ザ・グレート・展開予測ショー

ワショクヤの日々(後日談)


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 7/15)

 時計の短針は、既に『六』を示していた。
 朱く染まった空模様。見事な夕焼けが行き交う人の目を奪う。
 そんな中・・・一人机に向かって、とある文書をひたすら書き連ねる一人の女性。
 やや憔悴した感もあるが、その眼差しは何やら悪夢から解放されようとしている『歓喜』を感じさせる。
『・・・記録者名 ー美神令子ー・・・』
 最後に記す内容を言葉にしながら、美神はペンを動かした。
「・・・・・・終わったーーー!!」
 両手を上げて全身で喜びを爆発させる。充足した表情。立ち上がった彼女はしばらくガッツポーズをとって、記録書を閉じた。
「時間移動した時カオスから『貰った』アイテムの中でも、使う事無いと思ってたけどー・・・捨てずにいて正解だったわ!」
 閉じた記録書のタイトル・・・それは『忘我』だった。
『・・・我が名は美神令子。その名をもって記した十二のページを代価とし、願う・・・』
 その本のタイトルに両の手を添え、ぶつぶつと『契約』の言葉を唱えはじめる。本が光を放ち、それによって美神の全身も、光に包まれてゆく。

『ーーその記憶を封じるーー!』

 その言葉を放つと共に、場が光に包まれる。
 しばらく経つと、残されたのは機能を全うして再び眠りについた『本』と、きょとんとしている美神だけとなった。

『?私何してたんだっけ?』

 こうして彼女は、全てを忘れさった。



ーワショクヤの日々(後日)談ー

 
 
 そして時は流れた。

 全てが終わりを告げ、『それから』二ヶ月後のある日。
 美神令子除霊事務所の一行は皆で昼食をとっていた。和気あいあいと、微笑みながらの平和な一時(ひととき)に、美神も穏やかな表情をしいる。
「・・・でね?そしたら一文字さんたら・・・」
「ふんふん・・・それで?」
「先生!これ食べ終わったらー・・・」
「散歩なら一人(一匹)で行け!」
 たわいもない・・・いつもと何ら変わりのないやりとり。
 そこはー・・・平和だった。

 その時まで。

「つまんないでござるー・・・」
 ふてくされた顔で、フラれ狼がテレビをつけた。黒色の画面に、鮮やかな色の映像が映しだされる。丁度何かの番組が始まったところだった。

 そのタイトル、そのタイトルとは。
<ー特別放送ー>
『和食屋入嫁狐、謎の崩壊からの奇跡の復活』

 カシャーン・・・!
 皆で画面に釘づけになる中・・・誰かが落としたスプーンが耳障りな音をたてた。
「?あんた達どうしたの?」
 記憶を封じた彼女の問いかけに、冷や汗をたらしつつ、皆一様に首を振る。
「なななな・・・なんでも無いんでござるよっ!」
『そーそー!』
 リモコン片手に固まっていた少女の言葉に、一人を除いて皆で頷く。のけものにされた感じがした美神が、一気に不機嫌そうな顔をする。
「あんた達何か隠し・・・」
<ええ!これも美神さん達のおかげです!一時は恨みもしましたけど、こうして前にも増してお客さんが来てくれるし・・・>
「!?」
 突如自分の名を口にした一人の女性。アシスタントの少女にも似た容貌のその女性に目を向ける内に、彼女は理解できない嫌悪感を抱いた。しかし当然ながら、画面の中の女性はインタビューに笑顔で応え続ける。
<新特別メニューの『雷おこせ』も出来ましたし、あの人が残してくれた、あの魔法の調味料が全てを・・・>
(特別メニュー?何故かしら?何だか嫌な響き・・・頭がガンガンしてきた・・・)
 しかし、真の衝撃はその直後に訪れた。
<そこで・・・そのお礼に、代々伝わる名前を彼女に贈ろうと思うんです!美神さん!これから貴女は美神令子権兵衛と名乗って下さい!素敵ですよねフランソワさん!>
<おう!>

 バンッ!
「ちょ・・・!?美神さん!?どこ行くんすか!!?」
 皆血相を変えて引き留める。しかし彼女は止まらなかった。鋭く叫ぶ。

『人工幽霊壱号!今すぐ全倉庫解放して!勿論対上級魔族戦用超強力グレネードと細菌兵器のとこもよ!核ミサイル発射権略奪用のプログラムもー!!!』
『うわああ!落ち着いて!はやまっちゃ駄目ぇぇえ!!!』
『離せーーーーー!!!滅ぼす!あいつら滅ぼさないと枕をたかくして眠れないわぁぁっ!!!』

「美神さん喜んでくれたかしら?」
「当たり前じゃねぇか!なあ?」
『コン!』

 その後、事務所の電話にメッセージが二つ、届いた。

<お、おめでとーなワケ・・・クククッ!あんたの改名記念して思い出せる知り合い皆に知らせてあげたから!感謝するワケ・・・アーッハッハッ!もう駄目!くるし・・・!>

<令子・・・あなたが気に入ってるなら何も言わないけど・・・余り外でその名前を使わないでね・・・お願いよ・・・私達のつけた名前を大事に・・・うぅっ!>

 ツーツーツー・・・


『うがあぁぁーーーーーーーーーー!!!!!!』


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