ザ・グレート・展開予測ショー

雪と雹(中編)その二


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 7/18)


 ガン!

 頭を叩いたかの様な・・・『小気味の良い』音が響いた。

『〜〜〜!!!』

 何だかその音がした直後、少年が一人、うずくまっていたりするのだが、彼はあんまり気にしていなかった。予め魔装術を解いておいた右手をさする。少年は予想を越えて『石頭』だった。
 ビュン!
 再び右腕部分を霊波の鎧が覆う。熟練し、部分的にまでその術を応用するにまで至った青年は、今だそのまま頭部を押さえ、うずくまり続けている少年を見た。当然だが朝初めて出会った時と同じ服装、袖なしの白いシャツに同じく白の半ズボン。こんな夜には目立って仕方が無いと、その青年とはもめにもめた、そのままの格好。シューズまで白だ。
 髪の色については・・・遺伝によるものらしく、何と銀色をしていた。

(今さらだが・・・能力といい、ほんと変わったガキだぜ)

 最後にその感想でしめくくると、青年は厳しい眼でその『闇』を見据えた。その瞬間。
 ゴウ!

 ー光が彼らを襲ったー



 ー雪と雹ー<中編>その二



  ゴウ!
 ー放たれたその光ー

 横に広がる刃の如きその光が、眼前の化物の手によるものなのは明らかだった。その光はようやく起き上がった少年へと、最短距離で襲いかかる。ただでさえ狭い路地裏を横に避けるのは不可能だった。。

 そして、直撃する数瞬前。
 その瞬間に、少年は地を蹴った。

 フワ・・・ッ・・・

 化物のいやらしい笑い顔が、凍りつく。少年は己の顔の辺り、地上から1メートルの空間を飛来した、横なぎのその刃を跳び越えた。刃の遥か上を、常識を覆す跳躍によって、だ。やがてビルから飛び降りた時と同じく、音も立てずに着地する。
『な・・・ナ・・・!』上手く言葉に出来ぬ様子の、化物に代わり、雪之丞が尋ねた。何をしたのか、と。
 その少年は、笑顔で答えた。
「じゅう力を軽くしたんだよ。驚いたろ!」
 たまらず化物が叫ぶ。
『じ、重力使い!?何者だてめェ!!?』
 その時、雪之丞は見た。少年の目がキラリ!と輝くのを。少年はズボンのポケットから一枚のメモ用紙を取り出し、しばしの間口をモゴモゴと動かしてから、鮮やかな手さばきでワープロのキーを打ち始めた。そして、その手が止まった瞬間。
 カ!突如としてその少年を、ライトが照らしはじめた。やや高い位置からの壁が光を放っている。少年が口を開く。

『とわれてなのるもおこがまし〜が、めいどのおみやげに教えてやろう!』

 雪之丞はパンパン!と足裏をはたいた。ゆっくりと、唖然とする化物に向かって喋り続ける少年の、その背後に移動をする。
『・・・にして!ワープロ使いの!・・・』
『てい』
 雪之丞は少年を、背後から蹴り倒した。ベシャア!と路地の汚れた地面に、少年が顔から突っ込む。そのまま雪之丞は少年の背中を踏んづけて、身動きを取れなくした。化物に語りかける。
「・・・茶番は終わりだ。最後に聞くがガキ共はどこだ?」
 どうやら今までの事・・・気がかりなのは家賃。うっとうしいのは下でもがいてるこのガキ。ムカつくのは子供をさらって喜んでる分際で、自分を小馬鹿にする化物。・・・これらが雪之丞の眼に明確な殺意を宿らせた様だ。
 それに気づいた化物はゆっくりと後退し・・・
 ドン!
 すぐに壁に背を押し付け、動きを止めた。そして次の瞬間。
 カッ!
 虚をつかれた。全身を発光させた化物を一瞬見失う。子供の悲鳴がこだました。
「雪之丞!あそこ!」
 いつの間に抜け出したのか、化物は少年が指さした場所で子供の内、一人を盾にしていた。
「ど、どうしよう!あそこ2メートル全然越えてるし!」
 慌てふためく少年に、雪之丞はまたも嘆息した。
(・・・ったく、一体何だってんだよ・・・どう考えても俺より
こういうのに向いてる奴がいるだろーに・・・)
 少年の教育。それは良い。しかしそれに何故自分なのかを考えながら、雪之丞は顔をしかめる。しかしそれよりも今はすべき事があった。

『ほんと・・・ついてねぇ・・・切り札のお披露目があんなの相手たぁ・・・な・・・』

 最近多くなったと知りつつも、雪之丞はため息を抑えきれなかった。しばらくして気をとりなおす。

『・・・じゃ、行くぜ!』


 ー雪之丞は構えたー



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