ザ・グレート・展開予測ショー

白の花言葉−1−


投稿者名:眠り猫
投稿日時:(01/ 7/16)

穏やかな夕日が、刻々と町を赤色に彩る。
何もかも包んでくれそうな暖かい赤色の光を見て、横島は少し目を細めた。
(綺麗だな・・・ここから見る夕日はいつ見ても)
東京タワーでは、おそらく一番見晴らしがいいであろうこの場所に横島は腰をおろした。
彼の手には一束の儚く、綺麗な花が握り締められている。
普段の彼を知る者なら、彼だと信じられないような・・・今の彼は悲しげな辛い笑みを浮かべていた。
(夕日だけは去年見た時と変わんねぇな。)
嘘。もっと美しかった。美しく見えた。
彼女が・・・隣にいた時は。
(一年・・・か。)
自分で考えて、改めて気付いた。一年という時間。
(お前がいなくなってから、もう一年もたつのか。)
フと思い出す、去年の自分。好きな人を守れなかった無力な自分。
この一年で少しは強くなれたのだろうか?
今なら好きな人を守れただろうか?
(今の俺はルシオラに胸をはれる男だろうか?)
学校行って、このままじゃ卒業できなくなるとか、除霊委員がどーとか言われて、仕事じゃやっぱりこき使われて。そんな日常には結構満足してる。
忙しいけど楽しい。今の生活が、バイトを始める前の生活より断然好きだ。
----―-だけど、何かつっかえる。何かわからない小さなモヤモヤした気持ち。
忙しい時は感じないが、フと何もすることがなくポーッとしてるとハッキリ感じる。
だけど、正体がわからない。なんとなく気持ちが悪い。
(お前に・・・会いたいな。)
会いたい、そう思う。恋人でなくとも別にいい。自分の娘として生まれ、会えるのならそれでかまわない。願ったりだ。
そうなら自分は見守るだけだ。今度は・・・生きて、生き抜いて幸福をつかめるように。
ただ、もう一度会って幸せにしてあげたい。恋愛感情に限りなく近いけど、どこか違う。
恋愛云々より何より、ただ幸せになって欲しい。今度こそ。

(―----?じゃあ・・・俺が好きなのは誰だ?)

ルシオラに対する気持ちは恋愛・・・それもあると思う。だけどそれより、彼女を今度はちゃんと見守って幸せにしてやりたい。幸せをつかめるようにしてやりたい、という恋愛とはちょっと違う気持ちの方が強い。
たとえ今ルシオラがあの時のまま蘇っても、あまり気持ちは変わらないように思う。
(・・・美神さん?そりゃ強いしいい女だけど、意地っ張りで・・・。おキヌちゃん?可愛いし料理も美味い。だけどちょっと天然激しいし・・・。小鳩ちゃん?いい娘だけど、付き合うというとなー・・・うーむ。)
もしかして、まだ誰にも特別な感情を抱いてないのでは?とも考えたが、それも違う気がする。自分ではまだハッキリわかってないのだが、心のどこかで誰かを想っているのはなんとなくわかるのだ。言葉で説明するのは難しいのだが・・・本当に、漠然と。
(ま、今ここで考えるようなコトじゃないな。ごめんな、ルシオラ。)
そして、ゆっくり立ち上がる。気が付いたら、あんなに綺麗に輝いていた夕日がもうすぐで沈みそうだった。
「もうそろそろ行くから。また来るよ、ルシオラ。」
そう言い残すと、彼女へのプレゼントの花束を置いた。
夕日が沈み、薄暗くなった空。白い花はより綺麗に見えた。

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