが、隠し扉の類はないようだ。
「ちぇ。これで美神さんが見つかったら帰るのに」
文句を言っても美神は現われまい。今度は階段を一歩ずつ進む。踊場まであと2歩、そこで足を止める。
「なんか、ひっかかるな。用心にこした事はねぇし」
1階まで戻り、幾分軽そうな犬、三つの首を持った犬を抱きかかえて、踊場に放ると、
重さに反応するしかけなのか。すさまじい速度で槍が床から這い出てくる。
「すまねぇ。わんちゃん」
可哀想に泡を吹く暇すら与えられなかった犬を横に今度は2階は左の部屋に向かう。
ドアをあける。油が切れて人間の耳には耐えられない音を発する。瞬間、
「うわぁつ!」
横島、尻餅をつかなければ、確実に首が飛んだであろう。斧が空を舞っている。
目標を外した斧が2階にある右側のドアにつきささった。
「あぶねぇ・・この部屋はポルターガイストか?」
こんな時には妙に勘の働く男である。
鎧兜や、フェンシング用のサーベルが重力を失ったように移動し始め、
的確に横島を狙い始める。
「うわぅたたたた!えーっと、こういう時は・・そうだ目を見つけるんだ!」
今の事務所を手に入れた時、同じ攻撃があったではないか、改めて室内を見渡すと、
「絵、みっけ!」
迷わず、文殊に『爆』の文字を入れて投げつける。轟音はなるが、敵の攻撃は終わらない。
「えっ、絵じゃねぇのか?」
兜の突進を栄光の手で方向をそらすが、今度はサーベルが襲ってくる。
「ノォ!」
傍にあった鉄器を盾の変りにするが今度はそれが横島の手から離れる。壁際に向かい、ソファーの陰に隠れると、鉄器が横島を見失う。
「おや?ここが死角って事は、向う側に「目」があるな。
ガラスを鏡の要領で反対を移すと、剥製の鹿がいる。
「あれだな」
ソファーの布きれを多めに剥ぎ取ってから、剥製に被せると、武器は重力に逆らう力を失った。
「ふぅ。危ない危ない。油断大敵、危機一髪と」
呼吸を整えてから、鹿の首をはねた。
ここにも残念ながら、隠し扉は無かった。
「うーん、残念」
一休みをおいてから、反対側に位置する右の扉、斧が突き刺さったドアをあける。
『ケチョー』
聞き覚えのある響である。
「まっ、まさかガルーダか!」
ボクサーのような構えで横島を正面で見据えている。
「お前は・・正攻法タイプだからな。手ごわいぞ」
何度と無く叫んできた横島の頭皮から汗が落ちる。それだけ、難敵とも言えるか。足をつかって横島に迫る。だが、
「サイキック、猫騙し!」
手から閃光が迸る。無防備だった目にはかなりのダメージが食らうも態勢は崩していない。
「!!!!」
美神のそれと比較にならない程の衝撃が横島に蓄積する。言葉にならない程に。
だ幸いにも廊下に脱出になったからいい。
目の戻ったガルーダが横島を探し始めると、部屋の外に倒れているのが見えた。
『ケチョー』
とばかりに跳ね飛んで爪を横島に食らわそうとする。
だが、ガルーダの切り裂いたのは横島のジャンパーだけである。
鉄の刃が風に靡く音が耳にはいる。
「どっせーい!」
ワザとジャンパーをガルーダに見える位置において、横では斧を持った横島が、渾身のちからで、一点、首を狙う。
後頭部からちからまかせの斧ではガルーダも命はない。
横島に爪をたてたのが精一杯であった。
ガルーダの青い血に、横島の赤い血が混ざるも良い塩梅に文殊の予備は沢山有る。
「・・『回』・・っと」
血を少し抜かれてふらつくが、ダメージよりも精神力が勝る。
「くそっ、ここも違うのか!」
残るは1階にある階段に影になっている奥の扉だけだ。
「それにしても・・これって、須狩達の事件にそっくりだなぁ」
二日前、最初の攻撃さえ交わせれば、美神であれば、カタのつく程度と考える。横島である自分でもなんかなっているからだ。
槍に串刺しにされた三つの首を持つ犬を一瞥して、最後の扉へと向かう。
ここは明るい。
「へっ。ようやくビンゴか」
目をこらすとここにもモンスターは配備されている。
「あれ?・・俺ぇ」
ドッペルゲンガー、横島もどきがそこにいるではないか。
「ありゃ。俺って敵にそんな重要人物におもわれてるのかね?」
しかし、横島を敵に廻すと厄介であるのも事実だ。なにせ能力の文殊はなんでもありの力、ほかならないからだ、が。
「でも俺で助かったぜ」
と言ってから、睨みつけてくるもどきの目線に、
「ほーら、美神さんのパンティーだよぉ」
ひらひらと見せびらかす。
この男どうしてこのような品を持ち出しているのか。一応霊能を高める為という事か。
もどきも横島である。脂汗をながした後、骨付き犬にたかる犬のごとく、
『み、み、み、美神さんのぱんちー!!』
「・・なんか俺自分がなさけなくなってきた。今後は自重しよー」
当然本家横島が文殊で始末した。
やはり下る階段があった。
以前は貯蔵倉にでもつかっていたのだろうが、
「へぇ〜これって拷問具じゃないか、美神さん大丈夫かな?」
今まで無視し続けた感情、もう惚れた女が殺されてるのではという疑問が強くなる。
「美神さ〜ん、美神さーん!!」
大声を張り上げる。すると、微かな、小さな声であったが、返事があった。
「美神さん!何処に、何処にいるんすか!」
地下の番人であった魔物、1つ目の巨人コピーも一撃で粉砕して、声のする場所へと向かう。
「いたっ!」
横島に歓喜がほとばしる。
美神の両腕には鎖で締めつけられていた。食事を与えられなかったのか幾分かやつれている。
妙に神々しい波動をだしているのは聖霊石で身を守っていたからである。
「横島くん?」
いままで生気を失っていた瞳に輝きが戻る。
「い、今外しますからね、鍵は・・ないな。文殊で代用します」
と美神に近付こうとした瞬間、横島の耳に剣を抜く音が入る。
「横島!うしろっ」
今の体力で限界の大声で注意をうながす美神につられて振り向くと、
「須狩、茂留田のうらみ、ここではらさん!」
もう剣を振りかぶってあわや致命傷を負うであろう攻撃は横島がごきぶりの如く右に逸れたのが幸いした。
左腕から大量の血が流れたが。
「これでしまいだ!」
とばかりに振りかぶったその時、
「フリーズ。お前オカルト法違反で逮捕する」
男は背中に鈍い金属の感触を味わう。
「よくやったな。横島君」
「さっ、西条。おまえもうちょっと早くこいよ」
廻りにはICPOオカルトGメンの面々が連なる。
ようやく美神が繋がれていた鎖が外された。

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