前世の幻 −タマモ−(1)
投稿者名:JIANG
投稿日時:(01/ 7/21)
今、私は遠い昔の…前世の記憶をおぼろげながら思いだそうとしている。
それは、おキヌちゃんに図書館に連れていてもらったことがきっかけだった。
はじめはたわいない童話や図鑑などを見ていたのだが、そのうちに私は前世で過ごした時代のことが知りたくなり、歴史資料やその時代の伝奇を手に取るようになった。
それらの本には金毛白面九尾の狐は大陸の3つの王朝を滅ぼした後、この島国やってきて美女の姿に身をやつし上皇に取り入り、国を滅ぼそうと画策した傾国の大妖怪で、稀代の陰陽師に正体を見破られ、武士団によって退治されたと言うことになっていた。
でも…と思う……。私は国を滅ぼそうとしたことなど一度もない。しかも私は大陸の王朝などに直接関わったこともない。あれは邪悪な狐精たちが王の后や愛妾たちに取りついたからだ。私は同じ狐の妖怪でもあんな考えなしの愚かなものじゃないわ。
金毛白面九尾の狐と言えば太古の中国では竜や鳳凰と並び称される瑞兆のしるしにほかならなかったのだから。まあ言ってみれば聖獣ね。
だけど、あの馬鹿な狐精たちのせいで同じ狐の妖怪である私の肩身が狭くなったのも確かだわ。
それで隋の時代に海の向こうの島国から友好の使者が来たので、もうこの大陸に見切りをつけてその使者にくっついてその島国に来たんだっけ。
その後すぐに隋は唐に滅ぼされちゃったのよね。私が大陸からいなくなったからかしら?きっと偶然よね。
日本という島国に着いてしばらくはおとなしくしてたわ。だってこの国にはまだ力の弱い妖怪や物の怪しかいないんだもの。そのころの私は大陸でもずば抜けて力の強い妖力を身につけているのよ。もし下手に動いて悪事の全てを私のせいにされる何てことになったらそれこそ寝覚めが悪いわ。
都が平安京に移って藤原という一族が権力を握り始めた頃、ようやくこの国にも力の強い妖怪たちが現れ始めたわ。
酒呑童子や茨木童子などの鬼たち、平将門や菅原道真の悪霊、人狼やぬえなどの妖怪変化、そして天狗。そのほかにもいろいろな物の怪たちが力をつけてきた。
そういえば人間にも妙に霊力を持ったのがいたわ。たしか清明とか言ったかしら。
信田の森を住処にしていた頃のことだけど、私のことを大陸から来た九尾の大妖狐だと知るとわざわざ教えを乞いに来たりして、本当に変わった人間だったわ。(このころまだ妙神山に修行場はなかった)
後で母親が元魔族だと聞いて妙に納得したっけ。
その後、彼の修行に付き合ったり、遊び半分で仕事の手伝いもしたかしら。退屈しのぎにはもってこいの人間だったわ。
でも清明が亡くなってからは、訪ねてくる者もなく退屈した月日が続いたわ。
それで退屈しのぎに人間に化けてその人生を送ってみようという気になったんだっけ。
私は暇を持て余していたんだと思う。
わざわざ赤ん坊になって子供のいない家にもらわれるようにしたのだったわ。
それが前世での私の破滅の始まりだったとは、まったく思いもよらなかった。
つづく
今までの
コメント:
- 他人を批評するばかりが能じゃないので、自分も書いてみました。
タマモの前世を適当にアレンジしながら書いてみましたが、どうでしょうか?
感想お待ちしております。 (JIANG)
- 私は良かったと思います。タマモの前世(九尾の狐)については今までほとんど知らなかったので歴史(?)の勉強(さらに?)になりました。
実際前々から多少は興味があったので次回を楽しみにしています。
(自分で調べるのはちょっと苦手なんで) (G-A-JUN)
- すごく良いお話ですね、これは。
話が実にまとまってるし・・・つづきも気になりますね、すごく。 (sig)
- お…おお……おおおおおおおおお!!!!!!!!!(感動)
すげぇ、これは文句のつけようがねぇ!!
次回での展開がかなり気になるし…期待してます!! (野郎言葉は使うな自分!!・sauer)
- うん、私にとってもとても勉強になります。
・・・・って、今更あがいてもどうしようもないですけどね。
でも一般知識ぐらいは持ってないとなあ(溜息) (NT【C】)
- 実は僕もタマモ前世ネタを温めてまして(スュノプスィスはほぼ完成しているものの、今の処投稿の予定は有りませんが)、この辺りは一時期バカみたいに調べましたので、あちらこちらのネタに頷きながら読んでいました。一つ言わせて戴くと、こちらの「清明」は「晴明」の表記の方が一般的だと思います。
普段は寡黙なタマモに語らせているあたりも面白いですね。続き、楽しみにしています。 (Iholi)
- 凄いですね・・・どうやって調べたんでしょう・・・ともかく凄く、面白かったです。 (AS)
- 巧いです
本当にっ
なんか文庫本よんでいるみたいやし><
ていうかこんな人に読んでもらってた自分って(汗) (hazuki)
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