ザ・グレート・展開予測ショー

GSキラー:track14[少年「始闘編<3on3の章>」]


投稿者名:ダテ・ザ・キラー
投稿日時:(01/ 7/12)

「……何なんだいったい。」
男は口を開いた。彼の疑問ももっともであると言えた。彼の状況は奇異であったからだ。
「おさらいすると、俺達ゃ霊波封じの結界付きの牢屋の中に居る。メンツは俺、タイガー、
シロ、そしてアンタ。まぁ、関係ねぇかもしんねェが隣にゃ小笠原、弓、おキヌ。…」
「いい!さっき聞いた!もうイヤだ。なんで1度ならず2度までも投獄されにゃならんのだ!」
「落ち着くんジャー、西条。別に言われない罪を被ったわけじゃないんジャからノー。」
タイガーは西条を宥めようと口を開いたが、逆に、ことさら彼のプライドにふれた。
「被ってたまるかね!完璧な経歴を持つこの僕が…こんなのは僕じゃない、不幸な境遇は
横島君の役だ。クソぉ、こんな…この屈辱は…、忘れんぞ!何者か知らんが覚悟したまえ!」
「やっぱり天才は打たれ弱いもんなんジャノー。なぁ、雪之丞?」
「ま、ダンナの言う事も言い得て妙だがな。」
雪之丞はごろん、と寝転がって答えた。今は出来る事が何もなかった。


横島はヘッドスライディングでゴーレムの股座をくぐり抜けて背後を取った。いや、実は
倒れ込みかけた、絶体絶命の危機を脱出する為の唯一の手段が功を奏しただけであった。
しかし、彼にはもう立ち上がる事が出来なかった。先程被弾した瓦礫は脚にも埋まっている
ばかりか、戦い慣れしていない彼は敵の攻撃に過敏に反応して消耗しきっていたのだ。
ジョギングは持続するより止まって再開する方が苦しい。つまり、そうゆうことだ。
「ぐぐぐ…くそったれめぇぇぇ。コイツを振り切る千載一遇のチャンスが…。」
せめて霊能力さえ通じればやりようは幾らでもあるのだが、それなら最初に決着している。
(まてよ?俺はあン時サイキックソーサーで切り抜けたぞ?直接狙わなけりゃ…)
「栄光の手!」
横島の右手が瞬く間に輝く刀身を纏い、その刃で床を掘る。だが、背後から巨大な拳が迫る。
ごろん、ドガシャァッ
諦めたのか、あっさり引下がる横島。だが、ゴーレムの拳は床を打ち抜きそのまま階下へ、
「これがほんとの『切り抜けた』ってな。切れ目入れときゃこっちは崩れねぇから、
さっきみたく、いっしょくたになって落ちなくて済む。って寸法さ。…さてと、…」
横島は壁に身を預けながら、気力を振り絞って立ち上がった。進まなくてはならない。
「あんなモン手に負えてたまるかよ。おキヌちゃん見つけたら即行バックレだ。」


