ザ・グレート・展開予測ショー

Summer Time At High Noon


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(01/ 7/16)

事務所居住区のクーラーが壊れてはや三日。
更に美神令子、同じくして体調に変調が始まっていたからたまらない。
薄いカーテンをかけて風を頼むがしばし無風状態が続く。
「・・・・むぅ」
寝返りをうっているから睡眠はしていないようだ。
また蝉が鳴き始めた。
コンコン、ドアのノック音。
「美神さ〜ん、大丈夫ですかぁ?」
「むぁ、オキヌちゃん、うん大丈夫よ。どうかしたの?」
あまり元気そうではない声質ではあるが。
「お昼御飯、どぉ〜します?」
「いいわぁ、あとで食べる。下においといてぇ」
「判りました。あと、シロちゃんとタマモちゃんが暑過ぎるからプールに連れてけって」
「どぉぞぉ」
下ではやったとばかりに歓声が上がったが、数分で出ていった所をみると、既に用意はしてあったらしい。
アンダーには水着を着ているのか。
蝉の鳴き声も途絶えた。
風も吹かない。
「・・・んとに・・」
試しに枕元に有るクーラーのスイッチをいれえるがピ、ピと機械音を響かすだけだ。
「そういえば、地下に扇風機があったわね」
だが、取りに行く元気も無い。
観念して目を閉じるると、まどろみ状態となる。
「タオルどこかなぁ」
無意識のうちに手を伸ばしてタオルを探すが、どうも見つからない。下にでも落ちたか。
「暑い!」
ばっと起き上がってみるがまだクラクラする。
寝巻きも汗で濡れている。
「こんなの着てたら、風邪ひくわね。馬鹿じゃなくても」
洗濯場に持っていくのも面倒だと、上からボタンを外してその場に放りなげる。
着替えでもとタンスをあけるが、
「げっ、無いの?」
見事にすっからかんである。夏物の着替えは脱衣所においてあるのだが。
一番下にだけ、冬物の下着があるぐらいだ。
「どうせ一人か」
幸い、シーツだけは洗いざらしの物がある。
午前中に洗濯したばかりなので、いささか熱はあるが、素肌にさらすだけでも心地よい。
1箇所を除いては。
「下までぇ?いやねぇ・・でもいっか。ちょっとだぁけよ〜ん」
冗談で寒さでも呼ぼうかと思ったのか。気温が下がる事はない。
こればっかりは地べたに放るにもいかず、寝巻きの下に隠すようにする。
ようやく睡眠に耐えられる状態に出来た。
それでもシーツから足を出し、手を出してやっとの結果である。
ようやく待ちにまった風が吹いたと思った。
しかし、その風はドアから吹いてくる。
「美神さ〜ん、大丈夫っすかぁ・・・んが!」
「よ、横島」
三十分ほど前に見舞目的で暑い最中自転車で事務所に向かっていた。
「あっ、横島さ〜ん」
自転車を止めて声の方向を見るとオキヌちゃんにシロ、タマモだ。
「よぉ。美人三人御揃いで、どっか行くのか?」
喜んだのはシロその人である。
「そうで御座る。拙者達、ぷーるに向かってるでござるよ、そうだ御師匠様も」
尻尾をふって喜びを表すシロとは対照的にタマモは嫌そうな顔を見せる。
「事務所に行くの?でも今日は御仕事無しですよ」
「ん、あぁ美神さんの具合どぉーかなって」
昨日祖父母の住む地元から珍しい事に西瓜が届けられたから、だそうだ。
「あ!それじゃあですね。食堂にパンケーキがあるの。部屋まで届けてくれる?」
それで西瓜の半切れにパンケーキ、それから暖めた紅茶を御盆にのせて美神の部屋へやってきた、という横島である。
蝉がまた一斉に鳴き始めた。
「ちょ、ちょっと何やってるのよ!」
疲労感も何処吹く風か、半身を起して、シーツで身を隠す。
「あ、その・・いや、御見舞の西瓜と紅茶を・・・パンケーキを温めて・・はい」
「あっちむいてなさい!」
出ていけは言わなかったので、
「はっはいー」
と右廻れの横島である。
美神も急いで何か着ようとした時に、
ちょいと横島の方をみると、ガチガチに体をこわばらせている。
我を忘れて飛びこんでくる横島かと思ったが、そこは高校生なのだ。
「くすっ」
美神、なんとなく嬉しくなる。何が嬉しいのかはわからないが。
壁を向いている横島に声がかかる。
「ねぇ、横島君、御昼は食べたの?」
「まっまだっす。ちゅーより」
先立つ物が無いという事か。
ごそごそと着替えのする音が聞こえた後、
「もぉいいわ。こっちを向いても」
すいませんですと、美神の方を向くとようやく待ちに待った風が吹く。
長い髪を靡かせる程に。
「み、美神さん!」
「こんなのしか、ないのよね」
横島は知らないだろうが、キャミソールという奴だ。これしか身に纏っていない。
風によって乱れた髪を手で正す。
「一緒に食べる?こっちにいらっしゃいよ」
最初は椅子を持ってきますかと聞くが、
「ベットの端でいいわよ」
横島は鼻血にもにた感触を脳天に感じる。美神の方は体調が戻ったようだ。
予備の皿があったのが幸いとも言えるか。
「どぉ?おいし」
「おっ、美味しいっす」
美神が横島の目線に合わせて体をもっていくと、最初は魅入るようにしているが、ある時点までいくと恥ずかしそうにそっぽを向く。
「ねぇ〜そのケーキの欠片、もらっていい?」
「いっ、いいっすよ」
皿を美神の前に差し出す横島だが、
「あーん、して」
口をあけて待っている。
「へっぇぇ!」
横島の持つナイフが小刻みに揺れている。
美神はこの状態をすくなからず、楽しんでいるようだ。
あの母にしてこの娘有り、とでも言うか。
自然の風が連続的に心地よい風量を保ち始める。
見舞品の西瓜は、とても瑞々しく果肉も素敵な一品であった。

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