ワショクヤの日々(六)後編その二
投稿者名:AS
投稿日時:(01/ 7/13)
まるで墓場の様な冷え冷えとした空気が場を包む。
外は暑い。恐らく気温は三十度を越えている筈だ。照りつける陽射しといい、普通なら立っているだけで汗が出てくる様な今日この頃。にも関わらず、今現在この場は空間を隔絶されたかの様に、寒々としている。
「・・・・・・」
その凍えそうな空気を放つのは、先程三十過ぎたおっさんやら煮詰まった高校生やら・・・そんな連中にキスを連発して大活躍した『彼』だ。勿論性別は紛う事無き『男』である。
ともかく今そいつはこっちを一緒に底無しの沼へと引きずりこみそうな雰囲気を撒き散らしていた。
ーワショクヤの日々(終日)もしくは讐日ー
<その二>
とりあえずフォローが始まった。
一番手は・・・というかその役を担えるのは彼女しかいない。おずおずと近づき・・・そっと手を重ねて、口を開く。
「よ、横島さん、その・・・大丈夫ですよ!一応口にはガーゼをつけてたし!元気が一番!ねっ!」
場を明るくしようと、大きな声で励ますおキヌちゃん。そんな彼女にギギィッと首だけを向け、奴がボソリと呟く。
『キモチノモンダイナンダヨ』
ーフォロー失敗ー
そう言った奴の目はまさしく・・・これぞ死んだ魚の目というのだろう。何も映さず光を持たない瞳。闇の眼差し。
「あーもー、面倒な奴ねー!」
私は最後の手段に訴えた。勿論最後というのは、奴にとっての『最後』である。とにかく私は奴の耳元で囁いた。
バンッ!
奴は跳躍した。そのまま更衣室へ向かい、着替えを終えて外の掃除を始める。
「・・・何したの?」
聞いてきたのはタマモだ。おキヌちゃんとシロは目を白黒させている。
「別に大した事してないわよ?このネガを現像して出来た写真を街中にバラまくって言っただけ。サイン付きで」
そう言って丁稚を連れ戻そうと席を立った私の背後から、ひそひそと話し声が聞こえてきた。
『オニね』
『オニでござる』
『え・・・えぇと・・・』
バンッ!
ビクウゥッ!!!
『作戦の説明するわよ、いい?』
皆でコクコクと頷く。それを見て私は咳払いをした。
「ゴホン・・・いい? タマモと親父さんの違いについてはもう話したわよね?」
またもコクコクと頷く。
「よし・・・いい?店が開いたら私と横島君は料理を作るあの三人に霊波を送るの。それでタマモの料理に追い付ける筈!」
シロが手を挙げる。
「拙者とおキヌ殿は・・・」
「おキヌちゃんはいろいろやる事があるの、であんたはおキヌちゃんの手伝い!足引っ張るんじゃ無いわよ!?」
しゅんと、うつむく。
「せつないでござるぅ・・・」
私はため息をついた。
「仕方無いでしょ・・・以前あんた皿割りまくったらしいし」
「あの、美神さん、これは?」
おキヌちゃんがテーブルに置かれた小瓶を手にした。その小瓶にはとある知人の名前が刻まれている。それに気づいた彼女があっ!と声を上げた。
「これ・・・魔鈴さんの?魔法薬ですか?」
待ってましたと私は頷く。
「そ、この前手に入れた中世のアイテム貸す代わりに貰ったの、最初の一口だけ料理を苦くするヤツよ」
「苦くするんすか?でもそれじゃあ・・・」
掃除を終え戻って来た丁稚が、開口一番そんな台詞を吐く。
「あんたねー・・・いつもの事だけど、喋る前にもっと考えてから・・・」
そこで私の言葉は中断された。地響きの様な音が店の外から聞こえて来た為だ。
ドドドドド・・・!
「・・・うっさいわねー・・・」
私は戸を開け、音がする方へと目を向ける。
そこには・・・衝撃的過ぎる光景が・・・私を待っていた。
『うおおおお!』
『待て待て待てー! 待たんかぁーーーーーーー!!!!!』
私は見た。見てしまった。数えきれない程の大勢の警官が、キツネを抱いた一人の見知った男を追いかけてくるのを。
そして・・・全ての終わりが始まった。
『イヤァァァッ!!!』
今までの
コメント:
- 「続きです。また同じですが、楽しんで貰えたら嬉しいです」 (AS)
- 美神さんのぉ………(はい、息を吸ってぇ〜〜〜………)
「鬼ぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!!(絶叫)」
………そして、ボクの逃亡生活が始まった…つづく!(大嘘) (sauer)
- ↑・・・なに・・・やってんだか・・・(頭痛)
ASさん、許してやってくださいね?このコ、最近逝きまくってるから・・・
美神さんの鬼畜っぷり(?)が良かったです。 (sig)
- よし!俳優はそろった。
しかも今回は警察入り混じっての乱闘だ!
店壊すなよ。
みんな。 (トンプソン)
- sauerさん、いつも感想有難うございます。
楽しんで貰えた様で嬉しいです。いよいよ自分の創作も後二回・・・お付き合い頂けたら嬉しいです。 (AS)
- sigさん、今度も感想送って貰い有難うございます。
鬼畜っぷり・・・美神さんよりそういうのを考えつく自分が一番鬼畜なのかもしれません・・・それはさておき自分はとにかく人が笑えるものを書きたいので、sauerさんの様な反応が一番楽しみですから、大丈夫です。読んで頂き、有難うございました。 (AS)
- トンプさん、感想有難うございます。
正直店を壊すなというのは、無理です!いつもと違い断言出来るくらいに無理です。これ以上は言えません(書けません)が、ともかく読んで頂き、有難うございました。 (AS)
- 横島大活躍って、この事だったんですねえ。まあこうなるのも全てあの女に関わってしまったからこそ。彼には只々お気の毒としか……(遠い目)。
そしてこの店の行く末はどんどん絶望的に……一発逆転なるか? 僕はどうにもならない方に全額(苦笑)。 (Iholi)
- Iholiさん、感想有難うございます。
店の行く末は結果はどうあれ、きちんと決着つけます。
そこまで読んで貰えたら、嬉しいです。 (AS)
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