「…凄まじい悪寒がする。例えるなら、1000年来の宿敵と会うような、…この感じは…。」
西条はおもむろに起き上がるとポツリと呟いた。見るとシロが尻尾をぶんぶか振っている。
「ライバルに借りを作るのは癪か?気が合いそうだな。ま、こーなると思ってたけどな。」
不敵な笑みとともに言う雪之丞も、既に鉄格子の先を眺めていた。そこに現れたのは…
「ありゃ?随分沢山捕まってんなぁ。…西条?西条がブタ箱にはいっとる?最ッ高♪」
「…!殺してやる!僕の汚点を秘匿する為に闇に葬ってやるぅぅぅ!!」
予想通りの人物、予想通りの台詞、全て予感通りの、最悪の宿敵であった。
「よっしゃ!横島、早速この檻、ブチ壊せ。」
雪之丞が言う。しかし横島は動かない。
「?…どうした?」
「女子牢はともかく………男子牢は…」
西条は尋ねてみて既視感を感じた。案の定、横島は西条と雪之丞を交互に見て答えていた。
「ち…ちょっと待て!なんで俺もなんだ?」
「………集会をサボって弓さんとデートするなどと言う背信行為で
『女いる奴ァブチ殺す会』の末席の名を汚してる事とか気になってたけど…」
雪之丞が慌てて叫び、横島が冷徹に答える。『副会長』も騒ぐ。
「待つんジャー、名誉会長。ワッシやシロも出られなくなりますケェ。」
「しょうがねぇ、開けてやるよ。いー加減バトンタッチしたいしな。」
ズパァ
『栄光の手』で鉄格子を切開して無事7人を救出する。その場を仕切る西条。
「とにかく、取り上げられた武器を捜そう。それがなきゃ始まらん。」
そこへ、彼らにとって見覚えある姿が近づいてきた。巨漢のゴーレムである。雪之丞が叫ぶ。
「てめぇら、先に行けぇ!俺の盗られたモンはあそこにある。」
雪之丞にとって、プライドを取り戻すことは全てに優先されるのだ。だが、闇は更に蠢く。
「3体?そんなにいたのか?1匹スゴイのが混じってるし…」
横島の言う通り、敵は2対の巨漢と1体の刃物のゴーレムだった。おキヌが横島に訊く。
「あんなの雪之丞さん一人じゃ無理ですよ!何とかなりませんか?」
「イヤぁ、俺にこの手の相談されても…」
「霊能力を受け付けない相手となるとこの場の誰にもどうにもならんしな、こうなったら
人海戦術で…」
うろたえる横島に、西条が助け舟をだす。しかし、雪之丞が怒鳴りつけた。
「先にいけっつったろうが!全滅してぇのか?」
「そんじゃ、おキヌちゃん、そうゆうことらしいから。」
「…でも…」
あっさり雪之丞に同意する横島と食い下がるおキヌ。横島にしてみればもう戦闘など無理だ
(だいたいどうやって戦うんだよ?間違いなく負けるぜ。だったらでしゃばったって…)
「なら、私が戦います。雪之丞さんは私と弓さんを助けてくれたんですから。」
「そんなん無茶にきまっとるやろ?霊波受け付けないんだぜ?」
(だったらまだ俺の方が…って何考えてんだ?無理だろ!自分を知れっつうの。あぁ、もう)
横島とて雪之丞を見捨てたくない気持ちはあった。しかし、庇おうとして裏目に出ない
とは限らない。足を引っ張るマネだけは繰り返したくなかったのだ。おキヌが更に言う。
「そりゃ、本当は嫌ですよ。そんな危ない事、するのも、させるのも。でも、本音では
助けたいんでしょう?私にもそうゆうことがあったから、そう思うだけですけど…
いざとゆう時の横島さんは、なんでも出来るじゃないですか。」
<まるでトランプのワイルドカード。必要な時に、お前は力を……>
己の内から、突如聞こえた声に、横島は自分で驚くくらい自然に反応した。心が落ち着く。
(お前もまだ、俺を信じてくれるのか…。…もう覚悟決めるしかねぇか。)
「……おい、雪之丞!お前、多勢に無勢ってどう思う?」
「あぁ?胸くそワリィ事思い出させんじゃねぇ!」
卑怯な真似をした僚友が、師が許せずに袂を割った。その彼にはこの答えは既に出ている。
「よし!なら張り切ってサシの勝負つけて来い。露払いは、俺がやってやる。」
つまり、雪之丞の返答で、横島は自分の退路を封じたのだ。
「横島さん…。」
「てめぇ…、ハッ!判ったよ、お互い無茶は禁物だぜ?」
おキヌの呟きに続いて横島の身を案じてか雪之丞は、らしくない事を言った。
「コッチは心配無ぇよ。俺は、勝ち目のない戦いはしない主義なんだ。」
「お前とはどこまでもウマが合うな。俺も、負けるかもなんて考えた事は一度も無いぜ。」
言葉を交わしながら、二人はゴーレムに近づいていった。その背中を眺めながら、
「エミさん、指示してつかーさい。ワッシはエミさんの助手じゃケェ、エミさんの指示なら
エミさんのサポートに徹する事が出来るんジャー。」
その言葉を聞いて、小笠原エミは暫く考え込んだが、やがて、キッパリと言い放つ。
「じゃあ文句は一切受け付けないワケ。『オタクの好きにしろ』…アタシはもう行くワケ」
「……エミ…さん?…………合点ジャー!」
タイガーは横島達を追った。その場に残ったのは5人。仕切り直しである。
「…あの年頃は目の前しか見えないからなぁ…えぇい、もう知らん!僕らは進むぞ。」
つづく

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