ザ・グレート・展開予測ショー

雪と雹(後日談)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 7/21)

 
 ー空を見ていたー

 蒼い。ただひたすら蒼く、そして広い。そんな事を心に感じつつ、彼は空を眺めていた。自身に同じ問いを繰り返しながら。
 今彼は駅前のとある建物の屋上にいる。そこで大の字に寝転がりながら、自問自答を続けている。
 彼がいる建物は元は不良物件として扱われていた。方位的に悪霊を呼び寄せやすいとか何とか。そうして日本GS協会が安値で買い取った格好だ。
 窮屈なスーツに身を包んでいる彼。頑固として譲らなかった為、髪型はそのままだが、いつもとはまるで違う印象を受ける。
 彼はもう一度、同じ問いを繰り返した。

『なぜ俺は・・・ここにいるんだ・・・?』

 答えの代わりに、彼の耳に届いたモノ。それは。

 オォォォオーーーー!!!!アァァァーーーーー!!!!!

 悪霊の断末魔仕様の・・・予鈴だった。



 ー雪と雹ー<後日談>



 ー数日前ー

 バン!
「どーいう事だ!?」
 突如無作法に扉を開け、机に広げた書類を整理している男に向かってズカズカと近づくや否や、男が仕事をしている机をヒビが入る程に強く叩いたのは、痩躯だが、平均よりやや背が低い、三白眼の男だった。
 何がそんなに腹立たしいのか、えらい剣幕のその男は胸元から何か一度破いたものをセロハンテープで再びつなぎ直した様な封書らしきものを取り出し、突きつけた。

 ・・・協会副会長に・・・

 とりあえず手を止め、副会長は顔を上げた。
「・・・どーいう事・・・とは?」
 副会長は三白眼の男と向き合い、そう言った。その落ち着いた対応に三白眼の男が閉口する。彼はしばしの間黙り込み、副会長を見た。
 若い。黒髪に黒い瞳。髭を生やしてはいるが、お世辞にも似合うとは言えない。彼は童顔だった。年で言えばまだ二十代かそこらだ。
「・・・?用が無いならば、封書を持って出ていってくれたまえ。何の用か知らんが私は忙しいんだ、君と違ってな」
 再び言葉を発した副会長。だがその言葉は男の神経を逆撫でする尊大な物言いだった。一気に理性がとぶ。
「フザけんな!てめーの差し金だってのは下で聞いた!人の都合も聞かず勝手にこんなとこに勤めろなんつー・・・」
「どれどれ?」
 副会長は彼の手から、封書を奪い去った。実に鮮やかな手並みに、三白眼の男はあっけにとられる。
「これはスクールの・・・君は雪之丞君かね?」
 ハッ・・・!と名を呼ばれ、雪之丞は我に返った。
「そ・・・!」
「君の話は聞いているよ。無事試験をクリアしたそうだね、おめでとう」
 寝耳に水。そのまま聞き返してしまう。
「し、試験?」
 椅子から立ち上がり、語り始める。
「うむ、既に入学が決まっている生徒と、スタッフ候補者とを共同で除霊させるもので・・・」
 それを聞き、目をつり上げる。
「とことんハメやがって!てめえらは・・・!」
 激昂する雪之丞。しかし、それにさえも構わずに、副会長の言葉は続いた。
「私は感心しているよ。粗野な印象を受けたが、よもや自分の殺意や、凄惨な場面から雹君を遠ざけた、君の思慮深さにね」
「!」
「何故だか汚れてて、たんこぶはあったが、その他特に外傷も無し。充分な結果だ。君の様なスイーパーこそ、この仕事に就くに相応しい」

 そこで一歩、詰めよって熱意を込めて、言う。

『そう・・・君の様な優秀なスイーパー!こそ!今の我々には必要なのだ!』

「・・・・・・」

 その言葉に心動かされたのか、雪之丞はうつむき、頭を掻いている。それを見逃さずに、彼は雪之丞に背を向けた。
(ふむふむ・・・この反応を見せれば陥落間近・・・一気に攻めるべし・・・なるほど・・・)
 そう呟くと、彼は『幹部必携!若手GS問題児攻略ー虎の巻ー』と書かれたメモを懐にしまった。とどめを刺すべく振り返る。

『解ってくれたまえ・・・今は君の様な人材が何においても必要なのだ!君を真の男と見込んで!』

「ぅ・・・!」

『ーーー頼む!!!』

 伊達雪之丞という城塞はー・・・崩れた。


『うぉっし!やるゼーーー!!!!』
 扉の外での『彼』の意気込みをよそに、副会長は懐に触れた。
(予想をはるか越える単細・・・純粋さだな・・・ともかく感謝しますよ・・・神父、美智恵先輩・・・)

 ーほくそ笑む者、一人ー


 ーそして、数日後ー

「えーと・・・だからな・・・あれ?・・・」
『丞ちゃんせんせー!今21ページでーす!』
「・・・・・・」

(俺・・・俺は・・・あ、あれは何だろー・・・)

 狼はー・・・ノイローゼ寸前だった。

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