ザ・グレート・展開予測ショー

雪と雹(後編)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 7/19)


 伊達雪之丞には、悔いが在った。

『この・・・バカヤローが!』

 自らその手にかけた旧友。一時は師と仰いだヘビ女・・・更には妙神山で共に戦った魔界軍人の姉と弟。蝶の化身のガキ。

 運命の巡りあわせ、魔族と彼には実に多くの因縁が在った。

 それが始まったのは、自分が『誓い』から力を求めた時。
 いや・・・それ以前、もしかしたら子供の頃、自分以上の『縁』を宿命づけられて生まれた『彼』と出会った時から、魔族と関
わる事は決まっていたのかもしれない。
 別にその事について文句は無い。むしろそのおかげで、失うモノ以上にたくさんの『宝』を手に入れたのだから。

 では何が悔いなのか?・・・そこで、『足元』からの声が彼を現実へと引き戻した。

『ねー・・・そろそろ足どけてよー・・・』

 雪之丞は右足を、グリグリ動かした。



ー雪と雹ー<後編>



 悔いとなったのは、数多の激戦をくぐり抜け、その果てに迎えた最終決戦での己が成した事、だ。
 事実として見ている事しか出来なかった・・・その戦い。元凶にとどめを刺したのはバンダナを巻いた数少ない友達(ダチ)である事には異論が無い。むしろその戦いで、彼が失ったものからして、当然だと思える。
 しかしそれでも、彼は納得する事は出来ず、自分が参戦出来ずにいた理由と向き合う決意をした。修行が始まる。
「今だ本懐は果たせねーが、その代わりに身につけた『コレ』のお披露目があんな雑魚相手・・・泣けてくる・・・」
「こっちも泣けてきたよー、足どけてよー」
 きっぱりと無視し、雪之丞は再び右腕の魔装術を解いた。露になる右腕。その右の掌に『盾』が現れた。
(・・・この形がしっくりすんのも妙な話だぜ・・・)
 胸中で独りごちて、構える。標的の化物はこちらに人質を向けている事で、全く警戒してはいなかった。あまりの小物っぷりに泣けてくる。
 彼は再び嘆息し、大きくふりかぶった。投げつける『盾』のコース、その延長線上に人質の子供が移動させられる。そんな事はおかまいなしに、彼はエモノを投げつけた。その瞬間。
 ドンッ!
 化物は斬り裂かれ・・・いや、『砕かれた』、自分の身に何が起きたかも理解出来ずに、笑い顔のまま四散する。
「あ・・・」
 惨状を目の当たりにし、人質になっていた子供が失神する。
 介抱する為・・・雪之丞は駆け出した。
「あ、ま、待ってよー!」
 当然待つ筈も無かった。

 ーそして意外な形で事件は解決したー

 依頼人に渡された携帯から、こんな言葉が耳に入った。
「オ、オカルトGメン!?」
 彼は叫んだ。
「アジトのガキは皆救出!?何故!?まだこちらが失敗した訳でもねぇのに!?いやそもそもどこからーーーーー!!!!?」
『へへー!あらかじめジーメンってとこにも依頼の書類渡しといたんだ!偉い!?』
 ガン!
「何すんだよー」
「うるせぇ!」
 そう返すのがやっとだった・・・家賃・・・家賃が。
「いーじゃんか!みんな助かったんだし!半分はもらえるんだろー!?」
 それでも今の現状には辛い。
「・・・・・・」
 雪之丞は悲壮な表情のまま、歩き出した。死人の如く。

『なー、元気出せよーじょうちゃーん!』
 ドガン!
 満身の力で応えた。元気にはなったが礼を言う気にはならなかった。
 ーそして月の無い夜は終わりを告げたー


 ーその三日後ー


「とりあえず家賃は何とかなった!今文無しでも寝床がある分マシだとも!しかし何で・・・!」
 『ガキ共』の大合唱が窓の外から聞こえてきた。
『せんせー早くいこーよー!雪之丞せんせーーーー!!!!』
 渋面で、隠れながらも彼は、自分宛の協会からの封書を見やる。そこに書かれていた内容。それはー・・・

<伊達雪之丞様。貴方はこれからGSを目指すであろう『子供』達の為に、今月より開かれるスクールのスタッフに内定・・・>
 
 ビリビリ!
「せんせーどうしたのかなー?具合でも悪いのかなー?」
 見慣れた少年が答えた。
『あ、きっと呼び方が悪いんだよ!』
 サッ!と部屋で彼の顔が青ざめる。窓を開ける。
「やめろ!雹!頼むからーーーー・・・」

『せーーーーの!丞ちゃーーーーーーーーーん!!!!!』

 その瞬間。彼の新しい呼び名が決定した。
 

 そして・・・その日、満月の夜。

『いやー・・・私もちょっと名前の事で悩む事あったけど、あんたのおかげで気持ちが楽になったわ!サンキュ!丞ちゃん!』
『うわああぁーーーーーーーーー!!!!』

 ー月夜に哭き声が響いたー

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