ザ・グレート・展開予測ショー

ワショクヤの日々(六)後編その三


投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 7/14)

『イヤァァァッ!!!』
 私は悲鳴を上げた。
 こんな時に何だが、なかなかのものだと思う。絹を裂くという感じでは無いにせよ、そこらの役者に負けない自信はあった。
 ・・・それはともかく、早速その悲鳴を聞きつけて、名前通りの忠犬が飛び出してきた。
「美神さん!一体何が・・・」
 真剣にこちらの身を案じているらしく、引き締まった・・・イイ顔をしている。こんな状況で無ければ待遇を変える事を検討してたかもしれない。
 だが今は。
 ガシ!
「へっ?」
 突然私に腕を掴まれて、一転間の抜けた声を出す。それには構わず私は彼を自分の前に引きずり出した。厳密に言えば『盾』である。私は先程と同じく、悲痛な叫びを上げた。

『この男です!今の今まで私がやってきた事は全てこの男が仕組んだんです!私は何度も嫌だと言ったのにー』
『コラーーーーーーー!!!!!!!』

 盾が状況を理解して、叫び声を出す。しかしもはや警官隊は目と鼻の先ー・・・あれ?
 ドドドド・・・
 警官隊は私と私の前にいる盾・・・もとい『真犯人』には見向きもしなかった。地響きと共に遠ざかっていく。警官隊全員の姿が見えなくなってからー・・・私はようやく緊張を解いた。
『あー・・・良かった』
『何が良かったちゅうんじゃあああ!!!』
 血を吐く様な叫び声が上がる、が当然私は無視した。
 あーいー天気だ。



ーワショクヤの日々(終日)もしくは讐日ー
<その三>



 警官隊が去ってから、しばらくの時が流れた。すっかり安心した私は、今だぶつぶつ言ってる丁稚の後ろ頭を張り倒して、店に入ろうとする。
 ガシィ!
「!?」
 突然後ろから、誰かが私の肩を掴んだ!この私が気配を感じなかった!?驚愕する私に声がかけられた。
『そいつぁうちの着物!やっぱ来てくれてたのか・・・感激だぜこんちきしょうめ!』
 その声。何だかやたらと時代がかった口調といい、私が知ってる誰かとピタリと当てはまる。
 だが・・・まさか・・・そんな・・・ゆっくりと私は声のする方を向いた。
『!?』
『よう!久しぶ!?』
 すかさず殴り倒す。考えるよりも先に、身体が動いていた。
 私の目の前にいたのは、全然全くこれっぽっちも知らない人だった。妙に私が今現在働いてる店の主の亭主に似ていたが、別人だ。そうに違いない。こんな格好、いい年してキツネのかっこして、耳に尻尾まで付けてる様な知り合いなどいない!断じて!
 私は変態の分際で気安く肩を掴まれた礼をするべく、ゆっくりとその地面に転がってるそいつにお礼の言葉・・・『少々』のプレゼント混じりの言葉をかけようとした。その時。
 ガラララ・・・
「何だか騒がしいですね・・・あら?」
 彼女が・・・この店の主坤鳴院小百合が姿を現した。
 ゾクウッ!
 何!?この悪寒は!!?最大級の悪寒が私を襲った!
「う・・・!」
「・・・はっ!ま、まさか・・・」
 彼女が震え出す。そして変質者がゆっくりと身を起こした。

『よう・・・ただいま・・・小百合権兵衛・・・!』
『ああ・・・あなた!・・・フランソワさんっ!!』
 駆け出すゴンベエ、両手を広げるフランソワ。
 そのまま二人はひしっ!と抱き合う。
『私、私・・・フランソワさんがいなくて、寂しくて・・・』
『・・・すまねえ・・・権兵衛・・!』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・暗い。
 目の前が。胸の奥が。先程耳にした言葉が。全てがクライ。

 ドサ!

 み、美神さーん!?という声が聞こえた気がしたが、私の意識はそのまま、暗い闇に呑まれた。

 それから、一時間。

「う・・・」
 すっかり見慣れた天井。
 誰が運んだか解らないが、私は目を覚ましてしまった。
 最後の悪夢が待っているとも知らずに。


『ここだな!?ふふふ・・・今度こそシトメル・・・!』




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